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LIXIL 「森でeこと(もりでいいこと)」活動報告
長野、三重、茨城・・・各地で、従業員が、家族や地域の人びととともに
森林や里山を保全する活動を行なっています

2011年11月16日

 住宅設備機器・建材の総合メーカーである株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明)は、地球への負担をへらすことに果敢に挑戦し、大地からの贈りものを大切にいかしながら、生きものや自然をまもるための知恵を高めていく活動を行なっています。LIXIL統合以前からスタートしている森林や身近な里山を守り、育てていく「森でeこと」の活動は、11月5日茨城県での開催で、7地域、延43回を数え、参加延人数は2,168名になります。森林での間伐や植樹活動、里山での生物多様性維持の活動は、従業員がボランティアとして参加し、それぞれ地域の行政やNPO、森林組合の方々などと協働して推進しています。

 この秋も、10月29日(土)に三重県伊賀市、11月3日(木・祝)長野県阿智(あち)村、11月5日(土)茨城県土浦市で「森でeこと」の活動を地域の従業員を中心に開催しました。本ニュースレターでは、今回行なった作業道や東屋づくり、チェーンソーを使った間伐、除草剤などに頼らず、人の手で外来種を取り除く作業の様子を紹介します。
 LIXILは、「きれいな水 うつくしい森 心ゆたかな未来」を、地球のこれからを担う子どもたちに届けていくために、継続して自然を守り育てていく活動を行なっていきます。

   目 次
 ■ 三重県伊賀市での活動概要
 ◇ 10月29日の活動報告
   玉切り、東屋の床板はり、作業道づくり
   リースづくりとフォー&猟師汁のランチ
 ■ 長野県阿智村での活動概要
 ◇ 11月3日の活動報告
   間伐作業、テーブルづくり
   スタンプラリー、木工作とキノコ狩り
 ■ 茨城県土浦市での活動概要
 ◇ 11月5日の活動報告
   外来種の除去、自然観察会
   里山の野菜と赤米のランチ
 ■ 活動を通して
 □ 「森でeこと」2011年秋の活動概要
 □ これまでの森林保全活動暦



■ 三重県伊賀市での活動概要  〜2008年6月から〜

 三重県での活動は2008年、三重県が進める「企業の森づくり」に賛同し、伊賀市と森林保全協定を結び、上阿波地区での活動が始まりです。第1回の活動では、上野事業所の従業員とその家族を中心に83名が、下草刈りや間引き作業を実施しました。2010年11月までに通算7回の活動を行い、今回が8回目です。リピーターも多く、参加延人数は838名となります。チェーンソーを使った間伐作業、雪の中での植樹、植樹のための作業道づくりなどのほか、子どもたちの参加も多く、山の中で見つけた材料を使った木工作やリースづくりなども行なってきました。自然に親しみながら、森や木を育む気持ちを次世代へ伝えています。
 引き続き2014年にかけて、上阿波地区の山林約0.76ヘクタールで植樹を行い、約0.5ヘクタールについて間伐、枝打ちをする計画となっています。

◇ 10月29日 参加者集合・準備開始
参加者の集合写真
 10月29日午前9時30分、三重県伊賀市上阿波のさるびの温泉駐車場に、従業員とその家族やスタッフなど総勢151名が集合しました。今回も「JBIB企業と生物多様性イニシアティブ*1」に加盟し、環境に配慮した洗剤などを製造販売しているサラヤ株式会社の従業員の方々がボランティアとして参加されました。
 作業場所まではスタッフの自動車が往復して移動します。最初に、三重県伊賀農林商工環境事務所 副所長 山内さんが挨拶され、その後、阿波生産森林組合のみなさんが作業内容について説明しました。
 今回のメイン作業は、作業道づくりと東屋づくりです。実はこれらの作業は4月に行なうはずでしたが、震災の影響で延期されていたものです。リピーターも多く、作業にも慣れた方々が参加者をリードしながら作業準備を進めます。
*1:JBIB企業と生物多様性イニシアティブ
生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業の集まり。2008年4月設立、http://www.jbib.org/
昨年11月の様子 東屋の土台となる杭打ち作業。急な斜面を掘って作業道づくり

◇ 玉切り・東屋の床板はり
  作業道づくりで汗を流す
1.子どもたちも大活躍 玉切り作業
 作業内容の説明後、それぞれの班に分かれ、ヘルメットやのこぎりを手に早速作業に取りかかります。作業道に使うサイズの揃った丸太をつくる「玉切り」という作業では、直径15cmほどのヒノキとスギを、長さ40cmずつにのこぎりでカットしていきます。ヒノキは固く、子どもたちの額にもすぐ汗がにじんできます。
 事前に準備していた丸太と合わせ、約120本を切り終え、午後の作業の準備が整いました。
上:長い丸太を分割する
下左:玉切りされた丸太 右:一生懸命の子ども

2.作業の合間の憩いの場「東屋」の床はり
 昨年の作業で土台を整えた場所には、大工さんの手によって柱が立ち、屋根がかけられていました。植樹や苗木の間引きなど森林保全活動は長期戦であり、今後、継続していくためにも休憩所は大切なアイテムです。
 根太の上に板を渡し、釘を打って止めていきます。大勢で行なう大掛かりの日曜大工のようで、男性陣が大活躍です。屋根と柱だけだった東屋は、午後には床はりを終え、周囲をきれいに切り揃えて完成。丸太を利用した椅子も設置し、憩いの場が出来上がりました。
上左から:作業が進む東屋
間伐材の床を打ち付ける
丸太を利用し椅子を製作

下左から:床の端を揃えて整える
完成した東屋でほっと一息



3.急斜面を登る、作業道づくり
午前中に玉切りし準備した丸太を、長い列をつくって手渡しで斜面を運びます。作業者全員が気持ちを一つに作業を進め、作業道が整備されていきます。午後には、急斜面に長い道が整い、来年以降の植樹活動に役立ちます。


左:作業開始時の様子。
下:玉切りした丸太や杭をバケツリリーの要領で運び、斜面の上から作業道を整備していく


◇ リースづくりと、ベトナム研修生のつくるフォー&猟師汁のランチ
 三重県での活動は、森林保全ばかりでなく、自然に親しむこと、ボランティア活動を通して従業員間や地域との親睦を深めることも目的としています。
 子どもたちは森で拾った木の枝や実を材料にリースづくりに挑戦しました。また、青山工場で働いているベトナムからの研修生たちは、本場のフォーを炊き出しで準備。猟師汁と一緒に美味しいランチを楽しみました。
 終了後、さるびの温泉で汗を流し、来年春の植樹活動に向け、交流を深めた参加者もみられました。
上:リースづくり
右:本格フォーと猟師汁

完成した作業道。この斜面に来年の春、植樹を行う計画


■ 長野県阿智村での活動概要  〜2009年6月から〜


長野県での活動は今回が6回目で、参加延人数は318名となりました。2009年5月、長野県が推進する「森林(もり)の里親促進事業」に参加表明し、阿智村と里親契約を締結、5年間にわたり16ヘクタールの山林の間伐と1.2kmの作業道を整備します。活動を行う山林は、カモシカを見かける自然の森。チェーンソーを使った本格的な間伐作業のほか、木工作や炭焼き体験、キノコの植菌(原木に菌を植える作業)など、駒ヶ根事業所や名古屋支店のスタッフを中心に継続してきました。今年6月の活動日はあいにくの雨でしたが、製材所で丸太を加工し今後の材料の準備なども行いました。


今年6月11日の作業の様子→
上:製材所で。下:キノコの菌を植える



◇ 11月3日 活動開始
 山々が色づき始めた長野県阿智村の森に、53名の参加者が集合しました。小学生以下の子どもたちも16名参加しており、森の自然に触れるスタンプラリーとテーブルづくりも計画。チェーンソーの使い方を長野県林務課 守屋さんが丁寧に説明し、作業が始まりました。

◇ 防護服を着て、チェーンソーで、本格的に間伐作業
 生態系を守り森林を保全するためには、木々を適度に間引きし地面に光が届くようにすることも大切です。
 チェーンソーを安全に使うために、作業者は巻き込まれ事故を防ぐ専用の防護ズボンをはいて、山林に入ります。森林組合の方々の指導のもと、木々の根元や枝振り、樹上の様子を観察し倒す木を選んで、いよいよ作業開始。まず、倒す側の幹に切りこみを入れます。間伐する木によっては、地上に張りだしている根元も事前に落とします。チェーンソーで幹を切りますが、中には枝が絡んで倒れにくい木もあり、ロープをかけて引き倒したりします。倒した後は枝を落とし、長さ5〜6mほどの木材が1本切りだされます。チェーンソーは重く、スイッチを入れると振動も大きく扱いが難しいのですが、経験を重ねた参加者は、慣れた様子で作業を進めました。
上:チェーンソーの使い方を指導。真剣に聞き入る参加者
下:女性も挑戦しました












◇ スタンプラリー、木工作業とキノコ狩り
 阿智村や従業員の子どもたちは、「森の体験 スタンプラリー」を楽しみました。地域の産業を知るクイズのほか、斧を使ったまき割り、のこぎりで直径10cmほどの丸太を切るなど、アクティブな課題をクリアしながら森や自然と人との関りについて学んでいきます。
 五平餅とバーベキューの昼食を楽しんだ後は、一昨年切りだした間伐材を利用してテーブルを作りました。昨年のベンチづくりに続く大工仕事です。お父さんも子どもたちもサシガネや電動工具が大好き。立派なテーブルが完成しました。
 そして、春に本伏せ(木に穴を開け、キノコの菌を植えてフタをすること)した木の様子を確認しました。気候のせいか、実りは多くありませんでしたが、子どもたちが嬉しそうに、あっという間にキノコを収穫。素敵なお土産になりました。
 森に分け入って自然に触れ、斧やのこぎりを使って手を動かした子どもたちにも、自然を守る大切さや森林保全の重要性を感じてもらえたと思います。最後に、紅葉に染まる木々をバックに参加者全員で記念撮影、楽しい思い出が増えました。来年春も間伐作業を行う計画です。



上から
斧で薪を割る
電動工具で穴をあける
サシガネを使って印をつける
出来上がったテーブルを囲んで
キノコ狩りも楽しみました     紅葉の森で、集合写真


■ 茨城県土浦市での活動概要
  〜2009年6月から〜
 2009年4月認定NPO法人「宍塚(ししつか)の自然と歴史の会*2」と覚書を交わし、茨城県土浦市宍塚の里山保全活動を協働で行うことを宣言、今回が6回目の活動です。参加者は、延324名になります。筑波工場の従業員と家族を中心に、里山の自然観察や谷戸(やと)といわれる湿地の水源や水路の整備、外来種の除去などを行い、里山の生態系を保全しています。里山は、昔から人々の暮らしに利用されてきた最も身近な自然であり、原生林以上に多様な生き物が生息するとも言われています。
*2:宍塚の自然と歴史の会(http://www.kasumigaura.net/ooike/):認定NPO法人。土浦市宍塚には、小川、ため池、雑木林、田んぼ、畑、草原など様々な環境が存在する100ヘクタールほどの里山があり、オオタカやフクロウをはじめ、さまざまな生きものが生息する豊かな自然が残る。周囲には宍塚古墳群や上高津貝塚などがあり、歴史的にも重要な場所となっている。この貴重な里山を子どもたちに残す活動をしている。

◇ 11月5日 活動開始
 筑波山を望む土浦市宍塚のふれあい農園前に、筑波工場の従業員と家族を中心に65名が参集。8月からLIXILグループの一員となった川島織物セルコンの従業員も都内から駆け付けました。初参加の人が対象の自然観察班、炊事班、作業班に分かれ午前10時、活動を開始しました。

◇ 外来種:セイタカアワダチソウや
  アカメヤナギを抜く

 外来種を除去する作業は、今年の6月に行った作業の続きです。外来種を取り除くことは、日本古来の在来種を守る大切な作業です。大人の背丈に届きそうなセイタカアワダチソウは、適応性が高く、湿地や休耕田などさまざまな土地に生え、種だけではなく地下茎でも広がってしまうため、根から引き抜きます。また種を飛ばしてしまうと広範囲に生息域が広がるおそれのあるアカメヤナギは、花が咲く前に取り除く必要があります。ひざ上まで湿地につかりながら枝を落とし、除去作業を行いました。それぞれの植物の生態を知り、適切な方法で里山の自然を守っていきます。


上2点:セイタカアワダチソウを根から引き抜く

アカメヤナギの撤去前

撤去後

湿地に入って幹や枝を運ぶ


◇ 自然観察で里山の歴史と生態を学び、
  赤米のランチで自然の恵みに触れる
 初めてボランティアに参加した人は、まず里山の現状を知り、里山保全への理解を深めてもらうために自然観察会を開催します。「宍塚の自然と歴史の会」が中心となって、湿地の水源をきれいに保ち、休耕田を復活させて稲を育てるなどの活動を続けてきたことで、絶滅危惧種の昆虫が宍塚に帰ってきているそうです。

 宍塚でとれた米や野菜を用いた「里山ランチ」は参加者の楽しみの一つです。マイ箸、マイ椀を持参し、里山の季節の食材を味わい、自然の恵みを感じることは、人々の暮らしと共にある里山を活かしていくことでもあります。
 今後もNPOと協働し、互いの知恵や力を引き出しあいながら活動を続け、日本の誇る里山を保全していきます。
上:自然観察会 宍塚の会の理事長の説明を聞く
下:赤米のご飯と豚汁の昼食。マイ箸でいただく   

■ 活動を通して

 三重、長野、茨城それぞれの場所で、地域の生態系に沿った「森でeこと」の活動が根付いてきました。ボランティアで参加する従業員や家族の中で、「きれいな水、うつくしい森、心ゆたかな未来」を子どもたちの世代につなげていこうという気持ちが育まれ、環境意識が高まっています。LIXILは、これからも率先して、森林や里山保全に貢献していきます。



【添付資料】


 2011年秋の活動概要

  第8回 三重県「森でeこと」 2011年10月29日 10:00〜15:00 晴れ
 

  第6回 長野県「森でeこと」 2011年11月3日 10:00〜15:00 曇りのち晴れ
 

  第6回 茨城県「森でeこと」 2011年11月5日 10:00〜15:00 晴れ
 


これまでの森林保全活動暦  LIXIL統合以前の旧個社の森林保全活動を含む

2011年秋の活動を加え、全43回 延2,168名が活動に参加。 ※東久留米市とあきる野市はともに東京都