ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

LIXIL 「森でeこと(もりでいいこと)」活動報告
長野、三重、茨城・・・各地で従業員やその家族が、地域の人びととともに
森林や里山を保全する活動を行っています

2012年11月21日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明)は、地球への負担をへらすことに果敢に挑戦し、大地からの贈りものを大切にいかしながら、生きものや自然をまもるための知恵を高めていく活動を行っています。森林や身近な里山を守り、育てていく「森でeこと」の活動は、11月10日茨城県での開催で、7地域、延48回を数え、参加延人数は2,524名になります。森林での間伐や作業路の整備、里山での生物多様性維持の活動は、従業員がボランティアとして参加し、それぞれ地域の行政やNPO、森林組合の方々などと協働して推進しています。

この秋は、11月3日(土・祝)に三重県伊賀市と長野県阿智(あち)村、11月10日(土)茨城県土浦市で地域の従業員を中心に開催しました。本ニュースレターでは、今回行なった作業路の整備やウッドデッキづくり、間伐などの作業や、自然環境についての知識を深めるレクチャーの様子を紹介します。

LIXILは、「きれいな水 うつくしい森 心ゆたかな未来」を、地球のこれからを担う子どもたちに届けていくために、継続して自然を守り育てていく活動を行っていきます。

■三重県伊賀市での活動
◇今回の活動内容

間伐、作業道づくり、
木工作(コースター作り)

■長野県阿智村での活動
◇今回の活動内容

間伐、ウッドデッキ製作、
天然染料による絵の制作

■茨城県土浦市での活動<
◇今回の活動内容

下草刈り

■活動を通して
□「森でeこと」

2012年秋の活動概要

□これまでの森林保全活動暦

■ 三重県伊賀市での活動

三重県での活動は、2008年に三重県が進める「企業の森づくり」に賛同し、伊賀市と森林保全協定を結び上阿波地区でスタートしました。今回で9回目を迎え、青山工場や上野緑工場など三重県内の事業所の従業員とその家族を中心に参加延人数は977名となっています。チェーンソーを使った間伐作業、雪の中での植樹、植樹のための作業道づくりなどのほか、子どもたちの参加も多く、山の中で見つけた材料を使った木工作なども行ってきました。自然に親しみながら、森や木を育む気持ちを次世代へ伝えています。

引き続き2014年にかけて、上阿波地区の山林約0.76ヘクタールで植樹を行い、約0.5ヘクタールについて間伐、枝打ちをする計画となっています。

◇ 今回の活動内容

11月3日午前9時、三重県伊賀市上阿波のさるびの温泉駐車場に、LIXIL従業員とその家族とスタッフなど総勢117名が集合しました。今回も、環境に配慮した洗剤などを製造販売しているサラヤ株式会社との合同開催となり、総勢139名となりました。

当初の計画では、春に作業した斜面の整備をさらに進めるはずでしたが、初秋に発生した台風の影響で斜面が崩れ、立ち入ることも困難な状況になってしまいました。そこで今回は場所を変更し、炊事場から東屋に向かう斜面を登りやすくするため、柵を立てる作業を進めることになりました。この森で育った間伐材を加工した材料を使って、杭をうちこみ、横木を渡していきます。作業はスムーズに進み、2時間弱で完成しました。

柵の作製

大人に混じって作業に挑戦

柵の全景

ネットの取り外し

隣の斜面では植樹した苗木がすくすくと十分成長してきたので、鹿の食害から守るためのネットを外す作業も行いました。回を重ねるごとに、森が育ってきていることを実感できる瞬間です。別の場所では、いつものように間伐も実施しました。

また、子どもたち向けのプログラムとして、間伐材を使ったコースターづくりを行いました。小さい子も大きな子も一緒になって、一生懸命木を磨いていきます。最初はざらざらしてデコボコだった断面も、サンドペーパーで丹念に磨くと、きれいな木目が浮き上がってきます。ひとつひとつ異なる模様を楽しみながら、いくつも作品を作る姿も見られました。最後は思い思いの絵を描いて仕上げです。

コースターとしてだけでなく、クリスマスの絵柄を描き、ツリーにつるすアイディアもありました。間伐材を磨くことで木の柔らかさ、固さ、ぬくもりや木目などを自然に体感していきます。

上:間伐材をカット
右:サンドペーパーで磨く
左:クリスマス絵柄が描けました

自然の恵みをいただく、栗ごはん

毎回楽しみな昼食のメニューは「栗ごはん」「猟師汁」そして、ベトナムからの研修生による「ベトナム風お好み焼き」です。三重県での活動は、自然に親しむことに加えて、ボランティア活動を通じて従業員同士や地域との親睦を深めることも目的としています。今回は、近隣の工場をはじめ、8事業所から社員が集まり、普段の業務では接点が少ない人たちと交流をもつことができました。

参加者全員で、集合写真

■長野県阿智村での活動

長野県での活動は今回が8回目で、参加延人数は414名となります。2009年5月、長野県が推進する「森林(もり)の里親促進事業」に参加表明し、阿智村と里親契約を締結、5年間にわたり16ヘクタールの山林の間伐と1.2kmの作業道を整備する計画です。チェーンソーを使った本格的な間伐作業のほか、木工作や炭焼き体験、キノコの植菌(原木に菌を植える作業)など、駒ヶ根事業所や名古屋支店のスタッフを中心に活動を行っています。

◇今回の活動内容

11月3日、澄んだ秋晴れの空のもと、長野県阿智村の森に44名の参加者が集合しました。小学生以下の子どもたちも10名参加し、森の自然に触れる活動を楽しみにしています。今回のメインの活動は、間伐作業とウッドデッキの製作。そして子どもたちのお楽しみプログラムとして天然染料を使ったお絵かきを用意しました。

間伐作業

間伐作業は毎回行っています。生態系を守り森林を保全するためには、木々を適度に間引きし地面に光が届くようにする作業は欠かせません。今回は、未経験の初参加者を中心に間伐に参加してもらい、間伐を行う意味や、伐採する木の選び方などのレクチャーもあわせて、地域の森林組合の方々から指導をいただきました。参加者は、初めての作業に戸惑いながらもロープをかけて引き倒すなど、本格的な間伐作業を行いました。

ウッドデッキ作り

2回目以降の参加者は、ウッドデッキ作りに挑戦しました。材料となる木材は、この場所で伐採した間伐材を、森林組合の方が予め製材してくれたものです。作業場の近くにデッキを作り、作業の合間の休憩スペースや、昼ごはんを食べる場所として活用する計画です。間伐作業によって直接的に森林を整備するだけでなく、森のなかでゆっくりとした時間を過ごし、五感を使って自然環境を体感することが、間接的に新しい学びにつながります。

完成したウッドデッキで記念写真

参加者も手馴れた様子で作業は着々と進み、普段からエクステリア事業に携わる社員が設計したこともあり、本格的なウッドデッキが完成しました。次回からは、ここが楽しい憩いのスペースとなります。

大人が間伐やウッドデッキに精を出すなか、子どもたちはそのまわりで、落ち葉やどんぐり拾いに夢中です。子ども向けプログラムでは、画用紙に炭を使って下絵を描き、草木を使った天然染料で色づけをしました。木々や動物など、それぞれが思いおもいに描いた絵に、森で拾った落ち葉やどんぐりで飾りつけます。きれいな秋色に仕上がった個性あふれる作品に、子どもたちも満足そうな笑顔でした。

落ち葉の中でのお絵かき

炭で下絵を描く

完成した作品

大きなキノコもいただきます

昼食は地元の食材を使ったバーベキューです。今回は、春に本伏せ(木に穴を開け、キノコの菌を植えてフタをすること)をしたキノコが見事な豊作を迎え、食材として登場しました。巨大なキノコに驚きながら、香り高い秋の収穫をいただきました。また、午後に学習する動物との付き合い方の一環として、鹿の肉を口にする体験もありました。作業後の昼食は一段とおいしく、自然の恵みに感謝しながら、楽しいランチタイムを過ごしました。

午後は、飯伊野生鳥獣被害対策チームによる、獣害についての講義です。昨今、鹿やいのししによって農作物や森林が荒らされる被害が増えています。山が荒れ、食べ物がなくなった動物たちが、山から人里に下りてくることが原因と考えられ、森を整備することで、人と動物が共存できる環境を保全できます。里に降りてきた鹿を捕獲する罠を実際に見ながら、動物の性質や捕獲のルールなどを聞きました。参加した子どもたちは、寒いなか真剣な面持ちで耳を傾け、そこで生きる動物たちの生態を学び、森について理解を深めました。

このような活動を通じて、自然を学ぶ楽しさや森林保全の重要性を伝えていきます。

獣害の講義

作品を手に、集合写真

■茨城県土浦市での活動

2009年4月認定NPO法人「宍塚(ししつか)の自然と歴史の会*2」と、茨城県土浦市宍塚の里山保全活動を協働で行うことを約束し、今回が8回目の活動です。参加者は、延445名になり、筑波工場の従業員と家族を中心に、湿地の水源や水路の整備、外来種の除去などを行い、里山の生態系を保全しています。里山は、昔から人々の暮らしに利用されてきた最も身近な自然であり、原生林以上に多様な生き物が生息するとも言われています。

*2:宍塚の自然と歴史の会(http://www.kasumigaura.net/ooike/):認定NPO法人。土浦市宍塚には、小川、ため池、雑木林、田んぼ、畑、草原など様々な環境が存在する100ヘクタールほどの里山があり、オオタカやフクロウをはじめ、さまざまな生きものが生息する豊かな自然が残る。周囲には宍塚古墳群や上高津貝塚などがあり、歴史的にも重要な場所となっている。この貴重な里山を子どもたちに残す活動をしている。

◇今回の活動内容

筑波山を望む土浦市宍塚のふれあい農園前に、近隣の工場のメンバーを中心に、57名のボランティアとスタッフが集まり、まず「宍塚の自然と歴史の会」の担当者から、宍塚の自然や動物についてのレクチャーを受けました。宍塚は都市近郊に位置しながら、多様な環境と植生が残る地域であり、NPOと企業や大学、地元の小学校などが協力して、雑木林や竹林の整備、ため池の外来魚駆除や放棄水田の再生など、様々な保全活動や環境学習を行っています。LIXILの活動も、学生が行っている竹の生育調査や、他企業のボランティアの活動などと連携して、里山の生態系全体の回復を図っていきます。

熱心に、下草刈りにはげむ

怪我をしないように入念に準備体操をしたあと、いよいよ山に入って作業開始です。

今回の作業は、下草刈りがメインです。下草のほとんどは笹で、このまま放っておくと生い茂ってしまい、植物の多様性が損なわれてしまいます。冬前のこの時期に手を入れておくことで、来春の作業を軽減でき、多様な植物が育つようになります。腰をかがめてもくもくと草を刈る地道な作業で、続けていると足腰が痛くなりますが、顔を上げると、うっそうとした茂みがすっきり見渡せる広場となっていて、作業の進みを実感できます。

野鳥についてのレクチャー

午前中の作業終了後は、「宍塚の自然と歴史の会」の方から、宍塚にすむ野鳥についてのレクチャーです。宍塚に落ちていた鳥の羽や、剥製を見ながら湿地に住む生き物たちの保全活動について説明がありました。定期的な草刈りや水環境の維持・管理によって、魚や虫、カエルなどが生息し、それを食べるヘビが増加することで、サシバ(タカ科の渡り鳥)などの希少湿性動物を守ることができます。地道な活動が、多様な動植物の生育につながっていることが、NPOの調査によっても確認されています。

興味深く質問する参加者のみなさん

一仕事のあとの楽しみは、宍塚でとれた米や野菜を用いた「里山ランチ」です。地元で取れた野菜を使った豚汁と赤米をいただき、青空のもとでの昼食を満喫しました。

午後も引き続き下草刈りを行い、朝には薄暗かった森の地面に、温かい日差しが差し込みます。この光を受けて、来年の春には、たくさんの植物が芽吹きます。こうして人が手入れをすることで、里山の動植物の多様性が維持されます。今後もNPOと協働し、日本の誇る里山を保全していきます。

左上:地物野菜のサラダ
右上:豚汁
下:楽しい昼食の風景

集合写真

■活動を通して

三重、長野、茨城それぞれの場所で、地域の生態系に沿った「森でeこと」の活動が続いています。回を重ねるごとに、参加者はその成果を実感しつつ、自然の偉大さと、共に生きる大切さを学びます。「きれいな水、うつくしい森、心ゆたかな未来」を子どもたちの世代につなげていこうという気持ちが育まれ、環境意識が高まっています。LIXILは、これからも率先して、森林や里山保全に貢献していきます。

【添付資料】

2012年秋の活動概要

第9回 三重県「森でeこと」 2012年11月3日 10:00〜13:30 晴れ

第8回 長野県「森でeこと」 2012年11月3日 10:00〜15:00 晴れ

第8回 茨城県「森でeこと」 2012年11月10日 10:00〜14:30 晴れ

これまでの森林保全活動暦 LIXIL統合以前の旧個社の森林保全活動を含む

2012年秋の活動を加え、全48回 延2,524名が活動に参加。※東久留米市とあきる野市はともに東京都