2016年04月06日
株式会社LIXILが運営する、土とやきものの魅力を伝える文化施設「INAXライブミュージアム」 (所在地:愛知県常滑市)では、「世界のタイル博物館」の企画展示室において、2016年4月16日(土)から8月31日(水)まで、企画展『タイルの幾何学 −秩序と無限の模様』を開催します。
▲カットワークモザイク 20世紀/モロッコ
幾何学は古代エジプトにおいて、ナイル川の氾濫によって生じた土地測量の必要性から発達したと言われます。古代ギリシャでは、数学者で哲学者のピタゴラス(B.C.582-B.C.496)らが、直角三角形の三辺の長さの関係性を表す等式「ピタゴラスの定理(三平方の定理)」を発見するなど、幅広く深く図形を研究し、後のユークリッド(B.C.300?-)によってまとめられたとされる『原論』は一貫した論理的枠組みを構築してそれらを体系化し、現在の幾何学の源流をなしています。
イスラームの世界でも、ギリシャやインドなどから伝わった数学の知識を融合し幾何学が発達していきました。9世紀頃から建築の内・外壁、天井などに使われはじめたタイルのデザインにも、偶像崇拝を禁じる宗教上の理由も相まって、積極的に幾何学模様が採り入れられました。
コンパスと定規を用いて描かれた設計図をもとに、さまざまな形にカットされ、組み合わされたモザイクタイルは、 モスクや廟(びょう)などの壁や天井にまで複雑な幾何学模様を描き、数学を根底にした秩序と、反復性や連続性による無限の広がりを感じさせる壮麗なデザインを形づくっています。
イスラームのタイルの制作技法や幾何学模様を基調としたデザインは、やがてヨーロッパへ伝わり、技法の改良や時代、文化を背景に独自のデザインが編み出されます。これらのタイルには、幾何学模様そのものが、あるいは、幾何学模様と組み合された草花などの文様が、連続して張られることを意識したデザインとして採り入れられ、リズミカルで優美な空間を生みだしています。
本展では、幾何学模様によって平面を埋め尽くすタイルならではの面白さを紐解くと共に、イスラームはもとより、スペイン、イギリスなどの幾何学模様のタイルを展示し、タイル一枚一枚の深い味わいと、組み合わせることで生じる無限の装飾美をお楽しみいただきます。また、建て替えのため2015年8月31日に閉館となった「ホテルオークラ東京 旧本館」のタイル(「世界のタイル博物館」に収蔵)を展示し、日本における幾何学模様の建築装飾を紹介します。
INAXライブミュージアム企画展
『タイルの幾何学 −秩序と無限の模様』
Geometry of Tiles - Orderly and Infinite Pattern
アルハンブラ宮殿(スペイン)のタイル装飾
<INAXライブミュージアム「世界のタイル博物館」では、様々な切り口から装飾タイルの魅力に迫る企画展を開催しています>
象嵌タイル(イギリス)の図形パターン
正多角形1種類で構成するもの、正多角形2〜3種類で構成するもの
(「アルキメデスの平面充填」)などの周期的タイリング
植物文様やアラビア文字と組み合わされた幾何学模様
八芒星と十字形タイルの組み合わせによるタイル装飾
瀬戸の本業敷瓦
「ホテルオークラ東京 旧本館」のタイル
a) 日本古来の文様である「鱗文(うろこもん)」を採り入れた金色、正三角形タイル
(同様のタイルは、別館にも使用されています。)
b) 「平安の間」の壁面に使用され、「鱗文」・「亀甲文」などを表現した7種の特殊面状三角形タイル
c) 「ホテルオークラ東京 旧本館」正面玄関
a)
b)
c)画像提供:株式会社ホテルオークラ
INAXライブミュージアム概要
「世界のタイル博物館」「窯のある広場・資料館」「建築陶器のはじまり館」「土・どろんこ館」「陶楽工房」「ものづくり工房」の6館で構成された“体験・体感型ミュージアム”。土からやきものまで、その歴史や文化、美しさや楽しさを伝えています。
土と陶の魅力に触れる体験教室や企画展、ワークショップも開催。
所在地:愛知県常滑市奥栄町1‐130
TEL:0569‐34‐8282
休館日:毎月第3水曜日、年末年始
共通入館料:一般600円、高・学生400円、小中学生200円
ホームページ: hhttp://www1.lixil.co.jp/ilm/
LIXIL文化活動Facebook: https://www.facebook.com/LIXIL.culture