2016年08月19日
WASHI 紙のみぞ知る用と美 展
The Wondrous Beauty and Utility of Japanese Handmade Paper
会期:2016年9月9日(金)〜11月22日(火)
会場:LIXILギャラリー (大阪会場)
写真1:修二会紙衣。
東大寺二月堂で行われる「修二会(しゅにえ)」(お水取り)で練行衆(僧侶)が着用した紙衣(かみこ)。灯明の煤跡が見られる。
白い和紙は清浄を表し、練行衆は自ら紙衣紙を揉んで仕立てる。紙衣は、揉みほぐした紙でできた衣で、日本では平安時代より存在していたと記録されている。W1250×H1280(mm)
所蔵:桂樹舎和紙文庫、撮影:佐治康生
「建築とデザインとその周辺」をめぐり、独自の視点でテーマを発掘するLIXILギャラリー(大阪会場)の企画展では、2016年9月9日(金)〜11月22日(火)の期間、「WASHI 紙のみぞ知る用と美」展を開催します。
和紙でつくられたお椀、傘、着物…。その優れた特性と加工技術により、江戸時代以降、和紙の用途は一気に広がり様々な生活道具が生み出されました。本展は、「加工」の視点から捉えた和紙の造形文化と変幻自在な素材の魅力を、江戸から昭和初期の最盛期につくられた実資料約80点より紹介します。
│開催概要│
「WASHI 紙のみぞ知る用と美」展
The Wondrous Beauty and Utility of Japanese Handmade Paper
http://www1.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_003551.html
│展覧会の見どころ│
日本で和紙が広く作られるようになったのは、江戸時代になってからのことです。原料として主に使われていた
和紙は、折り畳んで和傘や提灯にしたり、
本展では、木、布、皮などに代用された変幻自在な紙製品約80点を、「衣」「食」「住」「遊」の生活場面のコーナーに分けて紹介します。和紙文化が栄えた江戸から昭和初期にかけ丹精を込めて生み出された逸品をご覧ください。日本のみならず意匠を凝らした紙工芸品が数多く残る韓国の資料も交えて展示します。繊維の特長は解説を用意し主な役割を伝えます。本展を通して、さまざまな特性が活きた和紙の造形文化を楽しんでいただくとともに、未来につながる和紙の可能性を再考していただく機会になることでしょう。
写真2
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●主な展示 住・衣・食・遊 〜 暮らしを彩る紙
「住」 : 八面六臂の働きもの
このコーナーでは、住まいの中で使用された紙製品を紹介します。まず、襖障子に用いられる「江戸唐紙」や「利久紙」、雲母や胡粉の描画による「襖紙見本帳」などをご覧いただけます。大胆な図案や色柄からは、襖紙が空間を仕切るだけでなく室内を装飾してきた役割が伺えます。また、和紙による光の拡散効果を利用した「
「衣」 : まとい携帯する
身に着ける紙製品として色々な種類が登場します。和紙を揉んで柔らかくし、表面に柿渋や寒天、こんにゃくを塗り仕上げた「
「食」 : 量産できる身近な素材
和紙を張り重ね、漆で仕上げた「お椀」(写真4)や、紙縒を編んで成形し、漆や柿渋で塗り固める長門細工の「瓢箪型酒器」などをご覧いただきます。自由な成形に加えて、編み方と加飾にも意匠を凝らし、軽量で携行に便利な食の道具が作られました。手のひらサイズのぐい飲みや旅行用のおむすび入れ、特大の雑穀入れや茶壺なども紹介します。
「遊」 : 豊な表情を愛でる
ここでは貴重な歌川国貞のちりめん錦絵「源氏姿花の宴」を展示します(前期のみ/写真5)。ちりめん紙とは、通常の版木で摺られた錦絵を6〜8割ほどのサイズに揉み縮めたものですが、複雑な技術が必要なため今ではその技の伝承が危ぶまれています。細やかな風合いと凝縮された色合いは必見です。また、紙製の節句飾りの雛鎧も展示します。蒔絵を施し、兜の鉢や面頬には鉄を模して
【写真キャプション・クレジット】
所蔵:桂樹舎和紙文庫
所蔵:其角堂コレクション
所蔵:桂樹舎和紙文庫
所蔵:公益財団法人 紙の博物館
撮影:すべて佐治康生
│関連企画のご案内│
〔講演会〕 和紙のふしぎ−素材が語る可能性
│新刊 LIXILブックレットのご案内│
LIXIL BOOKLET 『WASHI 紙のみぞ知る用と美』
構成案(予定)撮影:佐治康生
【図版構成1】和紙のちから
【図版構成2】衣食住遊−暮らしを彩る紙
【論考】「和紙の魅力と可能性」関正純(高知県立紙産業技術センター 所長)
「手漉きの和紙の用と美」増田勝彦(和紙文化研究会副会長)
│巡回展のご案内│
東京会場:2016年12月8日(木)〜2017年2月25日(土)開催予定