ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

「第3回LIXIL国際大学建築コンペ」最優秀賞受賞の次世代サステナブル住宅
ハーバード大学設計「HORIZON HOUSE」が「メム メドウズ」に竣工
〜今後、実証データをもとに技術の有効性を検証し、新しい技術の確立を目指す〜

2013年11月25日

住宅・建材産業に関する調査・研究及び、人材育成等の事業に対し助成・支援する 公益財団法人LIXIL住生活財団(所在地:東京都江東区、代表:理事長 潮田洋一郎、以下:LIXIL住生活財団)は、ハーバード大学(米国)の学生による設計の「HORIZON HOUSE」を、同財団の所有する環境技術研究施設「メム メドウズ(Memu Meadows)」(北海道広尾郡大樹町)に竣工したことを発表します。

ハーバード大学「HORIZON HOUSE」

今回建設された「HORIZON HOUSE」は、LIXIL住生活財団が主催し、次世代のサステナブル住宅の技術を模索・検証し、社会にその技術を発信する「第3回LIXIL国際大学建築コンペ」において最優秀賞を獲得した作品です。同賞の副賞として、設計した住宅を実際に「メム メドウズ」内に建設する特典があり、今回の竣工を迎えました。

「HORIZON HOUSE」は、“RETREAT IN NATURE(大自然のリトリート=日常生活から離れるための隠れ家)”をテーマに設計されました。建設資材のエネルギー消費量を抑える仕組みや、積雪を考慮した高床などのサステナブルなデザインだけでなく、360度に広がるパノラマが"RETREAT"を実現し、その時の景色、気分に合わせて住まう人が選ぶことができるという点が高く評価され、審査委員の満場一致で最優秀賞に選出されました。

今回、実際の建設にあたっては、生成・運搬・建設に伴う炭素排出量を抑え、さらに地域経済にも貢献できるよう、コンクリートの使用を極力控え、主に地域から産出される木材を使用しました。またこれらの地域資材は、将来的に再利用されることを考慮し、容易に解体できるよう設計されています。

「HORIZON HOUSE」の竣工により、現在「メム メドウズ」には、昨年竣工した早稲田大学設計「町まとう家」(2011年「学生のための住宅デザインコンペ」最優秀作品)、慶應義塾大学設計「BARN HOUSE」(2012年「国際大学建築コンペ」最優秀作品)とあわせ、大学生が設計した住宅が3棟となりました。

これらの住宅は竣工後も、自ら設計した独創的な“次世代サステナブル住宅”の実証が続けられ、その効果検証を続けていきます。LIXIL住生活財団も地元自治体(北海道大樹町)と共に継続的に支援し、またその実証結果の情報発信も行っていきます。

<参考資料>

■「HORIZON HOUSE」 設計:ハーバード大学

(設計者)

  • Mark Mulligan(マーク・マリガン)教授:指導教官
  • Thomas Sherman(トーマス・シャーマン)さん
  • Ana Garcia Puyol(アナ・ガルシーア・プヨル)さん
  • Carlos Cerezo Davila(カルロス・セロゾ・ダビラ)さん

【コンセプト】

「HORIZON HOUSE」は、個人の居住空間と大樹町の牧草風景が生み出す対話を象徴しています。基礎部と屋根部によって定義されたひと繋がりの屋内の起伏が、周囲360°の大自然パノラマとそこに映る季節ごとの変化を居住者にもたらします。また冬季に住宅の一部が雪に埋もれ、窓からの視界が遮られることを避けるため、居住空間は木製基礎によって地上1mに据えられ、通年すべての屋内空間から自然の風景が堪能できます。

【特長】

  • 地域資源の活用
    地域から産出される木材、あるいは地域で使われなくなった廃材を建築資材の中核とし、この土地に根付く大自然と人々の記憶が建物の表情に取り込まれます。地域から産出される木材を用いることにより、生成・運搬・建設に伴う炭素排出量を抑えることができ、また地域経済への貢献も可能とします。屋内における主要断熱材は地元の木材精製所から産出される木屑を利用し、住宅がいずれ自然に帰ることを前提としています。
  • 地域性を考慮した環境技術がもたらす快適空間
    床暖房設備は利用者の位置や身体状態によって設定が変更でき、夏季と冬季の屋外温度変化に合わせ、屋内のプログラムを切り替えることができます。この設備は薪割りストーブによって生み出された熱を変換し、居住者が直接触れる床面だけを暖めることにより、低エネルギーかつ効率的に快適さをもたらします。その他、屋外のシェードと屋内の遮熱カーテン、地中に掘られた通風パイプと天井の最高部に設けられた天窓など、様々な環境技術を採用することで、一年を通じた快適性をもたらし、“大自然のリトリート”という「HORIZON HOUSE」の基本概念を実現します。

■「メム メドウズ」施設概要

名  称 :
「メム メドウズ」
所 在 地 :
北海道広尾郡大樹町字芽武158-1
※旧「大樹ファーム」跡地
所  有 :
公益財団法人LIXIL住生活財団
〒136-8535 東京都江東区大島2-1-1
敷地面積:
約56,000坪

主要施設:
寒冷地実験住宅「メーム(Même)」(右上写真参照)、実験住宅「竹の家」、
実験住宅「町まとう家」、実験住宅「BARN HOUSE」、多目的ホール、ラボ棟、
住宅1、2、3号棟(研究者向け宿泊施設)、
ログハウス1、2号棟(研究者向け宿泊施設)、運動棟、
レストラン、サウナ施設、管理棟 など
施設概要:
公益財団法人LIXIL住生活財団が、その設立理念に基づき、北海道大樹町に設立した環境技術研究機構の名称。同機構の中心となるのが、隈研吾建築都市設計事務所が設計した寒冷地実験住宅「Même(メーム)」である。
URL   :
http://www.lixil.co.jp/s/taiki-cho/about/

■「第3回LIXIL国際大学建築コンペ」開催概要

1.参加大学

11カ国・12校 ※◎印3大学が4月20日の公開審査会に進出。

Aalto University/アアルト大学(フィンランド)

Dresden University of Technology/ドレスデン工科大学(ドイツ)

◎Delft University of Technology/デルフト工科大学(オランダ)

Swiss Federal Institute of Technology Zurich/スイス連邦工科大学(スイス)

The Bartlett School of Architecture, University College London/ロンドン大学バートレット校(イギリス)

Vienna University of Technology/ウィーン工科大学(オーストリア)

◎Harvard University/ハーバード大学(米国)

Tongji University/同済大学(中国)

◎National University of Singapore/シンガポール国立大学(シンガポール)

Hanoi Architectural University/ハノイ建築大学(べトナム)

Kyoto University/京都大学(日本)

Hokkaido University/北海道大学(日本)

2.審査方法

寒冷地における次世代型サステナブル住宅の提案を、世界11カ国12大学より招待形式にて募集。エントリーがあった12大学の作品から一次審査(書類審査)で上位3大学を選出。3大学による公開審査会を実施し最優秀賞を選出する。

3.審査委員

審査委員長
隈 研吾 氏 〔建築家・東京大学教授〕
審査委員
野城 智也 氏〔工学博士・東京大学副学長、生産技術研究所教授〕
ダルコ・ラドヴィッチ氏〔慶應義塾大学教授〕

4.表彰

最優秀賞(1点)――― 15,000USドル(デザイン費を含む)
※北海道・大樹町「メム メドウズ」敷地内に実作として建設される。
優秀賞(2点)―――― 3,000USドル

【主催】
公益財団法人LIXIL住生活財団
【共催】
株式会社LIXIL(総合研究所)、北海道大樹町
【後援】
北海道開発局帯広開発建設部、北海道十勝総合振興局、一般社団法人日本建築学会、
公益社団法人日本建築家協会、公益社団法人日本建築士会連合会、株式会社新建築社
【公式サイト】
www.lixiljsfound.or.jp/category/1835715.html
【公式Facebook】
www.facebook.com/LIXIL.IUAC