2014年12月16日
会期:2015年1月16日(金)〜2015年2月21日(土)
会場:LIXILギャラリー
壁顔 2013 W377×D224×H475mm 陶
LIXILギャラリーでは2015年1月16日(金)〜2015年2月21日(土)の期間「伊藤 慶二展 《つら》シリーズ」を開催します。
伊藤慶二は岐阜県土岐市に生まれ現在もその地で活動を続けています。その作品は幅広く、和洋食器、茶道具、造形作品など多岐に渡ります。なかでも造形作品の一群は彼の精神性を色濃く表し、1972年から現在まで続く《HIROSHIMA》シリーズや《沈黙》《尺度》《面(めん)》シリーズなどはその代表作です。本展では造形作品で2008年より制作されている《つら》シリーズの10点を展示します。
│開催概要│
「伊藤 慶二展 《つら》シリーズ」
│展覧会の見どころ│
1.土偶や道祖神、仏像に対しているかのような尊さ
《つら》シリーズは伊藤慶二の造形作品の中でも2008年頃より始まった近作になります。本展では《つら》シリーズのなかから10点を展示します。台形や楕円を躯体にした上に、紐土でつくられた細長い鼻や線を刻んだだけの目などシンプルで抽象的な表現が特徴的です。「つら」はややぞんざいな言葉で、「面汚し」といったマイナスイメージで使われることの多い言葉ですが、そこには一筋縄ではいかない諸々を逆説的に表現したユーモアがあります。同時にもの言わぬものたちが語りかけてくるような、静謐な清らかさに満ち、土偶や道祖神、仏像に対しているかのような尊さを感じさせる作品です。
2.祈りの記憶から生み出される造形と黒陶のもつ素朴な温かみ
《つら》シリーズが生まれた背景には、1972年から現在まで続く《HIROSHIMA》シリーズ、《沈黙》《尺度》《鎮魂》《面(めん)》などの一連の作品の流れがあります。
タイトルからもうかがえるように、原爆や度重なる震災への思いと、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)時代より行っている寺社巡りや仏像スケッチなど個人的な祈りの記憶があります。
土という素材を探求し確かな技術を身につけた制作活動は、黒陶との出会いによって、やきものの中でも造形作品での表現を選ぶようになりました。釉薬を使わずに土の色や質感を引き出した作品は、土の存在感が強く感じられ、素材の持つ素朴な温かみや迫力ある重厚感も魅力です。
3.やきものの制作に活かされる油彩画の技術
伊藤は美大卒業後にデザイナーとして岐阜県陶磁器試験場(現・岐阜県セラミックス研究所)で働いているときに陶磁器デザイナーの日根野作三と出会い、自らもやきものの制作を行うようになりました。
伊藤の作品制作は、手作りのスケッチ帳に思いついたイメージを描きとめることから始まります。武蔵野美術学校で油画を学んだ伊藤は現在もペインティングの制作を続けており、2013年岐阜現代陶芸美術館では両方の作品を展示する個展を開催していずれも高い評価を得ています。
《つら》シリーズ (左)がんこ者 2013 W350×D166×H614mm 陶
(右)語りかける 2012 W311×D222×H633mm 陶
│作者略歴│
伊藤 慶二 (Ito keiji)
パブリックコレクション
北海道立近代美術館/アルテマイスター(福島)/東京国立近代美術館/樂翠亭美術館(富山)/岐阜県美術館/岐阜県現代陶芸美術館/パラミタミュージアム(三重)/滋賀県陶芸の森/京都国立近代美術館/エバーソン美術館(アメリカ)/コンテンポラリー・ミュージアム・ホノルル(アメリカ)/ヘッチェンス美術館(ドイツ)/ファエンツァ陶磁器博物館(イタリア)/アリアナ美術館(スイス)/ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(オ―ストラリア)/世界陶磁器エキスポ(韓国陶磁財団)/パリ装飾芸術美術館(フランス)/東京オペラシティ アートギャラリー/菊池寛実記念智美術館(東京)
おんな 2012 W149×D153×H380mm 陶
うたう 2012 W146×D110×H261mm 陶