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汚物や水アカの付着を防止し、キレイが100年つづく新技術を開発
“水のチカラで、ずっと輝く” 世界初の衛生陶器『アクアセラミック』誕生
〜4月よりLIXILの主要住宅トイレシリーズに展開〜

2016年02月23日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:瀬戸欣哉)は、「汚物」や「水アカ」による汚れというトイレ最大の悩みを解決し、キレイが100年つづく衛生陶器『アクアセラミック』を開発しました。「汚物」と「水アカ」の汚れを同時に防ぐという新たな性能と、「キズ汚れ」「細菌汚れ」という従来の性能をあわせ持つことでトイレの4つの汚れすべてに応えることができる世界初の衛生陶器です。

LIXILでは、2016年4月より、主要住宅トイレシリーズに展開していきます。

※2016年2月23日現在 当社調べ。

『アクアセラミック』 キービジュアルとロゴ

ユーザーのトイレに対する一番の困りごとは「清掃性」です。その解決に向けLIXILでは、トイレの汚れが、キズ汚れ、細菌汚れ、汚物汚れ、水アカ汚れの4つに分類できることを究明、ユーザーニーズに応えるための技術開発を四半世紀に渡り取り組んできました。

そして今回、衛生陶器が本来持つ硬さ(キズ防止)や、抗菌の国際規格ISO22196に準拠した抗菌性能を保ちながら、「汚物」と「水アカ」の汚れを同時に防ぐ性能をあわせ持つことで4つの汚れすべてに応えることができる世界初の衛生陶器『アクアセラミック』を新たに開発しました。

その新技術の特長は、陶器表面の「超親水性」と「水酸基(-OH)が露出しない構造」です。水になじみやすい「超親水性」は、陶器に付着した汚物の下へ洗浄水を入り込ませ、水の力で汚物を浮かび上らせ、洗い流すことを可能としています。また、洗浄水に含まれるシリカが陶器表面の水酸基(-OH)と化学的に結合することで発生する「水アカ」への対応として、『アクアセラミック』では「水酸基が露出しない構造」としています。その結果、「水アカ」の発生を防ぐことができ、陶器表面をいつまでも平滑な状態を保つことができるようになります。

さらにこうした特性を持たせ続けるため、LIXILでは、「汚物」と「水アカ」に対して防汚機能の役割を果たす特殊な物質を釉薬に一体化させる新技術を開発しました。別の素材で覆うコーティングとは異なり、強度の維持にも成功しています。強度実験の結果では、この新陶器『アクアセラミック』は実に100年以上摩耗しないことが確認できています。『アクアセラミック』は、日常の簡単なお手入れだけで、新品の時の輝きが100年以上続くことが期待でき、さらにはお掃除に必要な水や洗剤を大幅に低減することが可能です。

LIXILでは、4月より主要住宅トイレシリーズに展開していくほか、洗面化粧台、トイレ手洗いなどの陶器製の水回り製品においても新品時の輝きが100年続く『アクアセラミック』を活用した製品開発を進めてまいります。

『アクアセラミック』スペシャルサイト:
http://www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/s/aquaceramic/

<参考資料>

■“水のチカラで、ずっと輝く”世界初の衛生陶器『アクアセラミック』の特長

1.汚物汚れを水のチカラで浮かして流す“超親水性”

『アクアセラミック』の表面は、水になじみやすい“超親水性”です。陶器表面に付着した汚れの下へ水が入り込み汚れを浮き上がらせます。その効果は、陶器表面に書いた油性インクも、その上にスポイトの水滴を垂らすだけで、陶器から浮かび上がるほどです。
この“超親水性”により、少量の洗浄水で、汚物を綺麗に洗い流します。

■超親水性のイメージ

アクアセラミックの陶器表面が非常に水になじみやすい「超親水性」のため、陶器に付着した汚れの下に水が入り込むことで汚れを浮かび上がらせます。

2.「水アカ」の固着を防ぎ「便器の黒ずみ」の悩みを解消

「水アカ」固着の原因は、陶器表面の水酸基(-OH)と洗浄水に含まれる水アカ成分(シリカ)の化学結合です。そのため一度固着すると、洗剤で洗ったぐらいでは落ちなくなります。また、固着した水アカにより、陶器の表面がザラつき、そこに汚物やホコリが付着、さらには細菌が繁殖して黒ずみやピンクカビが便器内部を覆う、いわゆる水アカ汚れによりますます不衛生になっていきます。

<従来の水アカ形成メカニズム>

従来の陶器は、表面の水酸基(OH)と、洗浄水(H2O)に含まれる水アカ成分「シリカ(SiO2)」が化学結合し、水アカとして固着

そこに汚物やホコリ、鉄分が付着。
また細菌が繁殖し黒ずむ。

水アカは色が透明に近いため、掃除をすると一見、綺麗になっているように見えるが、表面はザラつき凸凹状態に。写真左が新品陶器の表面。水アカがどんどん固着し、数年で写真右のようになります。

■「水アカ」を固着させないアクアセラミック

『アクアセラミック』では、陶器表面に水酸基が露出しない構造設計のため、水アカが固着しません。よって、水アカが起因した「便器の黒ずみ」などの水アカ汚れがなくなります。
今回この技術で試作した便器の使用実験でも水アカは固着しないことが確認され、今後『アクアセラミック』の技術を採用することで、「新品時の輝きが100年続く」トイレの開発が可能となりました。

■アクアセラミックの組成イメージ

「アクアセラミック」は、親水基(OH-)を露出しない構造にするために「汚物」と「水アカ」に対して防汚機能の役割を果たす特殊な物質を釉薬に一体化させています

■トイレ汚れに取り組み四半世紀、新陶器はこれまでの研究の結実

1994年4月、LIXILは、世界初の衛生陶器の抗菌技術「キラミック」を使った“抗菌トイレ”を発売しました。この"抗菌トイレ"発売を機に、「トイレが汚れにくくなった」という声が寄せられるようになり、1997年1月、「汚れに強い、次の衛生陶器の技術開発」をテーマとして、当時珍しかった組織横断によるプロジェクト「ポストキラミックプロジェクト」が発足。トイレ汚れに対して本格的な取り組みが開始されました。
研究を進めるなかで、トイレ汚れにおける4つの要素(「表面のキズ」と「細菌の繁殖」「汚物の付着」「水アカの固着」による汚れ)が判明。このうち「キズ」と「細菌」はこれまでの技術開発により高い水準でクリアできていたため、「キズ」と「細菌」の防汚水準を維持しながら、「汚物の汚れ」と「水アカの汚れ」の両方を解決する衛生陶器づくりへの挑戦がスタートしました。
研究開始から2年後には、「水アカ」をある程度抑制できる衛生陶器の開発に成功。しかし、当初からの目標である「汚物」と「水アカ」の双方を解決する商品開発に向け、さらなる研究が進められました。
そしてこのたび、「陶器でトイレの汚れを解決する」というプロジェクトを立ち上げてから約20年の年月を経て、従来の陶器の機能(キズ・細菌の防汚)を維持しながら、「汚物の汚れ」と「水アカの汚れ」にも対応した、当社史上最高品質の衛生陶器として今回の『アクアセラミック 』が誕生しました。

【LIXILのトイレ(衛生陶器)年表】

■世界から認められた新素材〜「Material ConneXion」の評価

「Material ConneXion(マテリアルコネクション)」は、アメリカ・ニューヨークを本拠地とし、世界中から収集されたマテリアル情報を活かして製品開発や用途開発などのコンサルティングを行う企業です。会員数は現在、企業、研究者、デザイナーなど約36,000名、データベースの利用者数は約100万に及びます。そんな“素材のプロ集団”とも呼ばれる同社に「アクアセラミック」を評価してもらったところ、副社長であるアンドリュー・デント氏をはじめ同社を代表する方々から、高い評価を受けました。
Material ConneXion Tokyo:
http://jp.materialconnexion.com/

Material ConneXion副社長
アンドリュー・デント氏

「サニタリープロダクトにおける革命的テクノロジーです」

Material ConneXion副社長 アンドリュー・デント氏

これまで、汚れを付着させないためには親水性よりも撥水性が重視されてきました。そのほうがザッと流せると考えられた。汚れが浮かび上がってくるのを観るだけで、この素材のよさは伝わってきます。非常に革新的な素材であり、私自身わくわくしました。
抗菌性、硬度にも優れ、短期では油性を含む汚れ、長期で見れば水アカ汚れという両方がこのアクアセラミックの技術で解決できます。親水性を持つ素材はステンレスやファブリック、ガラス、セラミックなどでいくつかありますが、考え方が違います。
私自身の印象として、日本の素材はテクノロジーと伝統、クラフトマンシップの融合が大変にうまいと思っています。美しいだけでなく、そこにハイテクが隠されている。また、人々が困っていることを解決しようとするのが日本のテクノロジーのよさです。アクアセラミックを使ったトイレは、見た目ではわからない素晴らしい機能が隠されている。100年後も買った時のままきれいであること。私はふだん革命的という言葉はなるべく使わないようにしていますが、これはまさにサニタリープロダクトの革命と言えるでしょう。

Andrew H. Dent Ph.D.
Material ConneXion副社長兼ライブラリーおよびマテリアルリサーチ部門責任者。イギリス出身。ケンブリッジ大学でマテリアルサイエンスの博士号を取得。ノッティンガム大学大学院で高速フレーム溶射による耐摩耗性および耐食性コーティングの研究開発に携わったのち、ニューヨーク州立大学大学院の博士研究員を経て、2001年Material ConneXionに入社。著書に『マテリアルコネクション 建築家・アーティスト・デザイナーのための革新的素材のグローバルリソース』『ウルトラマテリアル 素材イノベーションが世界を変える』(共にテムズ&ハドソン社)、『ファッショニングフェルト』(スミソニアン協会)。