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インドネシアにおける“循環型無水トイレ”を利用した
保健衛生改善事業に向けた調査をスタート
〜国際協力機構(JICA)の「協力準備調査(BOPビジネス連携促進)」に採択〜

2013年09月11日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長: 藤森義明)と、i-Incubate株式会社(本社:東京都新宿区、代表:小木曽麻里)が共同提案した『インドネシアにおける循環型無水トイレを利用した保健衛生改善事業』が、独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)の「協力準備調査(BOPビジネス※1連携促進)」に採択されました。今後はJICAの支援を得ながら、本プロジェクトの調査を進めていきます。

※1:BOPは「Base of the Pyramid」の略で、一般的に年収3,000ドル以下の層を指し、全世界の40億人が該当すると言われます。BOPビジネスとは、これらの層をターゲットにして企業利益を追求しつつも、ターゲット層の生活水準向上への貢献を目的とします。

インドネシアでは、下水道の整備が大幅に遅れているなか、年間600万トンのし尿が未処理の状態で河川や運河に排出され、腸チフスや下痢が蔓延する原因となっており、5歳以下の乳幼児が毎年4万人以上も死亡※2しています。

※2:Water and Sanitation Program 2007調べ

そのような背景を受け、本プロジェクトでは長期的な視点での同国の問題改善を目的に、貧困層を中心に衛生的なトイレへのアクセスを向上させることで、不適切なし尿処理や野外用便を減少させ、人々の保健衛生状態の改善を目指します。

<ご参考>2010年よりLIXILが実証実験を進めているベトナムの状況

▲ 農村部の一般的なトイレ

▲ LIXILの「エコ・サニテーション」外観
  写真右はコンポスト(堆肥)を取り出している住民

LIXILは「世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」を企業理念に掲げ、トイレを中心に、貴重な地球の水資源や衛生的な住生活のあり方について研究開発に取り組んできました。今後はインドネシアの生活習慣、需要、市場状況などに関する詳細な調査を行うとともに、プロトタイプの開発・検証を進めていきます。

<参考資料>

JICA「協力準備調査(BOPビジネス連携促進)」採択事業
『インドネシアにおける循環型無水トイレを利用した保健衛生改善事業』について

1. BOPビジネスへの当社の考え

LIXILは「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」を企業理念とし、製品とサービスのイノベーションを追及し、サステナブルな社会の発展に貢献することを目指しています。世界の衛生問題や安心・安全な住環境の重要性を認識し、水回りの衛生改善、高齢化社会への対応、および共助社会の構築に資する製品・サービスのイノベーションを追及していきます。

2. インドネシアの現状について

インドネシアは2.4億人という世界第4位の人口規模であることに加え、1万8,000もの島から成り立っています。このような条件下のもと、近年、インドネシアではインフラ整備を含む投資環境の改善がますます求められていますが、インフラ投資が経済成長に追い付いていない状況です。大規模で効率的なインフラ整備が困難であり、特に下水道や処理施設の不在は、農村における土壌や水資源の汚染につながり、深刻な問題になっています。

3. 本事業におけるLIXILの提案内容

長期的な視点での同国の問題改善を目的に、貧困層を中心に衛生的なトイレへのアクセスを向上させることで、不適切なし尿処理や野外用便を減少させ、人々の保健衛生状態の改善を目指します。具体的には、下水道や汚染処理設備を必要とせず、点在する住宅ごとの設備が可能な「エコ・サニテーション」の普及を目的とした調査を実施します。

4. 「エコ・サニテーション」について

トイレの床下に設置した装置内で、し尿を乾燥、発酵分解する無水トイレです。し尿を水で流さないため、汚染を広げず、地下水や河川、湖沼、海を汚すことがありません。し尿はバクテリアによって分解され、臭いもなくなり、コンポスト(堆肥)としての利用も期待できます。
2010年からベトナムにて、ハノイ建設大学と実証検証を進めており、また日本では、徳島県勝浦郡上勝町にて住民の要望を踏まえた総合的な実証研究を継続中です。

5. 共同企業体 i-Incubate株式会社について

2012年に設立されたPPPやBOPを主な分野とする開発コンサルティング会社です。アジア及びアフリカにて、水や衛生、エネルギー分野にて実績を有します。

※Public Private Partnershipの略。行政と民間が協力して公共サービスを効率的に運営することで、官民パートナーシップ、官民連携とも呼ばれています。