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東京大学生産技術研究所とLIXILの共同実証実験住宅「COMMAハウス」1周年
「ウインドキャッチャー効果」研究成果を発表
〜 窓の開け方で約10倍の"通風量=換気量"を実証 〜

2012年08月23日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明)は、東京大学生産技術研究所(所在:東京都目黒区、所長:中埜良昭)と共同でエネルギーマネジメントの実証実験を行っている共同実証実験住宅「COMMAハウス」(COMfort MAnagement ハウス)において、当社の総合研究所が“窓の設置位置”と“窓の開け方”によって、約10倍の「通風量(換気量)」を得られる「ウインドキャッチャー効果」を実証しました。

「ウインドキャッチャー効果」の優れた性能を実証したことは、特に夏の暑い日の帰宅時など、部屋の温度が外気温に比べ高い時の“通風(換気)”に、“自然エネルギー(風)”を積極的に活用し、室内温度を効率よく下げる“パッシブな住宅設計(窓の仕様、配置など)”を考える上で重要な実証結果と言えます。

今回の実証実験では、東京大学駒場リサーチキャンパス内にある実証実験住宅「COMMAハウス」で行いました。「ウインドキャッチャー効果」を得られる窓開け方法と、「ウインドキャッチャー効果」を得にくい窓開け方法を、ほぼ同一条件で検証しています。

結果、前者と後者で約10倍の通風量(換気量)の差があることが実証されました。

この結果を踏まえ、“省エネで快適に過ごすための最適な窓サイズ・種類・配置を提案するサービス”「通風・創風 設計サポート」、および「通風建具(ルーバードア/引戸)」や「通風玄関ドア」などの商品の開発を進め、さらに快適な住空間の実現を目指します。

今後もLIXILでは、自然エネルギーを活用したパッシブ住宅の開発に積極的に取り組み、当社が提唱する「がんばりすぎない節電」をより快適なものとする活動を行ってまいります。

<参考資料>

■「ウインドキャッチャー効果」実験概要

本実験は、縦すべり出し窓を利用した“ウインドキャッチャー効果”による『通風量』に関して、ウインドキャッチャー効果のない場合と比較することで、その度合いを把握する。なお、「ウインドキャッチャー効果が得られる窓開け方法」(図1)とは、外壁の一つの面内において、吊元の異なる複数の窓を開放し通風を行うことを指し、「ウインドキャッチャー効果が得られない窓開け方法」(図2)とは、外壁の一つの面内において、吊元が同一である窓のみを開放することを指すものとする。この場合、両者とも開放する窓の総数は同じとする。

図1:ウインドキャッチャー効果が得られる窓の開け方

図2:ウインドキャッチャー効果が得られない窓の開け方

<測定対象>

「COMMAハウス」1階LDK(吹抜空間を含む)

<測定項目>

  • トレーサーガス(換気測定用の気体、人畜無害)の発生量
  • トレーサーガス濃度
  • 屋外風向・風速

<実験期間>

「ウインドキャッチャー効果が得られる窓の開け方」: 2011年10月24日 11:47〜12:39
「ウインドキャッチャー効果が得られない窓の開け方」:2011年10月24日 14:49〜16:55

<気象条件の差異>

風速の分布は両ケースで類似しており、風向もほぼ同一の条件であった。
「ウインドキャッチャー効果が得られる窓の開け方」: 0.32m/s、北東の風
「ウインドキャッチャー効果が得られない窓の開け方」:0.45m/s、北東の風

<実験結果>

【通風量の比較】
「ウインドキャッチャー効果が得られる窓の開け方」の場合と、「ウインドキャッチャー効果が得られない窓の開け方」の場合で、1時間あたりの通風量を比較した場合、「ウインドキャッチャー効果が得られる窓の開け方」を実施した場合、「ウインドキャッチャー効果が得られない窓の開け方」に比べて、およそ10倍の換気量を得られることが確認できた。

通風量の比較

  ウインドキャッチャーあり ウインドキャッチャーなし
通風量 399.3 m3/h 37.9 m3/h

■「COMMAハウス」を使った他の実証実験について

【水回り機器のHEMS※連携による、湯水使用量の見える化検証実験】

住宅のエネルギー消費の約4割を給湯が占めるとのデータもあり、ゼロエネ住宅の実現には節水(湯)が喫緊の課題です。「COMMAハウス」では湯水の使用量の見える化を進めており、実験初年度ではトイレ・キッチン・洗面において無線による安定したデータ通信の目処が立ちました。今後は見える化にとどまらない更なる価値を創出し、実用化に向けた実証を進めてゆきます。

※HEMS(Home Energy Management System):センサーやITを活用し、住宅のエネルギー管理を行うシステム

◆「COMMAハウス」について

2011年8月に東京大学生産技術研究所とLIXILが、2020年に広く普及するスマートハウスを目指し、エネルギーマネジメントの実証実験を共同で行う実験住宅として、東京大学駒場リサーチキャンパス内に建設しました。

気密・断熱・耐震機能に優れた構造体に、風・光・熱をコントロールする開口部材や、太陽光発電・太陽熱利用機器・省電力照明(LED・有機EL)・HEMSを備えており、特定メーカーによる機器の利用状況の見える化や省エネルギー制御といった機器中心の考え方にとどまらず、建物そのものの特性やプランニングを活かし、住宅としての性能、意匠性を維持しつつ、そこで暮らす人の快適性を最適なエネルギーコントロールで実現することを狙います。また、さまざまなメーカー、異業種の機器の協調運用ができるオープンなシステムで実験を行い、蓄積したデータをライフスタイル提案に活用するなど住まい手を巻き込んだ取り組みを進めます。

◆8/17「COMMAハウス」のモデルルームが「LIXILショールーム東京」にオープン

次世代スマートハウス「COMMAハウス」のモデルハウスを、LIXILの旗艦ショールーム「LIXILショールーム東京」(所在地:東京都新宿区西新宿/2012年8月17日オープン)でもご覧いただけるようになります。

また、「LIXILショールーム東京」では、より未来のスマートハウスをイメージしていただくため、「LIXIL 住環境制御システム」と連携したロボットの「リリボ」による「窓の開閉」「エネルギーの見える化」の実演・紹介を行っています。

住環境制御システム
インターフェース「リリボ」

「COMMAハウス」モデルルーム 間取図

「COMMAハウス」モデルルーム 内観

◆注記
『リリボ』は、(株)LIXILと(株)LIXIL住宅研究所が開発した、住環境制御システムのインターフェ−スとして、NEC社の コミュニケ−ションロボット「PaPeRo」を採用しています。