LIXILギャラリーのやきもの展では、森 孝一氏(美術評論家・日本陶磁協会常任理事)をアドバイザーに迎え、「生活とアート」をコンセプトに新しい切り口の展覧会を開催しています。
小池頌子展 -遠い煌めき-
会期:2016年1月8日(金)〜3月7日(月)
会場:LIXILギャラリー
「ラスター彩 チューリップ文 高坏」(部分)
1985 H10×31×31cm
撮影:谷山真一郎
LIXILギャラリーでは2016年1月8日(金)〜3月7日(月)の期間「小池頌子展−遠い煌めき−」を開催します。
小池頌子氏は1970年代より制作を始め、現在に至るまで数多くの展覧会を開催し受賞を重ねる人気の作家です。代表作である《貝のうつわ》シリーズのしなやかで大胆な造形による独特の世界観は多くの人々を魅了しています。
本展では、こうした代表作が誕生する以前の1980年代に制作されていたラスター彩で絵付けされた器などを中心に、未発表作品を含む約20点を展示します。時空を超えて煌めく小池氏の創作の原点に触れる機会となります。
「貝のふたもの」 (8点)
1984 1点 H7.5×5×5cm
撮影:谷山真一郎
「小池頌子展 −遠い煌めき−」
- 会 期
- 2016年1月8日(金)〜3月7日(月)
★アーティスト・トーク&レセプション
日時:2016年1月8日(金)18:30〜20:00
- 休館日
- 水曜日、2016年2月21日(日)
- 開館時間
- 10:00〜18:00
- 企 画
- 株式会社LIXIL
- 会 場
- LIXILギャラリー
- 観覧料
- 無料
- 会場写真
- http://www1.lixil.co.jp/gallery/
会期開始5日目から会場写真をご覧頂けます。
ラスター彩と青色の原型
小池頌子氏は1943年生まれ、東京藝術大学大学院陶芸専攻にて陶芸を学び、その作品は内外で高い評価を得ています。小池氏の代表作である《貝のうつわ》シリーズは、貝をイメージした大きく波打つのびやかで大胆な造形が特徴的な作品です。
小池氏の作品の制作背景には、青空の反射する校庭の水たまりに感動した体験やフェルメールの「青いターバンの娘」、ペルシャ美術の影響があると言われます。
今回展示される1980年代に制作されたプレート皿やお椀には、庭土を混ぜたという砂粒の点々が残る土肌に、雨、風紋、砂に埋まる貝、幾何学文様、星座などの独特のモチーフがドローイングされています。それは小池氏だけの砂漠の風物詩のようです。
また、淡い青色を基調にうねるチューリップがあふれんばかりに描かれた高坏は、庭に咲いた花を描いたとされながらも、チューリップが国花であるトルコのイズニックタイルを連想させ、エキゾチックな雰囲気が感じられます。
その他に鳥や鹿、騎乗の人物など、ペルシャ美術のアイコンとも言えるモチーフが、大らかに勢いのある筆致でラスター彩を使って描かれている作品が約20点展示されます。
こうした初期の作品から、螺旋形の貝のかたちや真珠色や青色の釉薬などの煌めくイメージが、時空を遡り現在の作品へと続いていることがうかがわれます。
本展で小池氏の創作の原点に触れることで、さらにその作品を深く理解する機会となればと思います。
小池 頌子 (KOIKE Shoko)
- 1943
- 北京に生まれる
- 1969
- 東京藝術大学大学院陶芸専攻修了 サロン・ド・プランタン賞受賞
- 1984
- 個展(乾ギャラリー/東京 '87.'93)
- 1985
- 個展(サボア・ヴィーブル/東京)
- 1986
- 個展(寛土里/東京 '88.'90.'92.'94.'96.'97.'06.'08.'10.'14)
- 1988
- 第1回「ミーム・プール・同時代の邂午逅 花と陶」(小原流会館/東京)
「惑星直列」(GALLERY 小柳/東京)
- 1992
- 個展(GALLERY 小柳/東京 '94)
- 1993
- 「Modern Japanese Ceramics in American Collection」(ジャパン・ソサエティ/ニューヨーク.)
- 1994
- 「魅惑の現代陶芸−用の否定と肯定−」(草月会館/東京)
- 1995
- 「陶芸の現在・発信する器」(島屋/東京、京都)
- 1996
- 「現代陶芸の若き旗手たち」(愛知県陶磁資料館)
- 1997
- 「嗜欲の器<器物と美術>」「嗜欲の器<器物と美術>」(ギャラリーいそがや/東京)
「'97 Taegu Asia Arts Exhibition」(大邱文化美術館/韓国)
「Japanese Ceramics」(Zetterqist Gallery/ニューヨーク)
「土の透視図」(コンテンポラリーアートNIKI/東京 '99)、個展(SILVER SHELL/大磯)
- 1998
- 「陶芸の現在的造形」(リアス・アーク美術館/気仙沼)
「かたちの領分−機能美とその転生−」(東京国立近代美術館工芸館)
「八木明・小池頌子二人展」(Zetterquist Galleries/ニューヨーク)
- 2003
- 「現代陶芸・14人の尖鋭たち−器から造形へ−」(高知県立美術館)
「Japanese Ceramic Today Part3 」(菊池寛実記念智美術館/東京)
- 2004
- 個展(Space TRY /東京 '06)、個展(ギャラリーたち花/東京)
- 2005
- 「Contemporary Clay Japanese Ceramics for the New Century 」(ボストン美術館)
- 2006
- 「現代陶芸の粋−東日本の作家を中心に−」(茨城県陶芸美術館)
「TOJI 日本陶芸の伝統と前衛」(国立セーブル陶磁美術館/フランス)
「新世紀の日本陶芸」(ジャパン・ソサエティ/ニューヨーク)
「現代の茶陶−造形の自由と用の見立て」優秀賞受賞(菊池寛実記念智美術館/東京)
- 2007
- 「郡青の彼方から 小池頌子」展(菊池寛実記念智美術館/東京)
- 2008
- 「Generosity in Clay 」(The Clark Center for Japanese Art and Culture/U.S.A.)
「智美術館大賞展 現代の茶−造形の自由・見立ての美」(菊池寛実記念智美術館/東京)
- 2009
- 2008年度日本陶磁協会賞受賞
「2008年度日本陶磁協会賞・金賞受賞記念 小池頌子・加藤孝造展」(壺中居/東京)
「Through the Seasons: Japanese Art in Nature」(Stone Hill Center, Sterling and Francine Clark Art Institute /U.S.A.)
- 2010
- 個展 (Joan B.Mirviss Gallery//ニューヨーク '13)
- 2012
- 「川崎毅・小池頌子−街の風景・白のかたち−」(和光ホール/東京)
- 2014
- 「Japanese Ceramics for the Twenty-first Century 」(The Art Walters Museum /U.S.A.)
「Fired Earth, Woven Bamboo Contemporary Japanese Ceramics and Bamboo Art 」(ボストン美術館)
- 2015
- 個展「小池頌子展」(ギャラリー上田/東京)、個展(ギャラリーたち花/東京)