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東京大学生産技術研究所とLIXILは、
2020年のスマートハウス実現を目指し、
本年8月から共同で実証実験を開始

2011年05月20日

東京大学生産技術研究所(所在:東京都目黒区、所長:野城智也)と株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:杉野正博)、株式会社LIXIL住宅研究所 アイフルホームカンパニー(本社:東京都江東区、プレジデント:勝又健一朗)は、持続的社会実現のために、実験住宅(通称『COMMAハウス(コマハウス)』:Comfort Management Houseの略)を東京大学駒場Uキャンパス内に建設し、住宅における快適性の実現と省エネルギー技術、創エネルギー技術、分散エネルギーマネジメント技術の有効性について、共同で実証実験を開始します。

今回の実験住宅『COMMAハウス』は、2020年のスマートハウスを想定し、気密・断熱・耐震性能に優れた構造体に、風・光・熱をコントロールする開口部商品を組み合わせ、太陽光発電・太陽熱利用機器・省電力照明(LED・有機EL)・HEMS*1を備えています。

また、この実験住宅は、断熱性能を変えることができます。様々な条件のもとで、住宅としての快適性や各種省エネ設備の最適運転特性、建築的な手法による省エネ効果などを測定することで、住宅における分散エネルギーマネジメントの実証試験を進めます。
実験期間は2011年8月から2016年3月です。
*1)HEMS(Home Energy Management System):センサーやITを活用し、住宅のエネルギー管理を行うシステム

この実証実験を通じ、全体のエネルギーシステムと協調しつつ、創るエネルギーと消費するエネルギーの需給バランスを確保する、快適でサステナブルな2020年のスマートハウスの提案・商材の提供を目指します。


  ■実験住宅のイメージ 空気の流れをシミュレーションした開口設計など、随所に工夫を取り入れてプランニング。
  ■実験住宅は、株式会社LIXIL住宅研究所 アイフルホームカンパニーが施工します。


<参考資料>

■実証実験の目標

持続的社会実現の一翼を担う近未来の標準となる戸建て住宅として、冷暖房・給湯設備機器などの機器単体の省エネ機能に依存するのではなく、トータルでミニマムなエネルギーの最適利用システムの構築を目指し、気密・断熱・耐震性能に優れた構造体に、風・光・熱をコントロールする開口部商品を組み合わせた実験住宅で実現される住環境とエネルギー利用の実証試験を実施します。併せて、この住宅プランの提案に寄与できる建材、設備、機器の研究開発も行なっていきます。

■実証実験の概要

持続的社会実現のためには、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入が必要ですが、全体のエネルギーシステムと協調したエネルギー利用が重要です。
今回、実験住宅を建設し、住宅における省エネルギー技術、創エネルギー技術の有効性について、以下のテーマで実験を行ないます。
建築的な手法による省エネルギーの可能性の検討
構造体自体の断熱性・気密性の向上のほか、通風や太陽熱のパッシブ利用を含めた省エネルギー効果について実測を行う。
住宅における最適エネルギー需給モデルの開発
実験住宅において、太陽光発電、太陽熱温水器、CO2冷媒ヒートポンプ給湯器、ガス給湯器等の実機器の運転試験を行い、機器特性を把握し、これらの結果をもとに住宅の最適エネルギー需給を分析するためのモデル開発を行う。
住宅におけるエネルギーマネジメント実証試験
実験住宅において、家庭内の熱・電力負荷を模擬使用し、これらを満足させながら太陽光発電、太陽熱の再生可能エネルギーを有効に活用するための需要機器制御(CO2冷媒ヒートポンプ給湯器、ガス給湯器等)の検討を行う。また、制御を実現するための無線やPLC(電力線搬送)を活用した住宅内エネルギー・温熱環境の自動計測方法、データ収集方法、見える化、ユーザーの選択の入力方法について試験を行う。
その他の関連試験
東京大学が実施している太陽光発電遠隔故障診断など関連プロジェクトの試験を行う。

■2011年度実証試験項目

断熱性能を変化させながら、下記の詳細データを測定し、効果を分析します。
・太陽光発電 太陽光発電量の実測、日射量予測の検証、影の影響の評価など
・太陽熱利用機器 太陽熱利用量の実測、需要とのマッチングなど
・給湯器 CO2冷媒ヒートポンプ給湯器およびガス給湯器の太陽熱集熱器との連系を含めた省エネ運転データ取得、日射量予測による最適運用解析など
・空調機 住宅性能と空調機消費電力量の相関、室内温度分布など
・HEMS 家電制御によるPV抑制回避制御、省コスト運転制御などの解析
回路別電力消費量の計測など
・住環境 温度、湿度、日射などの実測に基づく快適性評価方法検討など
・水回り設備 住設機器の湯水使用量実測、およびエネルギー換算の検討など

■実証実験の目標

東京大学研究チーム 東京大学 生産技術研究所
野城智也所長
荻本和彦特任教授*    (エネルギー需給システム)
大岡龍三教授        (都市エネルギー工学)
鹿園直毅教授*       (熱エネルギー工学)
岩船由美子准教授*    (持続型エネルギーシステム)
今井公太郎准教授     (空間システム工学)
*:東京大学エネルギー工学連携研究センター
LIXIL参画チーム 株式会社LIXIL
株式会社LIXIL住宅研究所 アイフルホームカンパニー
実験の計画、住宅の設計、実証実験の計測、データ分析は、共同で実施。
実験住宅は、株式会社LIXIL住宅研究所 アイフルホームカンパニーが施工し、株式会社LIXILから東京大学 生産技術研究所へ寄贈。
実験住宅の設備機器設置については、シャープ株式会社(太陽光発電システム)、東芝ホームアプライアンス株式会社(空調機ほか)、矢崎総業株式会社(太陽熱集熱器対応型エコキュート)、ルートロン アスカ株式会社(一部照明/電動シェード/コントロールユニット)、山田照明株式会社(一部照明)のご協力・ご提供をいただいています。

■実験住宅の概要

①実験実施期間 2011年8月〜2016年3月(期間終了後撤去)※計画開始は2010年5月
②建物規模 一般戸建て住宅想定 延床面積93.31m2
③住宅性能 2020年頃の一般的な断熱・気密性能を有する住宅。(東京地区を想定)
断熱性能が可変できる(可変幅は、Q値*2 1.6〜2.4W/m2K)。
実験期間中に、設備・空間などをある程度可変できる。
④主要機器 太陽光発電システム、ヒートポンプ給湯器、ガス給湯器、太陽熱集熱器、空調機、LED/有機EL照明、分散エネルギーマネジメント装置、
制御入力/表示機器
⑤施工場所 東京大学駒場Uキャンパス(東京都目黒区)敷地内
*2)Q値:熱損失係数のことで、住宅の断熱性能を数値的に表したもの。
  値が小さいほど断熱性能が高いことを表す。
  熱損失係数は、外壁や天井・床などの各部位の熱の逃げる量(熱損失量)を合計したものを延床面積で割って計算する。

■実験開始までの概略予定

4月18日    基礎工事着工
5月下旬    上棟
7月末頃    実験住宅『COMMAハウス』完成
8月初旬〜   実験計測開始