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東日本大震災におけるスプリンクラーの破損と水損被害について
〜水損被害から財産を守る新しいスプリンクラー設備のご提案〜

2011年08月25日

東日本大震災時には、スプリンクラーヘッドや配管が地震で破損したことにより、ポンプが自動起動し、貯水槽の水を大量に放水するという事態が多数発生しました。これにより、倉庫や量販店等では商品が放水された水に濡れ、商品として販売できなくなる水損被害が多く発生し、大きな問題となりました。
 スプリンクラー設備は、火災発生初期における自動消火設備として非常に有効です。しかし、地震等の揺れや、異常な振動により、スプリンクラーヘッドが破損すると、火災の有無にかかわらずポンプが自動で起動し、手動で停止させるまで毎分80リットル以上の消火水を放水し続けてしまう特性があります。

 総合防災メーカーである株式会社LIXILニッタンでは、火災時以外でのヘッド破損等による水損被害から財産を守る新しい水系消火設備として、負圧湿式予作動スプリンクラー設備「VSスプリンクラー」を開発し、広くご提案しています。

スプリンクラーによる放水イメージ
 「VSスプリンクラー」は、流水検知装置からスプリンクラーヘッドまでを負圧※1に保ち、火災時以外でスプリンクラーヘッド等が開放した時には、真空ポンプが起動、空気を吸い込むことで漏水を防ぐスプリンクラーです。火災時には即時放水開始し、火災時以外でスプリンクラーヘッドや配管等が開放したとき、真空ポンプユニットで強力吸引することで、放水を抑え、周囲への水損被害を大幅に低減します。また、既存のスプリンクラー設備から「VSスプリンクラー」へ更新することも可能※2です。
※1大気圧以下のマイナス値となる圧力状態
※2更新の可否は調査が必要です
 株式会社LIXILニッタンでは、高い消火性能はもちろん、水損被害も防ぐ商品を開発、販売することで、お客様の安全と大切な財産をお守りします。


■通常のスプリンクラーと「VSスプリンクラー」のヘッド破損時の動作比較
 通常のスプリンクラーは、配管内が常時加圧状態で保たれており、火災が発生すると、スプリンクラーヘッドが作動して配管内部の水が放水されるのと同時に、配管内部の圧力低下を検出して「自動」で消火用加圧ポンプが起動する仕組みになっています。しかし、「自動」起動の判断では、『火災発見による作動』と『破損等の漏水による作動』を区別することができません。これにより、スプリンクラーヘッドまたは配管が破損した場合でも火災と判断され、消火用加圧ポンプが「自動」で起動し、室内が水浸しになってしまいます。ポンプの運転を停止するか、制御弁を閉めるまで放水が続きます。
 「VSスプリンクラー」は、流水検知装置からスプリンクラーヘッドまでを負圧に保ち、火災時以外でスプリンクラーヘッド等が開放した時には、真空ポンプが起動、空気を吸い込むことで漏水を防ぎます。火災時には、自動火災報知設備の火災信号により真空ポンプを停止するとともに、流水検知装置を開放、消火用加圧ポンプを起動し放水を行います。また、消火のための水を押し出すポンプ(消火用加圧ポンプ)と、漏水させないための吸い込むポンプ(真空ポンプ)、2種類のポンプを自動的に使い分けることで漏水を防止し、且つスプリンクラー設備本来の消火性能を維持します。※大気圧以下のマイナス値となる圧力状態

通常のスプリンクラー

VSスプリンクラー

■「VSスプリンクラー」システム概要
【スプリンクラーヘッド破損時】
 火災時以外でスプリンクラーヘッド等が開放した時には、真空ポンプが起動、空気を吸い込むことで漏水を防ぎます。

【火災発生時】
 火災時には、自動火災報知設備の火災信号により真空ポンプを停止、流水検知装置を開放、消火用加圧ポンプを起動し放水を行います。


<参考情報:その他消火設備>
■人にも環境にもやさしいガス系消火設備 「Gerbera(ガーベラ)」のご紹介
 「Gerbera(ガーベラ)」は、「ガス系消火設備」で、消火剤に水や粉末を使用しないため、消火後の汚損や水損が発生しません。
 主にコンピュータルームや配電盤のある電気室、空調機械室、美術品保管庫などに設置され、大切な情報・資産を守る役目を果たします。


     「Gerbera」の消火剤放射の様子
(右写真が火災発生時)






 「ガス系消火設備」は、「ハロゲン化物消火設備」(主に燃焼連鎖反応の抑制による消火)と「不活性ガス消火設備」(主に酸素濃度の希釈による消火)の2種類に分類されます。
 それぞれの消火剤には、『消火能力が高いため必要とされる消火剤が少なくて済むが、オゾン層の破壊や地球温暖化につながる物質が含まれている』『大気中に多く存在する窒素等を利用しているため環境に影響を与える物質は含まれないが、窒息消火に必要とされる消火剤量が多いため、広い貯蔵用スペースが必要』 などといった特徴があり、消火性能に加えて“省スペース性(トータルコスト)”と“環境負荷性”が消火剤選定の検討項目となっていました。
 しかし、2010年に消火剤選定の選択肢のひとつとして、「FK-5-1-12」が新たに消防法に基準化されました。「FK-5-1-12」は「ハロゲン化物消火設備」に分類されますが、これまでのハロゲン化物消火剤と同等の高い消火能力に加え、オゾン層破壊係数がゼロ、地球温暖化係数も1未満、人体にも無害という特徴があります。
 「Gerbera」は、消火剤に「FK-5-1-12」を採用し、“人”にも“環境”にもやさしい環境配慮型の新しい「ガス系消火設備」です。
 株式会社LIXILニッタンでは、「Gerbera」のような、消火性能だけでなく、環境性にも配慮した商品の開発、普及に努めてまいります。