ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

INAXライブミュージアム企画展
「天然黒ぐろ−鉄と炭素のものがたり」
Natural Black-A Tale of lron and Carbon
【会期】 2017年12月9日(土)〜2018年4月10日(火)
【会場】 INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」企画展示室

2017年11月02日

株式会社LIXILが運営する、土とやきものの魅力を伝える文化施設「INAXライブミュージアム」 (所在地:愛知県常滑市)では、2017年12月9日から2018年4月10日まで、 企画展「天然黒ぐろ―鉄と炭素のものがたり」を開催します。

生の漆に鉄を入れて混ぜたあと、桶で寝かし均質な漆にしていく©木村羊一

「黒」とはどのような色でしょうか。黒塗りの車、黒の礼服など、「黒」は力強さや権威を象徴する色です。何も見えない真っ暗な様を「漆黒の闇」と表すように、黒は不吉な負のイメージも備えています。一方で、現代の暮らしの中では、黒の衣服や道具類はシックであり、スタイリッシュなイメージを与えます。さらに金や赤と組み合わせる黒は、華やかさを強調する役割を果たします。

人類は古くからモノを「黒く見せたい」と考え、塗ったり、染めたりしてきました。そこで用いられた黒色の素が、煤(炭素)、鉄(酸化鉄や鉄イオン)です。これらの「黒」は、紫外線に強く、時の経過による退色も少ないため、縄文時代から現在に至るまで黒の素として主流であり続けています。

本展では、現代の暮らしのなかで愛される「黒」と、その色素である、炭素と鉄に焦点を当てます。やきもの、漆、染織、墨、絵具などをより黒くするために、つくり手たちが挑み続けてきた技術や工夫を写真や動画、道具によって紹介し、その技の数々が結実した黒の完成品を展示します。それらを通して、各々の分野で「より黒い」とはどのようなことなのかを探ると共に、多様な「黒」の世界をご覧いただきます。

漆を炭で磨き、艶のある黒にしていく「呂色」仕上げ
©木村羊一

焼成中の窯から茶碗を引出して急冷し、より黒くするやきものの技法「引出黒」
©木村羊一

開催概要

企画展 「天然黒ぐろ―鉄と炭素のものがたり」
Natural Black-A Tale of Iron and Carbon

【会 期】
2017年12月9日(土)〜2018年4月10日(火)
【会 場】
INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」企画展示室
〒479-8586愛知県常滑市奥栄町1-130
TEL:0569‐34‐8282 FAX:0569‐34‐8283
【休館日】
水曜日(祝日の場合は開館)、12月26日〜2018年1月4日
【観覧料】
共通入館料にて観覧可
(一般:600円、高・大学生:400円、小・中学生:200円)
【企 画】
INAXライブミュージアム企画委員会
【展示デザイン】
西本剛己(ARTLAB+)

■展示概要

やきもの、漆、染織、墨、絵具において、「よい黒」とは何か。
黒を出すための技術や工夫を写真や動画、道具によって紹介し、技の数々が結実した黒の完成品を展示します。展示室入り口付近には、鉄板で覆われた水槽に墨汁(炭)を流し込んだ展示空間を設け、鉄と炭素(墨)による黒の美しさを体感いただきます。

刷毛で塗り重ねながら黒くしていく
©木村羊一

■主な展示品

<やきもの>「瀬戸黒茶碗」 桃山時代(1590年代)、個人蔵(図版:1)
<漆> 小森邦衛 「曲輪造籃胎盤」、漆器、個人蔵、
<墨> 横山大観のために作られた特注の墨 、個人蔵(図版:2)
<版画> 三代歌川豊国(国貞)「役者見立東海道五十三次之内 亀山 歌川水右衛門(松本幸四郎)」
       (1852年)、個人蔵(図版:3)
<道具類>漆刷毛(図版:4)ほか

(1)


(2)

(4)

(3)

※図版(1)(2)(4) 撮影/木村羊一

■関連企画

小学生向けワークショップ「木炭で遊ぶ」講師:森本玄氏(画家、京都造形芸術大学教授)
【日時】2018年2月下旬〜3月上旬開催予定
【会場】INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」

ほか、関連イベントの詳細は、「INAXライブミュージアム」ホームページ
http://www1.lixil.co.jp/ilm/ で順次告知します。

■関連書籍 「天然黒ぐろ―鉄と炭素のものがたり」

2017年12月9日発売予定
天地:257mm×左右182mm/オールカラー総64ページ/無線綴じ
定価:1,500円(税別) 発行:LIXIL出版

【図版構成】

■「黒くする」の始まりと、黒の流行・平安時代
北野信彦[龍谷大学文学部教授]
■墨--炭素
 松井孝成[墨運堂]
■やきもの、黒の革命--酸化鉄
 瀬戸黒、黒楽、桃山時代
  田中仙堂[大日本茶道会会長]
 黒いやきものの登場と流行
  降矢哲男[京都国立博物館学芸部]
■漆黒--鉄イオン、炭素
 沈んだ黒 小森邦衛[?漆 重要無形文化財保持者]
 輝きの黒 室瀬和美[蒔絵 重要無形文化財保持者]
 黒い漆をつくる 堤卓也[堤淺吉漆店]
 磨いた黒 大橋清[呂色師]
■油絵具--炭素
 小杉弘明[ホルベイン工業]
■黒染め--鉄イオン
 高橋誠一郎[田中直染料店]

INAXライブミュージアム概要

『INAXライブミュージアム』
所在地:愛知県常滑市奥栄町1-130
TEL:0569-34-8282
休館日:水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
共通入館料:一般600円、高・学生400円、小中学生200円
ホームページ: http://www1.lixil.co.jp/ilm/
LIXIL文化活動Facebook:https://www.facebook.com/LIXIL.culture

LIXILがINAX創業の地、愛知県常滑市で展開しているミュージアムです。かつて土管が焼かれていた、大煙突と大きな窯を抱く建物を公開するなど、様々な展示や体験教室を通し、土とやきものが織りなす多様な世界と、ものづくりの心を伝えています。1986年「窯のある広場・資料館」に始まり、「世界のタイル博物館」(1997年)「陶楽工房(とうがくこうぼう)」(1999年)を順次開設、2006年には「土・どろんこ館」と「ものづくり工房」を加え、5つの館を擁する「INAXライブミュージアム」としてグランドオープン。
2012年には近代日本の建築と街を彩ったテラコッタやタイルを展示する「建築陶器のはじまり館」を開設し、6つの館で躍動感あふれる活動を展開しています。

INAXライブミュージアム
「窯のある広場・資料館」(左)と
「世界のタイル博物館」(右)