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国連ハビタットと連携し、ケニア・カロベイエイ難民居住地に
「グリーントイレシステム」を提供
難民キャンプの衛生環境の改善と難民の自立を支援

2018年02月26日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:瀬戸欣哉、以下LIXIL)は、この度、開発途上国の居住問題に取り組む国連人間居住計画(国連ハビタット)との契約を獲得し、ケニアのトゥルカナ郡にあるカロベイエイ難民居住地向けに、当社が開発した持続可能な衛生ソリューション「グリーントイレシステム」を提供します。

「グリーントイレシステム」は、水を使わずに安全に排泄物を処理し、肥料として再資源化することができます。LIXILは、このシステムの設置を通じて、難民居住地において衛生的かつ安全なトイレを整備するだけでなく、排泄物から再資源化された肥料を作物の栽培に利用することで、難民の経済的自立の支援につなげていきます。

ケニア北部のカロベイエイ居住地の様子(出所:Takeshi Kuno)

カロベイエイ居住地には現在約38,000人の避難民が暮らしており、主に近隣の南スーダンからケニアへの難民の流入が続いています。ケニアの多くの難民キャンプは緊急事態に対応する目的で一時的に設置されていますが、このカロベイエイ居住地の避難民は、避難が長期化し、帰還できない状態が20年以上も続いています。こうした状況をふまえ、カロベイエイ難民居住地は、難民支援における負担を軽減し、難民の経済的自立や、難民と地域住民との社会的な融合を促進することで、長期的なソリューションを提供することを目指しています。

国連ハビタットは、2016年に日本政府の支援を受け、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)およびケニアのトゥルカナ郡と連携し、カロベイエイ難民居住地の整備を進めています。トイレをはじめとする衛生設備の設置をはじめ、持続可能性に配慮した受け入れ態勢作りや、現地特有の気候に対応したインフラ整備を推進しています。

国連ハビタットのプログラム・マネジメント・オフィサー寺田裕佳氏は次のようにコメントしています。「カロベイエイ難民居住区では、自治体と地域住民も巻き込んだ参加型プロセスを基に、より持続可能なソリューションを生み出すことを目指しています。また、地域の状況に適合し、難民および受け入れコミュニティの双方にメリットを提供できるような先進的な技術を導入するため、LIXILをはじめとする民間企業とも連携しています。こうしたアプローチを通じて、生活する場所を提供するだけでなく、持続可能な生活基盤を築けるよう支援をしています」

LIXILは2008年より「グリーントイレシステム」の研究開発に取り組んでおり、国際協力機構(JICA)の支援により、ケニアで実証実験を行いました。「グリーントイレシステム」は、排泄物を固体と液体に分離し、それぞれ別のタンクに貯留します。その後、タンクから回収され処理施設に運搬された排泄物は、肥料あるいは土壌改良剤として再資源化され、農業に利用することが可能になります。この循環型システムは、排泄物の搬送に水を使わないため、下水道システムが整備されていない地域でも利用が可能で、排泄物によって地下水を汚染することもありません。

※「グリーントイレシステム」は、排泄物を液体と固体に分離して安全に処理し、肥料および土壌改良剤として再利用することを可能にしています。便は、好気性発酵により堆肥化され、尿の処理には、BMW技術協会が開発した方式を採用しています。

LIXILは、2018年3月末までに、トイレと排泄物の処理施設からなる「グリーントイレシステム」をカロベイエイ居住地に設置する予定です。さらに、システムを適切に維持管理できるよう、研修プログラムを実施していきます。

株式会社LIXIL Social Sanitation Initiatives部長の後藤淳一は次のようにコメントしています。「LIXILは、衛生環境の改善はまさに喫緊の課題だと考えており、この度、長きにわたる実証実験を経て国連ハビタットと連携し、カロベイエイ難民居住地向けに衛生ソリューションを提供します。今後も当社が培った経験や専門知識、リソースを活用することで、先進的かつ持続可能なソリューションの開発、提供に注力していきます」

世界では、約23億人の人々が適切な安全なトイレが利用できない生活を送っています。LIXILは、2020年までに1億人の衛生環境を向上させるという目標を掲げており、これは、国連が掲げる2030年までの持続可能な開発目標における「すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」という目標の達成に貢献します。