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INAXライブミュージアム企画展
『大地の赤−ベンガラ異空間』
The Red of the Earth - Distinctive Bengara (Ferric Oxide) Spaces
【会期】2015年4月25日(土)〜9月6日(日)
【会場】INAXライブミュージアム 「土・どろんこ館」企画展示室

2015年03月20日

株式会社LIXILが運営する、土とやきものの魅力を伝える文化施設「INAXライブミュージアム」(所在地:愛知県常滑市)では、土の魅力を体感できる「土・どろんこ館」企画展示室において、2015年4月25日(土)から9月6日(日)まで、企画展『大地の赤−ベンガラ※1異空間』を開催します。

ベンガラで彩色された法華経寺の五重塔
(千葉県市川市/ 1622年/ 重要文化財)
写真:梶原敏英

「赤」は人類にとって身近な色のひとつであり、同時に特別な意味を持つ色とされてきました。1万5000〜8000年前のアルタミラ洞窟(スペイン)や、ラスコー洞窟(フランス)壁画には赤が塗られていましたが、さらに時代を遡る7万5000年前、人類最初の装身具や模様が発見された南アフリカ・ブロンボス洞窟でも、赤の着色原料であるベンガラ片(赤い鉄鉱)が発見されています。赤は「彩る」という行為の原初から、必須の色だったようです。日本でも、鳥居や寺院の柱や戸、町屋の格子や壁、仏像、また、縄文時代の土器や土偶の多くは、元来赤く塗られていたと考えられています。

最古の顔料のひとつと言われる赤の着色原料「ベンガラ」は、地球上の物質のなかで最も多い「鉄」の酸化物を主成分とし、色落ちしにくく、防腐・防虫効果もあることから、江戸から昭和初期には日本各地で木造建築の建具や軒先、壁などに塗られていました。また、江戸時代には岡山県吹屋(ふきや)地区で「ローハベンガラ※2」と呼ばれる上質なベンガラが生産され、九谷焼や有田焼といった高級磁器の上絵付けや漆器の彩色にも使われました。本展では、このように身近な着色料でありながら素性があまり知られていない「ベンガラ」に焦点をあて、歴史や製造方法を紐解き、赤に彩られた品々をご覧いただきます。赤く彩るためのさまざまな「原料」や、ベンガラの「歴史」、「製造方法」、また、江戸時代から昭和にかけて岡山県吹屋で生産した上質の「ローハベンガラ」を紹介するほか、ベンガラが使われた土器や磁器も展示します。古来生活文化に深く溶け込み、日常とは異なる世界へ人びとを誘う、「ベンガラ」が作り出す異空間の魅力を感じていただけます。

▲ベンガラ  写真:岡村喜知郎

※1 ベンガラ:酸化第二鉄を主成分とする赤色顔料の慣用名。「弁柄」「紅殻」などと表記されることもある。

※2 ローハベンガラ:硫化鉄鉱から取り出した緑色の結晶「ローハ」を焼成し作ったベンガラ。ローハを低温で長時間焼成し、水簸(すいひ)を繰り返し行うことで良質なベンガラができる。

■開催概要

INAXライブミュージアム企画展
『大地の赤−ベンガラ異空間』
The Red of the Earth -Distinctive Bengara (Ferric Oxide) Spaces

【会 期】
2015年4月25日(土)〜 9月6日(日)
【会 場】
INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」
企画展示室
〒478-8586愛知県常滑市奥栄町1-130
TEL:0569-34-8282  FAX:0569-34-8283
【休館日】
第3水曜日(祝日の場合、翌日)
【観覧料】
共通入館料にて観覧可
(一般:600円、高・大学生:400円、
小・中学生:200円)
【企 画】
INAXライブミュージアム企画委員会
【展示デザイン】
西本剛己(ARTLAB+)

▲ 九谷焼の赤絵 写真:岡村喜知郎

■展示概要

ベンガラ格子に囲まれた通路など、“赤い空間”を体感いただきながら、ベンガラにまつわる展示をご覧いただきます。赤く彩るためのさまざまな「原料」や、ベンガラの「歴史」、「製造方法」、また、江戸時代から昭和にかけて岡山県吹屋で生産した上質の「ローハベンガラ」をご紹介するとともに、ベンガラが使われた製品などを展示します。

▲ベンガラを製造していた旧片山邸(重要文化財/岡山県)
  の作業場 (写真:梶原敏英)

▲ベンガラ格子

【主な展示品】
・朱彩浅鉢(縄文時代晩期)<愛知県陶磁美術館蔵>・・・・・・・・・・・・・・写真(a)
・人面付土器(弥生土器)(弥生時代前期〜中期)<愛知県陶磁美術館蔵>
・パレススタイル壺(弥生時代後期)<愛知県教育委員会蔵>・・・・・・・・写真(b)
・九谷焼(福島武山 作品 他)20点予定<作家蔵>
・有田焼(十四代今泉今右衛門 作品)2点<作家蔵>・・・・・・・・・・・・・・・写真(c)
・朱泥急須(小西友仙 作品)2点 <個人蔵>

(a) 朱彩浅鉢

(b) パレススタイル壺

(c) 十四代今泉今右衛門
色鍋島牡丹文高台皿・足付鉢

■関連書籍■

『大地の赤−ベンガラ異空間』
2015年4月25日発売予定

天地:257mm×左右182mm/オールカラー総64ページ/無線綴じ
定価:1,500円(税別)
発行:LIXIL出版

■INAXライブミュージアム(LIXILグループ)概要

「世界のタイル博物館」「窯のある広場・資料館」「建築陶器のはじまり館」「土・どろんこ館」「陶楽工房」「ものづくり工房」の6館で構成された“体験・体感型ミュージアム”。土からやきものまで、その歴史や文化、美しさや楽しさを伝えています。土と陶の魅力に触れる体験教室や企画展、ワークショップも開催。

所在地:愛知県常滑市奥栄町1‐130
TEL:0569‐34‐8282
休館日:毎月第3水曜日、年末年始
共通入館料:一般600円、高・学生400円、小中学生200円
ホームページ: http://www1.lixil.co.jp/ilm/
LIXIL文化活動Facebook: https://www.facebook.com/LIXIL.culture