2013年08月06日
「建築とデザインとその周辺」をめぐり、独自の視点でテーマを発掘するLIXILギャラリー(大阪)の企画展では、2013年8月25日(日)〜11月19日(火)の期間、「ヴィクトリア時代の室内装飾 〜女性たちのユートピア〜」展を開催します。
インテリアに熱いまなざしが向けられたヴィクトリア時代。台頭してきた中産階級の人々は室内装飾品に対してどのような夢を抱いていたのでしょうか。
本展では、ヴィクトリアン・インテリアの再現コーナーをはじめ、当時の室内装飾の様子を窺い知る様々な実物資料をとおして、ヴィクトリアン・インテリアの興隆を支えた女性たちが求めた理想の家庭像を浮き彫りにします。
産業革命により繁栄を謳歌した英国・ヴィクトリア時代(1837〜1901)。工業化、都市化、交通手段の発達などを背景に職住分離が進んだことから、台頭してきた中産階級による自邸への関心が高まり、そこに独自の表現が求められるようになりました。華やかな色彩のタイルで装飾した暖炉、その上には大きな鏡や様々な置物、異国趣味の日本の団扇などが飾られ、窓はステンドグラスやたっぷりとしたドレープで彩られる・・・。彼らの住まいは過剰な装飾とも形容されますが、不思議な心地よさを醸し出す空間でもありました。その室内装飾を担ったのは主に女性たちです。彼女たちがインテリアに求めたのは"くつろぎ"を表す「コンフォート」や「アットホーム」でした。そのための指南書も相次いで出版され、それらをヒントに女性たちは独自の室内デザインを構想し、センスを磨いていきました。
会場では、ヴィクトリアン・インテリアの典型例を示す写真パネルをはじめ、1886年作のドールズハウス、また「アットホーム」のシンボルとなった暖炉まわりの再現空間ほか、指南書の雑誌類やその時代の室内が描かれた絵本、また装飾材の主要アイテムであったタイルなども豊富に展示します。これらの資料から、当時の室内装飾の特長と、人々が夢に描いた「コンフォート」や「アットホーム」の有りようを身近に感じとっていただければと思います。
<主な展示>
ロンドン中心部にあるヴィクトリア時代の中産階級のインテリアをそのまま残した家。住人は絵入り週刊誌『パンチ』で活躍した風刺画家、リンリー・サンボーン。過剰な装飾、モノの氾濫と形容されるヴィクトリアン・インテリアの典型例を写真パネルでご覧いただきます。
このドールズハウスは、かつて英米の二大プライベート・コレクションのひとつ、イギリスのヴィヴィアン・グリーン・コレクションで収蔵されていたものです。1886年作で、ロンドン北部のオックスフォード地方に典型的に見られる住居の意匠を伝えます。
「アットホーム」のシンボルであった暖炉まわりの再現空間です。装飾材としてよく使用された彩のある組みタイルが施された暖炉や部屋を明るくするための大きなミラー、また、持ち運びやすい軽いつくりの家具が流行したことで作られた背もたれの丸いバルーン・チェアや小ぶりなティーテーブル、そして、この時代の室内装飾に多大な変革をもたらしたウィリアム・モリスのデザインによる壁紙やカーテン(現在生産のもの)を展示します。ヴィクトリアン・インテリアの特徴を表すアイテムで構成された空間をお楽しみください。
この時代に急増した室内装飾の指南書やそれに類する雑誌『The Girl's Own Paper』や『CASSELL'S FAMILY MAGAZINE』の合冊本を展示。当時の室内装飾の様子がうかがえる絵本『At Home Again』や『Baby's Bouquet』(ウォルター・クレイン画)なども展示します。
ヴィクトリア時代のタイルの隆盛は、ゴシック・リバイバル運動を契機に始まりました。途絶えていた製法を復活させたミントン社の象嵌タイルや陶器装飾の分野で大きな功績を残したウィリアム・ド・モーガンのタイルも含めこの時代に多用された美しいタイルをご覧いただきます。
写真1
写真2
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LIXILギャラリーからのお知らせ
LIXILギャラリーの大阪会場は、2013年8月25日(日)より大阪・うめきた「グランフロント大阪」タワーAの12階に移転オープンさせていただくことになりました。
今後とも変わらぬご愛顧のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。
*南館2階 タワーAオフィス入口より、9階でエレベーター乗り換え、12階へ
■ 関連企画のご案内
講演会「At HOME! ヴィクトリア時代のインテリア」
参加無料、要申込、先着順(TEL: 06-6733-1790 e-mail:xbn@lixil.co.jp)
■ 新刊LIXILブックレットのご案内
LIXIL BOOKLET『ヴィクトリア時代の室内装飾 〜女性たちのユートピア〜』
(72ページ内カラー36ページ/8月下旬発売予定、税込価格1,890円)