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【LIXIL住生活財団】「第4回LIXIL国際大学建築コンペ」最優秀賞受賞作品
カリフォルニア大学バークレー校「NEST WE GROW」が竣工
〜「メム メドウズ」(北海道広尾郡大樹町)に新たな次世代サステナブル住宅が誕生〜

2014年11月25日

住宅・建材産業に関する調査・研究及び、人材育成等の事業に対し助成・支援する公益財団法人LIXIL住生活財団(所在地:東京都江東区、代表:理事長 潮田洋一郎、以下:LIXIL住生活財団)は、カリフォルニア大学バークレー校(米国)設計の「NEST WE GROW」を、同財団の管理する環境技術研究施設「メム メドウズ(Memu Meadows)」(北海道広尾郡大樹町)に竣工したことを発表します。

カリフォルニア大学バークレー校(米国)設計
「NEST WE GROW」

今回建設された「NEST WE GROW」は、LIXIL住生活財団が主催し、次世代のサステナブル住宅の技術を模索・検証し、社会にその技術を発信する「第4回LIXIL国際大学建築コンペ」において、「プロダクティブ・ガーデン──大樹町を五感で味わう空間」をテーマに設計され、最優秀賞を獲得した作品です。

「NEST WE GROW」では、地上のコンクリート壁面に設置された土のブロックでトマトや大根、カボチャなどの深い根をもつ野菜、木のフレームからつり下げられたプランターでは、キュウリやナス、キャベツなどの浅い根の野菜を育てることができ、垂直にも水平にも育つ地域の農作物を楽しめます。地上レベルには人々が集って、調理、食事することができるコミュニティキッチンが設置されています。

建物の主構造は、北海道産集成材でできた9つの柱で構成されています。ファサードと屋根にはポリカーボネート波板を使用することにより、植物に自然光を届け、寒い季節には空間を暖めて植物の育成期間を長くすることを可能にしました。夏季や日中の日差しが強い時間帯には、ファサードと屋根の引き戸が開き、生き物が呼吸するかのように建物内に空気の通りを促します。また、じょうごのような形状の屋根で集められた雨水や雪解け水は、コンクリート壁面の植物の水遣りに使われます。

「NEST WE GROW」の竣工により、現在「メム メドウズ」には、一昨年竣工した早稲田大学設計「町まとう家」(2011年「学生のための住宅デザインコンペ」最優秀作品)、慶應義塾大学設計「BARN HOUSE」(2012年「国際大学建築コンペ」最優秀作品)、および昨年竣工のハーバード大学設計「HORIZON HOUSE」(2013年「第3回LIXIL国際大学建築コンペ」最優秀作品)とあわせ、大学生が設計した住宅が4棟となりました。

これらの住宅は竣工後も、自ら設計した独創的な“次世代サステナブル住宅”の実証が続けられ、その効果検証を続けていきます。LIXIL住生活財団も地元自治体(北海道大樹町)と共に継続的に支援し、またその実証結果の情報発信も行っていきます。

<参考資料>

■「NEST WE GROW」 設計:カリフォルニア大学バークレー校 環境デザイン学部大学院

設計者:

Dana Buntrock(デイナ・バントロック)教授:指導教官
Baxter Smith(バクスター・スミス)さん/Yan Xin Huang(ヤン・シン・ホアン)さん
Fenzheng Dong(ファンゼン・ドン)さん/Hsiu Wei Chang(シュウ・ウェイ・チャン)さん
Hsin Yu Chen(シン・ユー・チェン)さん

設計監修:
隈研吾建築都市設計事務所
施工:
高橋工務店
構造設計:
株式会社オーク構造設計
建築面積:
99.9㎡
工期:
2014年8月〜11月
建設費:
約2,000万円

【コンセプト】

「NEST WE GROW」は、食物で空間が構成され、食物のためにプログラムがデザインされています。木構造は日本のカラマツ林が垂直方向に伸びる様子を模倣したもので、そこで食物は育ち、乾燥のために吊りさげられます。地上レベルにあるコンクリート壁面は周囲のフラットなランドスケープに対して極小の地形を作り出し、この地形的な壁面は食物を育みます。『NEST』のプログラムは、「育て、収穫し、保存し、調理/食事し、そして堆肥化し、また育つ」という地域の食材のライフサイクルによって決まり、それぞれの作業工程を手伝うことによって、年間を通して『NEST』が学習活動のためのプラットフォームとなります。

【特長】

・地域の食材のライフサイクルに対応する建築

春と夏の間、地上のコンクリート壁面に設置された土のブロックでは、トマトや大根、カボチャなどの深い根をもつ野菜が活気を与えます。一方、木のフレームからつり下げられたプランターでは、キュウリやナス、キャベツなどの浅い根の野菜を育てます。秋には、建物の端を囲む通路から野菜を収穫することができます。これらのプラットフォームと通路は訪問者が歩くことができ、垂直にも水平にも育つ地域の農作物を楽しむことができます。地上レベルには人々が集って、調理し、食事することができるコミュニティキッチンを設置しています。コンクリート壁に組み込まれた生ごみ堆肥化容器は、不要な食物を堆肥化し、食材のライフサイクルを作り上げています。

・北海道の気候への対処

建物の基礎である壁は、極小の地形を生みだすことに加えて、冬の北西風も防ぎます。ファサードと屋根に使われたポリカーボネート波板には、植物に自然光を届け、寒い季節に空間を暖めて植物の育成期間を長くするという利点があります。夏季や日中の日差しが強い時間帯には、ファサードと屋根の引き戸が開き、建物内に空気の通りを促します。このファサードの開閉は周囲の自然環境と建物を接続させ、直接的に内部環境と外部環境とつなぎます。また、じょうごのような形状の屋根で雨水や雪解け水を集めてタンクに運び、コンクリート壁面の植物の水遣りに使用します。

■「メム メドウズ」施設概要

所 在 地 :
北海道広尾郡大樹町字芽武158-1 ※旧「大樹ファーム」跡地
管  理 :
公益財団法人LIXIL住生活財団(〒136-8535 東京都江東区大島2-1-1)
敷地面積:
約56,000坪
主要施設:
寒冷地実験住宅「メーム(Même)」(右上写真参照)、実験住宅「竹の家」、
実験住宅「町まとう家」、実験住宅「BARN HOUSE」、実験住宅「HORIZON HOUSE」、
多目的ホール、ラボ棟、 住宅1、2、3号棟(研究者向け宿泊施設)、 ログハウス1、2号棟(研究者向け宿泊施設)、運動棟、 レストラン、サウナ施設、管理棟 など
施設概要:
公益財団法人LIXIL住生活財団が、その設立理念に基づき、北海道大樹町に設立した環境技術研究機構の名称。同機構の中心となるのが、隈研吾建築都市設計事務所が設計した寒冷地実験住宅「Même(メーム)」である。
URL   :
http://www.lixil.co.jp/s/taiki-cho/about/

■「第4回LIXIL国際大学建築コンペ」開催概要

1.参加大学

9カ国・12校 ※◎印3大学が4月25日の公開審査会に進出。

◎The Oslo School of Architecture and Design/オスロ建築デザイン大学(ノルウェー)

Delft University of Technology/デルフト工科大学(オランダ)

Politecnico of Milan/ミラノ工科大学(イタリア)

Liebniz University Hannover/ライプニッツ大学ハノーファー(ドイツ)

◎University of California, Berkeley/カリフォルニア大学バークレー校(アメリカ)

The University of Utah/ユタ大学(アメリカ)

Tongji University/同済大学(中国)

National University of Singapore/シンガポール国立大学(シンガポール)

Bandung Insitute of Technology/バンドン工科大学(インドネシア)

The University of Tokyo/東京大学(日本)

◎Tokyo University of Agriculture/東京農業大学(日本)

Hokkaido University/北海道大学(日本)

2.審査方法

寒冷地における次世代型サステナブル住宅の提案を、世界9カ国12大学より招待形式にて募集。エントリーがあった12大学の作品を一次審査(書類審査)で上位3大学を選出。3大学による公開審査会を実施し最優秀賞を選出する。

3.審査委員

審査委員長:
隈 研吾 氏 〔建築家、東京大学教授〕
審査委員:
野城 やしろ 智也 氏〔工学博士、東京大学副学長、東京大学生産技術研究所教授〕
進士 しんじ 五十八 氏〔造園家、農学博士、東京農業大学名誉教授〕
小山 薫堂 氏〔放送作家、脚本家、東北芸術工科大学教授〕

4.表彰

最優秀賞(1点)―――― 15,000USドル(デザイン費を含む)
優秀賞(2点)――――― 3,000USドル
※最優秀作品は、北海道大樹町「メム メドウズ」敷地内に実作として建設される。

【主催】
公益財団法人LIXIL住生活財団
【共催】
株式会社LIXIL(総合研究所)、北海道大樹町
【後援】
北海道開発局帯広開発建設部、北海道十勝総合振興局、一般社団法人日本建築学会、
公益社団法人日本建築家協会、公益社団法人日本建築士会連合会、株式会社新建築社
【公式サイト】
www.lixiljsfound.or.jp/category/1835715.html
【公式Facebook】
www.facebook.com/LIXIL.IUAC

■LIXILとは

LIXILは、「住生活産業におけるグローバルリーダーとなる」という経営VISIONを掲げ、世界規模でビジネスを展開するグローバル企業です。2009年には衛生陶器等の製造・販売を手掛けるAmerican Standard Asia Pacific (本社:中国)、2011年にハイエンドのカーテンウォール事業を手掛けるPermasteelisa Group(本社:イタリア)を、2013年には北米の衛生陶器事業で認知度の高いAmerican Standard Brands(本社:アメリカ)をそれぞれ取得しました。2014年には、株式会社日本政策投資銀行との共同投資でGROHE社の発行済み株式の87.5%を取得し、持分法適用関連会社としています。