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次世代住宅の共同研究施設
「メム メドウズ」がグッドデザイン賞を受賞
〜単なる実験・研究施設をこえ、サステナブルな都市へのアイデアを創発するエコビレッジと高い評価を得る〜

2012年10月04日

住宅・建材産業に関する調査・研究及び、人材育成等の事業に対し助成・支援する 公益財団法人LIXIL住生活財団(所在地:東京都江東区、代表:理事長 潮田洋一郎、以下:LIXIL住生活財団)は、当財団が主体となり次世代住宅の研究を大学などの団体と共同で進める研究施設「メム メドウズ(Memu Meadows)」(所在地:北海道広尾郡大樹町字 芽武158-1)が、公益財団法人日本デザイン振興会(略称:JDP)が主催する「2012年度グッドデザイン賞」の住宅・住宅設備カテゴリー部門で受賞しました。

左:“寒冷地実験住宅”「メーム(Même)」、右上:「メム メドウズ」全景、右下:研究者宿泊施設

「メム メドウズ」は、次世代住宅の実験・データ収集を行うことで製品開発や社会に貢献することを目的として2011年10月に開設された共同研究施設で、冬季には外気温が−30℃にもなる北海道大樹町にある競走馬の牧場を、サステナブルな建築・都市のあり方を追求する研究・教育・研修施設へと転換した研究施設です。
 また、施設全体の設計監修には、世界的にも著名な建築家 隈研吾氏が手がけ、中でもシンボル的な施設であり、第一号の“寒冷地実験住宅”「メーム(Même)」は、北海道古来の住宅をモチーフに、光を透過する白い膜材を二重構造(ダブルスキン構造)で壁と床を仕上げた隈研吾氏 設計、東京大学生産技術研究所 野城研究室 技術支援によるユニークな実験住宅です。

「2012年度グッドデザイン賞」では、研究施設「メム メドウズ」が、単なる実験・研究施設という枠を超え、当財団が主催し世界の大学生が参加する「国際大学建築コンペ」の優勝作品を実際に建設する場であったり、その建設に地域住民が積極的に参加するなど、コンセプトそのものがサステナブルな都市を形成するアイデアの発信拠点であると高く評価され、この度、住宅・住宅設備カテゴリー部門での受賞となりました。

<参考資料>

【審査委員の評価】

厳寒地帯にある競走馬の牧場跡地に開設された、次世代住宅の実験・研究のための施設である。厳しい自然環境や広大な土地そのものを有効に転換・活用しており、地域の伝統様式を取り入れた実験住宅や既存の建物を活かした研究者向け宿泊施設が設置されている他、国際コンペ形式で選ばれたサステナブル住宅を毎年建設するなど、単なる実験・研究施設をこえ、サステナブルな都市へのアイデアを創発するエコビレッジとして固有の価値を生み出している。また、地域住民と連携し生活に密着した実証研究を実施するなど、研究プロセスにも住民が関わり、協力関係を築くことで地域活性につながっている。施設自体が実験的であり、その有用性が高く評価された。

担当審査委員:
難波 和彦 氏(ユニット長)
安積 朋子 氏
篠原 聡子 氏
安田 幸一 氏

■「メム メドウズ」について
− 真に豊かな社会を実現するために、私達が取り組むべき課題とはなんでしょうか。

省エネルギー、バイオマス、低炭素社会の実現、室内温熱環境のコントロール、耐震構造の検証など実にさまざまです。これら住宅をとりまく多様な実験に取り組める施設として、冬季には外気温が−30℃に達する気象条件の厳しい大樹町に、環境技術研究機構の「メム メドウズ」を開設しました。牧場跡地にもとから在った住宅や施設を取り壊さず、土地の持つ記憶をそのまま風情として残しながら改修して、資源も有効に活用しています。

北海道大樹町は、冬季は厳しい寒さにも見舞われますが、その反面、季節が美しく移ろう豊饒の大地です。土地の名前「芽武(メム)」には「泉の湧き出るところ」という美しい意味があります。

この地で、住まい手にとって真に快適な住環境とは何かを、利用者の皆さんと一緒に追求していきたいと願っております。

【施設概要】

名  称 : 「メム メドウズ」
所 在 地: 北海道広尾郡大樹町字芽武158-1 ※旧「大樹ファーム」跡地
所  有 : 公益財団法人LIXIL住生活財団
〒136-8535 東京都江東区大島2-1-1
敷地面積: 約56,000坪
主要施設: 寒冷地実験住宅「メーム(Même)」、多目的ホール、ラボ棟、
住宅1、2、3号棟(研究者向け宿泊施設)、
ログハウス1、2号棟(研究者向け宿泊施設)、運動棟、
レストラン、サウナ施設、管理棟 など

■寒冷地実験住宅「メーム(Même)」について
(設計:隈研吾建築都市設計事務所/技術支援:東京大学生産技術研究所 野城研究室)

北海道古来の住宅をモチーフに、壁と床を同じ膜材で仕上げた、緑の台地に浮かび上がるように建つこれまでにない実験住宅。 光を透過する白い膜材は二重構造(ダブルスキン)になっており、閉鎖的な暮らしになりがちな寒冷地にあって、室内に明るく柔らかな光をもたらしている。冬場は地熱を利用した蓄熱式床暖房によって、膜の間に地熱をとり入れ、断熱性能をこうじょうさせると同時に、炉と煙突からの輻射熱で室内を効果的に暖めることができる。また室内には、CO2排出に伴う熱負荷などの温熱環境の変化や、地震発生時のデータを自動計測するセンサーを数カ所設置しており、長期的なデータ収集と蓄積が可能。

【主な特長】

1.寒冷地の伝統建物を参考とした地熱利用による省エネ床暖房

寒冷地の伝統建物を参考とした地熱利用の蓄熱床暖房システムにより、省エネ効果をもたらします。

2.半透明膜材の自然採光による省エネ照明

半透明膜材により木造軸組みの建物全体を包み込み、閉鎖的な居住環境となりやすい北海道(寒冷地)で、自然光による明るい室内を実現し、照明電力の省エネ効果をもたらします。

3.二重膜を利用した壁・天井内空調により、断熱性能を向上させる省エネ空調

二重膜の壁内に暖かい空気を環流させることで建物の断熱効果を向上させ、省エネ効果をもたらします。

4.内膜のマジックテープ特殊納まりにより、壁・天井内の自由な場所にセンサーを設置し、データを集めることで製品開発への貢献

内膜のマジックテープ特殊納まりにより、壁・天井内の自由な場所にセンサーを設置できます。その他にも建物の各部位(床、壁、屋根、窓など)に取付けられたセンサーにより温熱環境、地震を自動計測し、データ収集を豊富化させることで各種住宅の製品開発に役立てることが可能です。

5.内膜のマジックテープや窓取付けの工夫により、建物の部材取替えを簡素化し、データ豊富化による製品開発への貢献

内膜のマジックテープ特殊納まりにより断熱材、内装仕上げ材の取替えを簡素化し、また窓の取付け納まりを工夫することで容易に取替えが可能で、各製品の温熱環境データ収集を豊富化し製品開発に役立てることが可能です。

■「国際大学建築コンペ」について

「NEXT GENERATION SUSTAINABLE HOUSE IN TAIKI-CHO」がテーマ。
寒冷地の過酷な気象条件かつインフラ基盤の弱い北海道大樹町の地域特性を活用して、世界の最先端の技術を導入。また北の大地特有の冬の雪、春から夏にかけての樹木、農作物の壮大な景観とマッチする次世代サステナブル住宅を建設し、省エネ効果のデータをもとに、技術的に有効性を検証し、地球社会に情報を発信する。
最優秀賞は、北海道・大樹町「メム メドウズ」敷地内に実作として建設される。

【主催】
公益財団法人 LIXIL住生活財団(旧トステム建材産業振興財団)
【共催】
株式会社LIXIL、北海道大樹町
【後援】
北海道開発局帯広開発建設部、北海道十勝総合振興局、一般社団法人日本建築学会、社団法人日本建築家協会、公益社団法人日本建築士会連合会