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聖なる銀 アジアの装身具 展
12月8日(木)ギャラリー大阪から開催

2011年11月14日

 INAXギャラリーの巡回企画展は、年間4本の企画展を3つの会場で巡回展示しています。今回、「聖なる銀 アジアの装身具展」は、12月8日(木)ギャラリー大阪からスタートします。INAXギャラリー独自の視点で作り上げた企画展示をぜひ、ご覧ください。ギャラリー名古屋での開催は2012年3月9日(金)から、ギャラリー1(東京)での開催は2012年6月7日(木)からを予定しています。


聖なる銀 アジアの装身具展  開催概要

 古来よりその輝きは月光にも喩えられる銀。アジアにおいて銀は普遍的な素材として、また強い反射が邪悪なものをはね返す金属として尊ばれ、装身具に多用されてきました。とりわけ数百の民族が暮らすアジアでは、装身具は自身を飾るという目的以外に、民族のアイデンティティを示す重要なアイテムとして人々の暮らしの中で受け継がれてきました。それ故に存在感のある大胆な造形や手の込んだ細工など、ヨーロッパ以上に種類も豊富で固有なデザインが存在します。また装身具に込められた様々な思いをひも解くと、生命と直結した聖なるものとしての意義や身体装飾への情熱までも知ることができます。
 12月からのINAXギャラリー大阪では、近・現代のアジアの代表的な装身具270点をご覧いただき、様々な歴史や民族が交錯するアジア大陸ならではの、地域の比較や特徴などを披露しながらその魅力に迫ります。

 会場では、アジア全域の地図をガイドに、東アジア・東南アジア・中央アジア・南アジア・西アジアの5エリアを巡りながら、あらゆる体の部分に応じた各地域の様々な装身具を個々に堪能していただきます。銀細工の細かさや迫力ある造形美を間近に感じることができるでしょう。

 東アジア地域では、龍や鳳凰、牡丹や桃、蝶や蝙蝠(こうもり)など吉祥文様が多く、これらの装飾は邪を払い招福を招くものとして装身具に用いられ身に付けられてきました。また中国のミャオ族などの少数民族には、今なお銀文化の伝統が生きており、祭りの時など驚くほど多様な銀の装身具が登場することでも有名です。一方、中央アジア地域のトルクメニスタンでは、紅玉髄(カーネリアン)をはめ込んだ大ぶりの装身具を身に付けることで知られています。可憐なハート型のアシクと呼ばれる背飾りは、お守りとして呪術的な意味があり、背後から病気や邪視に襲われないように背中に飾られました。赤い石が用いられるのは、赤色には怪我や出血から身を守り、視力を強める力があると信じられていたからです。南アジアを代表するインドを見てみると、装身具に深い愛着を示し、老若男女を問わず頭の先からつま先まで華麗な装身具で全身を飾ります。装身具をさす「ガハナー」は「抵当」を意味する言葉でもあり、このエリアの遊牧民や移動生活をする民族も同様に、財産としての役割も大きく肌身離さず身につける文化が発達しました。その他、西アジアでは経典を入れる護符の役割を持つ首飾りや、突起の鋭い武器のような腕飾りがあり、東南アジアでは舞踊や儀礼のための装身具として音を奏でる指輪や腕飾りなど、地域独特のデザインが見受けられます。さらに写真パネルでは、当時の民族衣装と合わせた装飾法や独特の着用法など、どのように身に付けられているのかが分かる貴重な古写真と現代写真を披露します。
 現在では、アジア全体をみても生活様式が変化し、伝統的な装身具も姿を消しつつあります。民族装身具は、失われる地域の文化を今に伝える民族の誇りであり、部族の証として、普遍的な存在と言えるでしょう。力強く生命力溢れる銀の造形美をじっくり鑑賞できる希少な機会です。是非足をお運びください。

★日本宝飾クラフト学院コレクション

写真1
写真2
写真3
写真1:中央アジア/トルクメニスタンの「アシク」または「ゴジャ」と呼ばれる背飾り。ハート型の飾り板を連結したもの。砂漠を歩いている時に、無防備な背後から襲ってくる病気や邪視から身を守るために衣服に縫いつけられた。W230×H105
写真2:東アジア/中国少数民族ミャオ族の頭飾り。咲き誇る花飾りの中に縁起がいいとされる動物の形象が見られる。W245×D90×H300
写真3:西アジア/オマーンの「カンジャール」と呼ばれる儀礼用短刀。実際に使うものではなく、男性の誇りを表す儀礼用の腰飾り。W280×H220
撮影:すべて熊谷順

  【会   期】 2011年12月8日(木)〜2012年2月23日(木)
  【開館時間】 10:00A.M.〜5:00P.M.
  【休 館 日】 水曜日、12/28−1/4
  【会   場】 INAXギャラリー大阪
          大阪市中央区久太郎町4-1-3 伊藤忠ビル1F LIXIL大阪水まわりショールーム内
          TEL 06-6733-1790  FAX 06-6733-1791
          会場はこちら ⇒
  【入 場 料】 無料
  【企   画】 INAXギャラリー企画委員会
  【製   作】 株式会社LIXIL
  【協   力】 日本宝飾クラフト学院


■INAXギャラリー巡回企画展はこちら ⇒

■関連企画のご案内
 講演会 「アジアの装身具ものがたりー銀の造形美」
 講 師: 露木 宏(日本宝飾クラフト学院理事長)
 日 時: 2012年1月27日(金) 6:30p.m.〜8:00p.m.
 会 場: INAX大阪ショールーム イベントスペース
 参加無料、要申込、先着順 (TEL: 06-6733-1790  e-mail:xbn@lixil.co.jp

■新刊INAXブックレットのご案内
 INAX BOOKLET
 『聖なる銀 アジアの装身具』
 (78ページ内カラー48ページ、税込価格1,575円、天地205mm×左右210mm)

■巡回予定
 INAXギャラリー名古屋
 会  期: 2012年3月9日(金)〜5月24日(木)
 休館日: 水曜日、5/20

 INAXギャラリー1(東京)
 会  期: 2012年6月7(木)〜8月25日(土)
 休館日: 日祝日、夏期休暇