2013年09月13日
住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長: 藤森義明)は、2013年11月2日(土)から2014年3月18日(火)まで、INAXライブミュージアム(所在地:愛知県常滑市)「土・どろんこ館」にて、イタリア・ミラノを拠点に活躍したデザイン界の巨匠、ジオ・ポンティの建築表現を読み解く『建築の皮膚と体温 −イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界』を開催します。
小石形のタイルが埋め込まれた壁面 / ホテル・パルコ・デイ・プリンチピ(イタリア、ソレント) 撮影:梶原敏英
ジオ・ポンティ(Gio Ponti : 1891-1979)は、ミラノを拠点に幅広い分野で活躍した建築家、デザイナー、画家、編集者で、「イタリアモダンデザインの父」と呼ばれています。イタリアの陶磁器メーカー、リチャード・ジノリのアートディレクター時代に培った素養を活かした磁器、カトラリーや食器のデザインから、家具、高層ビルの設計までを手がけたポンティは、多様なマテリアルと戯れる稀有な存在として、近年、ヨーロッパを中心に世界各国で再評価が進んでいます。
本展では、建築家としてのポンティに焦点をあてます。20世紀初頭のモダニズム以降、建築の“表面”には人間的な温かみや楽しさ、手仕事や装飾の魅力が置き去りにされる傾向がありました。一方、ポンティはモダニストでありながらも、建築の“表面”の表現を模索し、工業製品に手仕事を介在させて、そこに質感や温もりといった「皮膚感覚」を与えました。特に1950年代以降、ポンティは建築という重さを伴う存在のなかに、「軽やかさ」と「薄さ」を追求します。その結果行き着いた建築の「皮膚」(表面)へのこだわりを、彼が好んで用いたマテリアルである陶磁器(タイル)をキーに読み解いていきます。
現代でも色褪せない、巨匠ジオ・ポンティの建築表現との出会いにご期待ください。
<開催概要>
<展示概要>
■“ポンティワールド”出現!
新しい感性で注目を集める若手建築家ユニット、トラフ建築設計事務所が展示デザインを担当。 「外壁」「内壁」「床」「窓」の4つのテーマに沿って、回遊しながらポンティの建築表現を読み解き、その「軽さ」や「温もり」を体感する“ポンティワールド”が立ち上がります。
展覧会場イメージ /提供:トラフ建築設計事務所 |
■ジオ・ポンティデザインのタイルを再現!
ソレントの海を想起させる、ホテル・パルコ・デイ・プリンチピ(イタリア、ソレント)のブルーのタイルや、オランダ、アイントホーフェンのデパートのファサードに使われたタイルなど、6シリーズ11デザインのタイルを再現。「サン・フランチェスコ教会」(ミラノ)の外壁タイルを復原※1した実績を持つLIXILならではの、やきもの技術を駆使した再現タイルを空間展示します。
アイントホーフェンのデパート ファサードのタイル 撮影:今村ひかる |
修復後のサン・フランチェスコ教会 外観(上)と、タイル面のアップ(左) 撮影:梶原敏英 |
※1: サン・フランチェスコ教会
LIXIL(当時、INAX)では、1963年に建造された、ジオ・ポンティ設計「サン・フランチェスコ教会」の修復に伴い、その外壁タイルを、1年間の試作期間を経て2008年に復原しました。
■日本未公開作品も!ポンティの貴重な図面・スケッチを展示
「ジオ・ポンティ アーカイヴス」(ミラノ)の全面的なサポートを得て、
貴重な図面や、日本初公開となる直筆スケッチを多数展示。
設計の手法からも建築の「皮膚」を考察します。
▲「ロサンジェルスのカテドラル」1967年
ミラノNieubourg Galleryでの展覧会のために
製作した彫刻作品のモックアップ
*画像の無断転用を固く禁じます
▲「Untitled」1971年
ザルツブルグ、新聞社社屋のフロアデザイン(習作)
*画像の無断転用を固く禁じます
<展示作品(予定)>
<関連冊子>
『建築の皮膚と体温 −イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界』
発行:2013年11月2日(予定)
版形:B5判(182×257mm)、無線綴じ
頁数:本文64頁
定価:本体1500円
発行:株式会社LIXIL
編集・制作:建築資料研究社+アイシオール
ジオ・ポンティ(Gio Ponti 1891-1979)
1891年、イタリア ミラノ生まれ。アーティストの素養を活かし、
小さなカトラリーや食器、家具のデザインから建築設計まで、幅広い分野で活躍。
教会建築のほか、イタリアではじめての近代高層ビル「ピレッリビル」を設計し、
「イタリアモダンデザインの父」と呼ばれるデザイン界の巨匠。
世界的に有名なインテリア雑誌『DOMUS(ドムス)』を創刊したことでも知られる。
1891 イタリア ミラノに生まれる
1921 ミラノ工科大学建築学科卒業
1923 リチャード・ジノリ製陶会社のアートディレクターを務める
1928 『 DOMUS(ドムス)』誌を創刊
1951 椅子「SUPERLEGGERA (スーパーレジェーラ)」発表
1963 サン・フランチェスコ教会(ミラノ)完成
1979 永眠