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【LIXIL住生活財団】環境技術研究施設「メム メドウズ」(北海道広尾郡大樹町)に
デンマーク王立芸術アカデミー「INFINITE FIELD」が竣工
〜「第6回LIXIL国際大学建築コンペ」最優秀賞受賞の次世代サステナブル住宅〜

2016年10月28日

住宅・建材産業に関する調査・研究及び、人材育成等の事業に対し助成・支援する 公益財団法人LIXIL住生活財団(所在地:東京都江東区、代表:理事長 潮田容子、以下:LIXIL住生活財団)は、同財団の管理する環境技術研究施設「メム メドウズ(Memu Meadows)」(北海道広尾郡大樹町)において、デンマーク王立芸術アカデミー(デンマーク)設計による次世代サステナブル住宅「INFINITE FIELD」を竣工致しました。

「INFINITE FIELD」は、LIXIL住生活財団が主催し、次世代のサステナブル住宅の技術を模索・検証、社会にその技術を発信する「第6回LIXIL国際大学建築コンペ」において、「Comfort and Lightness(ライトウェイトな快適さ)」をテーマに、コンペ史上初の試みとなる組み立て・移動できる軽い住居として設計・提案され、最優秀賞を獲得した作品です。

デンマーク王立芸術アカデミー設計「INFINITE FIELD」

「INFINITE FIELD」は、眺望性に優れる360度開かれた木製のプラットホームと、透過性のある柔らかな膜に包み込まれるようなデザインが特徴的な家となっています。地表面から持ち上げられたプラットホームは、この地域の平均積雪量の高さに合わせられており、冬季には無限に広がる雪原を望むことができ、夏においては涼をとるための休憩所となるなど、変化する大樹町の四季を感じることができるよう設計されています。

また、多様なテキスタイルにより構成されている膜は、自然を内部へ招き入れると同時に、建築自体を移動可能なものとしています。使用されている布地は、レイヤー状に重ね合わせ空間を創り上げる際、快適な熱環境を確保できるよう、様々な環境的な特性を考慮した上で選択されています。ここに滞在する人々は、これらの膜のレイヤーを自ら操作し、付け足したり、または除いたりすることにより環境と自分自身らの関係性を調整することができるようになっており、縁側空間を拡張していくように機能します。

「INFINITE FIELD」の竣工により、現在「メム メドウズ」には、大学生が設計した住宅が6棟となりました。これらの住宅は、今後“次世代サステナブル住宅”として効果検証を続けていきます。

≪添付資料≫

■「INFINITE FIELD」 設計:デンマーク王立芸術アカデミー(デンマーク)

指導教官:
Anders Brix(アンダーズ・ブリックス)教授
学生:
高田 一正(たかだ かずまさ)さん
Bas Spaanderman(バス・スパーデルマン)さん
Scarlett Emma Hessian(スカーレット・エマ・へシアン)さん
Jesse Thomas(ジェシー・トーマス)さん
Benjamin Hock Yuu Tan(ベンジャミン・ホック・ユー・タン)さん
Konstantinos Fetsis(コンスタンティノス・フェシス)さん

設計監修:隈研吾建築都市設計事務所
施工:  高橋工務店
建設費:約1,500万円

構造設計:株式会社オーク構造設計.
建築面積:21.3㎡
工期:  2016年8月〜2016年10月

【特長】

・季節的変化

「INFINITE FIELD」は、周囲の自然環境と関係を結びつつ、人々が自らの環境を作り上げていくことができるような、透過性のある空間体験を創り上げています。地表面から持ち上げられたプラットホームは、この地域の平均積雪量の高さに合わせられており、ランドスケープを一望できるのみならず、冬季には無限に広がる雪原を望むことができるよう、また夏においては涼をとるための休憩所となるよう設計され、穏やかな空気の中で周囲に広がる草原や木々、青空などを望む場所を提供します。この360度開かれた木製のプラットホームでは、周囲の自然環境の眺望を得られ、また静かで穏やかな空間が創出されます。

・空間的触覚性

「INFINITE FIELD」において、建築は、人々をその周辺環境と結びつけつつ、同時に滞在者が変化する環境を快適に体験し楽しむ事ができるような、可変的でグラデーショナルな存在となっています。多様なテキスタイルにより構成されている透過性のある柔らかな膜は、自然を内部へ招き入れると同時に、建築自体を移動可能なものとし、かつ四季と共に呼吸することを可能にしています。プラットホーム上において、人々はこれらの膜のレイヤーを自ら操作し、付け足したり、または除いたりすることにより、環境と自分自身らの関係性を調整することができます。これらのレイヤーは縁側空間を拡張していくように機能し、内部を包み込みつつも自然を招き入れ、触覚的な建築と自然との交流を創出します。

・物質的住居

布で構成される建築は、慣れ親しんだ景色に異なる視点を与えてくれます。内部の膜から垂れ下がる一連の絹は、空気の流れを一時的に塞き止め、熱が逃げるのを防ぎます。また滞在者は、絹がかすかに揺れ動く様子を捉えることにより、僅かな空気の流れの中の微細な空間の変化を知覚することができます。使用されている布地は、レイヤー状に重ね合わせ空間を創り上げる際に快適な熱環境を確保できるよう、様々な環境的な特性を考慮した上で選択されています。

■「第6回LIXIL国際大学建築コンペ」概要

1.参加大学 10カ国・12校 ※◎印が最優秀校、○印が最終審査に進出。

 Cornell University /コーネル大学(アメリカ)
 Parsons School of Design/パーソンズ美術大学(アメリカ)
 Universidad Nacional Aut?noma de M?xico (UNAM), the CASA Research and Design Group
  /メキシコ国立大学(メキシコ)
◎Royal Danish Academy of Fine Arts/デンマーク王立芸術アカデミー(デンマーク)
 Polytechnic of Milan/ミラノ工科大学(イタリア)
○HESAM University / ENSA Paris-La-Villette
  /HESAM University/パリ・ラ・ヴィレット建築大学(フランス)

 Swiss Federal Institute of Technology (ETH) Zurich
  /スイス連邦工科大学チューリッヒ校(スイス)
 University of Melbourne/メルボルン大学(オーストラリア)
 Chulalongkorn University/チュラロンコン大学(タイ)
 University of Cape Town/ケープタウン大学(南アフリカ)
 Kyoto Institute of Technology/京都工芸繊維大学(日本)
○Yokohama National University/横浜国立大学(日本)

2.審査方法

寒冷地における次世代型サステナブル住宅の提案を、世界10カ国12大学より招待形式にて募集。一次審査(書類審査)で上位3大学を選出。3大学による公開審査会を実施し最優秀賞を選出する。

3.審査委員

審査委員長
隈 研吾氏(審査委員長、建築家、東京大学教授)
審査委員
野城 やしろ 智也 氏(東京大学生産技術研究所教授)
新谷 眞人氏(構造家、早稲田大学名誉教授)
塚本 由晴氏(建築家、アトリエ・ワン共同代表、東京工業大学大学院教授)
デイナ・バントロック 氏(建築家、カルフォルニア大学バークレー校教授)

4.表彰

最優秀賞(1点)―――― 15,000USドル(デザイン費を含む)
優秀賞(2点)――――― 3,000USドル

■「メム メドウズ」施設概要

所 在 地 :
北海道広尾郡大樹町字芽武158-1 ※旧「大樹ファーム」跡地
管  理 :
公益財団法人LIXIL住生活財団(〒136-8535 東京都江東区大島2-1-1)
敷地面積:
約56,000坪
主要施設:
寒冷地実験住宅「メーム(Même)」、実験住宅「竹の家」、実験住宅「町まとう家」、実験住宅「BARN HOUSE」、実験住宅「HORIZON HOUSE」、実験住宅「NEST WE GROW」、実験住宅「INVERTED HOUSE」、ワークショップスタジオ「スタジオ メム」、多目的ホール、コンファレンス・センター、住宅1、2、3号棟(研究者向け宿泊施設)、ログハウス1、2号棟(研究者向け宿泊施設)、運動棟、レストラン、サウナ施設、管理棟 など
施設概要:
公益財団法人LIXIL住生活財団が、その設立理念に基づき、北海道大樹町に設立した環境技術研究機構の名称。同機構の中心となるのが、隈研吾建築都市設計事務所が設計した寒冷地実験住宅「Même(メーム)」である。
URL   :
http://www.lixil.co.jp/s/taiki-cho/about/