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ケニアの都市部における水資源保全と水環境改善のための
“超節水型トイレシステム”普及促進事業をスタート
JICA「第4回 開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」に採択

2015年07月31日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長: 藤森義明)が提案した「ケニア共和国(以下、ケニア)の都市部における水資源確保と水環境改善のための“超節水型トイレシステム”普及促進事業」が、独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)が公募した、「第4回 開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」に採択されました。今後はJICAの支援を得ながら本プロジェクトを進めていきます。

LIXILでは、昨年のJICAの同事業において、下水道設備が整っていない非都市部への“循環型無水トイレシステム”普及プロジェクトが採択されており、現在プロジェクトが進められています。今回、非都市部に続き、都市部への“超節水型トイレシステム”普及プロジェクトが採択されたことで、ケニアが経済発展の目標として掲げる「Kenya Vision2030」で宣言されている水環境改善、節水への取り組みに協力・推進していきます。

水道水を配布する給水ローリー

トイレの商品説明

ケニアの国内で安全な水の供給を受けている人口は全体のおよそ59%であり、改善された衛生設備にアクセスできるのはおよそ32%です。ケニアには利用可能な水源の数が少ないうえ、急激な人口増加と都市化が進み、そのスピードに社会インフラが追い付いていない状態です。そのため、水環境問題および衛生環境問題が多く存在しています。市民生活においても断水が頻発する環境が続き、貯水のみならず地下水をくみ上げて使用する生活を強いられています。

※water.org(URL: http://water.org/country/kenya/ )より

こうした背景の中、ケニアのトイレ環境は、流通しているトイレのほとんどが大量の洗浄水を必要とする旧式トイレばかりです。さらに、2〜3回流さなければ完全に排出できないケースが多いため、貴重な水資源を大量に使っています。そのため、LIXILは従来より洗浄水として使用する水を抑えることのできる、日本製の超節水型トイレシステムによる開発効果を検証し、広く普及させるため、本プロジェクトを提案してきました。

本プロジェクトでは、LIXILが今まで培ってきた技術を活かし、ケニアの水資源保全と衛生環境の改善を目的に、超節水型トイレシステムを普及させ、同国の経済発展に貢献していきます。

<参考資料>

■「第4回 開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」について

本事業は、2013年度に開始した公募型事業であり、開発途上国の政府関係者を主な対象とした日本での研修や現地でのセミナー、実証活動等を通じて、日本の民間企業等が持つ優れた製品、技術、システム等への理解を促し、開発課題解決への活用可能性の検討を行うものです。今回はこれまでの一般枠(契約上限金額2千万円)に加え、制度開始以降初めて、2014年度補正予算による健康・医療特別枠(同5千万円)を設定し、医療サービス、機器・システムを組み合わせた展開を支援することで、「日本式医療」による保健医療分野での開発途上国への貢献を目指します。

※JICA Webサイトより抜粋

■本事業におけるLIXILの提案内容

利用可能な水資源の少ないケニアにおいて、超節水型トイレシステム(マイクロフラッシュトイレシステム)を普及させることは、急速に人口が増加する都市部での水資源・都市環境問題の改善につなげます。洗浄水の減量に伴い、水道代を抑えるとともに、腐敗槽(セプティックタンク)の汚泥引き抜き頻度が減ることによりメンテナンスコストの軽減が期待できます。

■「マイクロフラッシュトイレシステム」について

マイクロフラッシュトイレシステムは、従来型のトイレ(水洗トイレ+セプティックタンク)に比べ、洗浄水量が6分の1程度となる超節水型のトイレシステムです。

構造的には従来の封水トラップがなく、フラッパーという開閉式バルブがボウルの下に配置されており、使用待機時には閉じた状態で、排泄前に水をレバー操作でボウルに溜め、排泄後に逆のレバー操作と連動してフラッパーが開くと同時に約0.4リットルの洗浄水とともに流れます。

■実現が期待できる開発効果

①水資源の有効活用

慢性的な水不足問題を抱えながら都市部への人口集中や生活レベルの向上に伴い水洗トイレの利用率が高まっています。本トイレの使用により、洗浄水を大幅に削減し水資源の有効活用(飲用・農業用・産業用水の拡充)が可能となります。

②下水処理コストの低減

集約型の下水処理施設の場合、洗浄水の減少に伴い下水処理量が抑制され、送配水ポンプ利用の軽減、インフラ設備の縮小化等が実現できます。これによって処理にかかるコストの削減が見込まれます。また、分散型処理の場合、引き抜き回数の抑制により、ユーザーの費用負担を約25%削減することが可能です。

③都市環境の改善

少量の水で排泄物を洗浄し、下水道システムへの負荷を低減することを通じて、水質悪化の抑制も見込まれます。また、トイレ用の水利用にかかる節電効果も期待でき、ひいては発電にかかる温室効果ガスの削減も見込めるため、都市環境の改善にも寄与します。

④雇用創出

現地法人を通じた事業実施に伴い、現地に雇用を創出します。販売量の増加に応じ、現地生産を検討しており、その際には更なる雇用機会として、現地貢献が可能となります。

⑤期待される開発効果の試算

モンバサ市を例に、10万世帯に導入された場合、年間250万tの水道使用量の節約になり、モンバサ水道供給量の11%にあたります。