2013年11月20日
「建築とデザインとその周辺」をめぐり、独自の視点でテーマを発掘するLIXILギャラリー(大阪会場)の企画展では、2013年12月6日(金)〜2014年2月18日(火)の期間、「ブルーノ・タウトの工芸〜ニッポンに遺したデザイン〜」展を開催します。
ドイツ人建築家のブルーノ・タウト(1880−1938)は、1933年に来日し、約3年半日本に滞在しました。タウトはこの期間を「建築家の休日」と形容し、専門外の工芸品製作に取り組みます。
本展ではタウトが日本で取り組んだ工芸品に注目し、残された貴重な作品を通じて、体系的に考えられたデザインの創造と彼が目指した世界観を紹介します。
ドイツ時代のタウトは、自然や宇宙に向き合い、色彩豊かで使い易い設計を提唱し、ベルリンを中心に12000戸以上の住宅作品を残していました。一方、日本ではほとんど建築の仕事に恵まれないなか、主に群馬県高崎市の工芸指導所において工芸デザインの開発と指導に持てる力を注ぎます。地場の素材と伝統技術の積極的な活用の上に、デザインという手法を初めて採り入れたタウトは、漆工・木工・竹工・染織など、わずかな期間に数百点以上の工芸品を生み出しました。
タウトは、風土に残る純粋なものを愛する、という自身の明確な価値観を工芸分野にも応用しようと試みたのではないでしょうか。
会場では、ブルーノ・タウトデザインによる貴重な工芸作品を約60点ご覧いただきます。竹の電気スタンドや椅子などのインテリア、盛籠やナプキンリングといった食卓まわりの実用品など、それらは、素朴な中にも無駄のない質素な美しさを醸し出しています。また、タウト自ら描いたデザイン画は、細かく着彩もされ、英語で素材の指示や注意までも書き込むなど、試行錯誤した痕跡が伝わります。これらの資料から、当時の日本の工芸やデザインに一石を投じようとしたタウトの視点を改めて推考していただければと思います。
<主な展示>
タウトは、日本独自の素材である竹を愛し、数多くのデザインを残しています。タウトは、高崎に古くから伝わる草履や笠を作る際に使われた竹皮編とドイツのバストという籠編みの技術とを組み合わせた新たな技法により、盛籠やパン籠などの作品を生み出しました。
中でも、竹を傘の骨組みにして和紙をはった電気スタンドは人気商品のひとつでした。(写真1)
高崎では工芸品の他に数点の椅子やテーブルなども制作しています。椅子の制作においてはとりわけ試作を重視し、試作品ができると、肘に腰掛けたり、斜めに圧したりして強度を試しました。
今回、タウトが高崎で滞在していた少林山 達磨寺に残る貴重な椅子が登場します。(写真2)
タウトは、当時の文化人に人気のあった日本独特の煙草セットを数多くデザインしました。煙草セットとは、盆・火入れ・灰落とし・煙草入れ・煙管などを組み合わせた煙草盆が、明治・大正以降に簡略化したものです。煙草セットはライターの誕生とともに姿を消し、今では茶道具や歌舞伎の小道具として残るのみです。煙草セットのデザイン画の他に、煙草入れ、シガレットケースなどの実資料を展示します。
タウト直筆によるデザイン画は、置時計や編物籠、ボタンやバックル、縫いぐるみなど約25点紹介します。(写真3)
写真1
写真2
写真3
LIXILギャラリーからのお知らせ
LIXILギャラリーの大阪会場は、2013年8月25日(日)より大阪・うめきた「グランフロント大阪」タワーAの12階に移転オープンさせていただくことになりました。
今後とも変わらぬご愛顧のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。
*南館2階 タワーAオフィス入口より、9階でエレベーター乗り換え、12階へ
■ 関連企画のご案内
講演会「ブルーノ・タウトが遺したものー建築と工芸をめぐる」
参加無料、要申込、先着順(TEL: 06-6733-1790 e-mail:xbn@lixil.co.jp)
■ 新刊LIXILブックレットのご案内
LIXIL BOOKLET『ブルーノ・タウトの工芸−ニッポンの遺したデザインー』
(72ページ/12月中旬発売予定、税込価格1,890円)