2012年07月19日
今夏の電力不足に備えるため、政府による節電要請期間がスタートしました。関東エリアでは具体的な節電目標数値がない自主節電の呼びかけとなっていますが、関西エリアや九州エリアでは平日の節電目標が10%以上に設定されるなど、節電への高い関心は今夏も続くと思われます。そこで今回、住宅設備機器・建材の総合メーカーである株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明)では、関東および関西に住む20代から60代以上の主婦1030名を対象に、「通風」に絡めた節電および窓に関する意識調査を実施いたしました。
〜 調査結果のサマリー 〜
①「通風」の認知度について
②「通風」のために実践していることについて
③夏場に窓を開ける回数とタイミングについて
④昨年度と今年度の窓を開ける回数について
⑤実行している通風方法について
調査方法:インターネット調査
対象エリア:関東(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)・関西(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)
調査対象:20歳以上の専業主婦
サンプル数:1030名(関東エリア:515サンプル、関西エリア:515サンプル)
調査実施期間:2012年6月27日(水)〜6月28日(木)
調査実施機関:株式会社マクロミル
Ⅰ-1.全体の9割弱が「通風」という言葉を認知。またその中の7割が「通風」が節電に効果があることを理解
「通風」という言葉自体の認知を尋ねたところ、全体の12.5%が「意味を詳しく知っている」と回答。「意味をある程度知っている」「聞いたことはある」を合わせた認知度の合計は全体の87.9%という結果になった。
Ⅰ-2.年代が上がるほど「通風」の認知も理解も高い!60代以上では意味を理解しているが75.2%で、20代の42.3%と比較すると32.9%もの差がある
年代別に見ると、年代が上がるほど「通風」の認知度や理解度が高いことが分かった。「意味を理解している」が全体では58.5 %であったが、60代以上では75.2%にも達しており、かなり平均より高いことが分かった。20代は42.3%となっており、60代以上とは32.9%もの開きがあることが分かった。
Ⅰ-3.通風の節電効果の認知度は70.1%!年代が上がるほど認知度が高い
「通風」を認知している人(905名)を対象に「通風」が節電に効果があることを知っているかを尋ねたところ、全体の70.1%が認知していることが分かった。年代が高くなるほど、通風が節電に効果があることを知っている人の割合も増えており、50代以上では通風認知者の8割前後がその節電効果を理解していることが分かった。
Ⅱ-1.全体の60.7%が「通風」のために何らかの行動を実践している!
「通風」を認知している人(905名)を対象に、「通風」のために自宅で何か実践しているかを尋ねたところ、全体の60.7%が何らかの行動を実践していると回答した。年代別に見ると、50代が最も実践している割合が高く73.7%、次いで60代以上の69.8%という結果だった。反対に20代では実践している割合が低く45.1%にとどまっている。
Ⅱ-2.「通風」のために実践していることの第1位は「窓を開ける」
「通風」のために実践していることが「ある」と回答した人(543名)を対象に、「通風」のために実践していることについて尋ねたところ、「窓を開ける」が408名と最も多く、次いで「扇風機を使用する」が78名、「換気扇を使用する」が29名であった。
さらに、「窓を開ける」と回答した人の中で最も多かったのは「2箇所の窓を開ける」で68%、次いで「風通しを考えて窓を開ける」が17%、「家中の窓をすべて開ける」が12%、「時間帯を考えて窓を開ける」が3%という結果となった。多くの人がただ窓を開けるだけではなく、意識的に工夫して窓を開けていることが分かった。
【表】通風のために実践していることは何ですか?
n=543
1位 | 窓を開ける | 408人 |
2位 | 扇風機を使用する | 78人 |
3位 | 換気扇を使用する | 29人 |
4位 | その他 | 28人 |
【表】窓の開け方で工夫していることは何ですか?
n=408
Ⅲ-1.夏場1日に窓を開ける回数は、平均3.8回!
夏場1日で自宅の窓を何回開けるかを尋ねたところ、全体では平均3.8回であった。回答としては1回から3回が最も多く、全体の約2/3となっている。年代別で見ると、50代以上で窓を開ける回数がやや多い傾向にあり、50代では平均4.1回、60代以上では平均4.3回となっている。
Ⅲ-2.窓を開けるタイミングは「朝起きたとき」が84.1%と突出!
窓を開けるタイミングについて尋ねたところ、最も多いのが84.1%で「朝起きたとき」であった。次いで「掃除をするとき」(66.4%)、「外出先から戻ってきたとき」(58.6%)、「洗濯物を干すとき」(52%)、「外が涼しくなったと感じたとき」(50.1%)という結果となった。
Ⅳ-1.全体の44%が昨年窓を開ける回数が増えたと回答! 20代では57.8%という結果に!
昨年節電対策のために、自宅の窓を開ける回数が増えたかどうかを尋ねたところ、全体の13.1%が「かなり増えた」と回答した。「少し増えた」を加えた合計は全体で44%に達した。特に、昨年電力供給に問題があった関東エリアでは、増加した割合が高く、全体の48.7%が「増えた」と回答した。
年代別で見ると、年代が下がるほど増加の割合が高くなっており、いままでエアコンに頼っていた若い世代で、その反動が大きくなっていると考えられる。
Ⅳ-2. 全体の55.2%が今年も節電対策で窓を開ける回数が増えると考えている。20代では68%という結果に!
今年の節電対策のために、自宅の窓を開ける回数が増えると思うかを尋ねたところ、全体の55.2%が「増えると思う」と回答した。(「かなり増えると思う」、「少し増えると思う」の合計)今夏の電力不足が懸念されている関西エリアでは53.8%が「増えると思う」と回答したのに対し、昨年電力不足を経験している関東エリアでは56.5%が「増えると思う」と回答した。関東と関西で比較すると、関東の方がやや節電意識が高いと考えられる。また年代別で見ると、60代以上が44.1%だったのに対し、20代が68%と大きな開きがあることが分かった。ここでもやはりエアコンに頼っていた若い世代で、その反動が大きくなっていると考えられる。
Ⅳ-3. 関西エリアでは、昨年と比べて節電対策への意識が高くなっている!
昨年の節電対策のために窓を開けた回数について尋ねたところ、関西エリアでは「増えた」と回答した人が39.3%だった(「かなり増えた」、「少し増えた」の合計)のに対し、今年の節電対策のために、窓を開ける回数が「増えると思う」と回答した人は53.8%(「かなり増えると思う」、「少し増えると思う」の合計)であった。特に今年は関西エリアでの電力不足が懸念されている背景があり、主婦たちの節電対策への意識を高くしていると考えられる。
Ⅴ-1.最も浸透している「通風」の方法は、「窓を開けるときは、2箇所開けると風が流れやすい」で、ほぼ全員となる98%に認知されている。実行している人も90.1%という結果に!
「通風」の方法について尋ねたところ、「窓を開けるときは、2箇所開けると風が流れやすい」が最も高く、98%が認知しており、うち90.1%が実行していることが分かった。次いで「窓を開けるとき、扇風機を併用すると効果的に空気を循環できる」を実行している割合が高く61.4%であったが、その一方で27%が効果を知ってはいるものの実行には至っていないことが分かった。
主な「通風」の方法の中で、あまり知られていないのは「風がない状態でも1階と2階の窓を開けることで、温かい空気が抜けていく」と「部屋に熱気がこもっている状況で、扇風機などの風を利用して壁や天井を冷やすと体感温度が低く感じる」で、過半数の人が「知らない」と回答した。
<参考資料>
通風とは、窓や戸を開放して家の中に空気の流れを作ることです。室内の暑い空気を追い出し、涼しい空気を取り入れる“通風”が夏の節電に役立ちます。“通風”には風の入口と出口を作る、家の上と下の温度差を利用して空気の流れを作るなどの方法があり、正しい風の取り入れ方を理解することが効果的な“通風”につながります。
①正しい窓の開け方を知る!
通風をするには窓を開ける必要がありますが、正しく窓を開けなければ、効果的に通風を行うことはできません。自宅に窓が2 箇所以上あり、どの窓を開ければ効率的に通風ができるか分からない場合は、まず涼しくしたい部屋(場所)の窓、または一番近い窓を開けてください。その後、他の窓を一つずつ開けながら、風の流れを確認します。最も涼しく感じたときに開けている窓2 箇所が“今、通風に効果のある窓”ということになります。
②扇風機を使ってさらに効率的な通風を!
通風をする際に扇風機を併用するとさらに効果的であることはよく知られています。しかし扇風機の置き方で、その得られる効果が異なることはあまり知られていないようです。まず、風が強いときや室内より外気の方が涼しいときには、扇風機を風の入口となる窓辺に置き、室内に向けて風を送ります。そうすることで、屋外から室内に冷涼な風を取り入れることができます。室内にこもった熱を少しでも早く外に出したいときには、扇風機を風の出口となる窓辺に置き、屋外に向けて風を送ります。そうすることで、室内にこもっている熱を素早く外に排出することができます。
③エアコンの消費電力を抑えるには、まずは窓を開けること!
外出先から、まずエアコンのスイッチを入れるという人がたくさんいます。しかし節電という観点から考えると、この行為はあまりおすすめできません。なぜならエアコンは起動時が最も電力を消費するからです。まずエアコンを起動させる前に、室内の温度を少しでも下げておけば、起動時に消費する電力を抑えることができます。そこで、まずは窓を開けて通風をしてください。屋外の涼しい空気を取り入れることで外気温に最大5℃まで近づけることができます。
④換気扇も風の出口になる!
窓を2箇所開けて風の通り道を作りたくても、マンションなどで窓の数が限られていたり、窓の代わりに玄関を開けておくのは防犯上抵抗があるといった人も少なくないと思います。そこで忘れないでほしいのは換気扇の存在です。換気扇は料理をするときや部屋に臭いが残っているときにだけ使うものではなく、“風の出口”として十分活用することができます。リビングなどの窓を開けるときに換気扇を回してみてください。それだけでも通風の効果は期待できます。
⑤壁や天井を冷やすと、体は涼しく感じる!
人間の温度に対する感覚は、気温だけではなく湿度や風、壁や天井の表面温度にも影響されます。これを体感温度と言います。体感温度を下げることができれば、同じ室温であっても人は涼しく感じることができます。例えば壁や天井が熱を持っている時には、扇風機の風を利用して冷やしてみてください。そうすることで、壁や天井の温度が下がり、体感温度を下げることができます。
【LIXILの通風博士】
野中 俊宏(のなか・としひろ)
株式会社LIXIL 総合研究所 企画推進室 所属
1998年にトステム株式会社(現 株式会社LIXIL)入社。
博士(工学)。専門は建築におけるパッシブエネルギーの利用、特に温熱環境および空気(風)環境。「既存住宅の省エネ改修ガイドライン」(建築環 境・省エネルギー機構)、「-外気冷房のための窓設計ガイドライン- 窓を使った夏のくらし」(北海道立 総合研究機構 建築研究本部北方建築総合研究所)の執筆に携わる。
今回の意識調査により、多くの主婦が節電対策への意識が高いことが分かりました。また「通風」という言葉の認知もかなり高く、その意味を正しく理解し、実行に移している人も多数いることも調査結果から明らかになりました。
電力不足が懸念される中、節電に積極的に取り組むことは素晴らしいことですが、エアコンを一切使わないようにするなど、あまりに無理をしてしまい体を壊してしまっては意味がありません。LIXILでは、節電意識の高いお客様に対して、商品やサービスを通して“がんばりすぎない節電”を提案しています。
≪節電のアイデアブック「節電対策アレコレ」を発刊≫
「読めば分かる!読みたくなる!楽しくなる!」をコンセプトに、無理なく快適に節電できるお手軽リフォームの紹介を分かりやすくイラストで解説したアイデアブック「節電対策アレコレ」を発行し、全国のショールームでお客様に無料で配布しています。
≪「通風・創風 設計サポート」で最適な窓サイズ・種類・配置を提案≫
【図】 PMVを活用した定量的な評価シート
快適性評価指標の一つであるPMV(Predicted Mean Vote/予測温冷感申告)を活用し、建築予定の設計図面や立地条件などの情報をもとに、夏を省エネで快適に過ごすための最適な窓サイズ・種類・配置を提案するサービスをプロ向けに5月1日より開始しています。
※創風とは・・・風が無いときでも外の空気を室内に取り込み、温度差換気により自然の力でやさしい空気の流れを創る手法を表したLIXILオリジナルの用語です。
※PMVとは・・・Predicted Mean Vote/予測温冷感申告のことで温冷感の評価方法に関する国際規格(ISO7730)のことです。
≪自然の風を室内に行き渡らせる『通風建具』の発売≫
【写真左】
内装建材「ウッディーライン」シリーズ
『通風建具(ルーバードア/引戸)』
【写真右】
横引収納網戸 『しまえるんですα』
家の中に風の通り道を作り空気を循環させることで暑さや湿気を家の中にとどめないようにする通風に注目し、節電に役立つ商品として『通風建具』(ルーバードア/引戸)を開発し、6月から発売しています。
また玄関に網戸を取り付けることで風の通り道を作ることができる横引収納網戸 『しまえるんですα』など、通風に役立つ商品も多数発売しています。