2012年02月27日
INAXギャラリーは3月1日付で「LIXILギャラリー」と名称変更をいたします。
LIXILギャラリー企画展の第一弾としてスポットをあてるのは、キリスト教との関わりが深い長崎の地に、ひとりの大工棟梁が建てた教会建築です。
今回、「鉄川与助の教会建築 ‐五島列島を訪ねて‐ 展」(3月8日〜)は、ギャラリー1 東京会場のみの展示となります。LIXIL独自の視点で作り上げた企画展示をぜひ、ご覧ください。
鉄川与助の教会建築 ‐五島列島を訪ねて‐ 展 開催概要
長崎には130余りもの教会があり、その数は全国にある教会数の1割以上を占めます。260年にも及ぶ禁教と迫害の時代を乗り越え、明治から昭和にかけて建造されました。なかでもキリシタンの里と呼ばれる五島列島には、約50の教会が点在し、ひっそりと隠れるような佇まいは今も受難の歴史を静かに物語っています。
本展では、五島列島および長崎周辺の教会の建設に生涯をささげた、棟梁・鉄川与助(1879〜1976)による教会建築の軌跡を展観します。与助は、1879(明治12)年、五島列島の中通島に、大工棟梁・鉄川与四郎の長男として生まれました。高等小学校卒業後、大工の修行中、教会の建設を手伝ったことをきっかけに、教会建築の虜となります。27歳で父から家業を継ぎ鉄川組を設立。その翌年、棟梁として自ら設計・施工した木造教会を皮切りに、煉瓦造、石造、鉄筋コンクリート造の教会を建てていきます。また内部空間においてもより高い天井をめざして*リブ・ヴォールト天井や*折上天井などの工法を極めるなど、次々に新しい試みに挑戦していきました。鉄川与助が棟梁として設計・施工した教会は、戦前のものだけでもおよそ30棟に及び、その半数が現存し、4棟が国指定の重要文化財となっています。この数からも与助の類い稀な才能を窺い知ることができます。
会場では、本企画のため、五島列島および長崎周辺の教会に訪れた写真家、白石ちえこ撮下しの写真で、それらの魅力と特徴を解説パネルと併せて紹介します。与助の教会建築を知るためのキーとなる8棟の教会を、(「冷水教会」、「今村教会」、「頭ヶ島天主堂」、「紐差教会」など)厳選してディテールとともにご紹介します。
写真等のパネル以外には、与助の人となりを窺える資料もご覧いただきます。山に囲まれた深い入江の浦々に、また急峻な山間僻地の集落に静かに佇む教会には、鉄川与助が燃やし続けた教会建造への情熱が今も感じられます。どうぞご期待ください。
*リブ・ヴールト:天井曲面の稜線に沿って肋骨状の支持アーチ材を架ける構法。ゴシック様式の大きな特徴でもある。
*折上天井:二重の持送りによって折り上げられたハンマー・ビーム架構の天井。中世ヨーロッパの小さな教会やイギリスのマナーハウスなどでよく用いられる工法。
(写真) 今村教会(1913年竣工、福岡県大刀洗町、福岡県指定文化財)。煉瓦造の教会堂の頂点を極めたと評される。 |
(写真) 頭ヶ島天主堂(1919年竣工、長崎県新上五島町、重文)。 与助唯一の石造教会。地元産の砂岩を利用。 |
(写真) 頭ヶ島天主堂の内観。折上天井で、花の装飾がひときわ目を惹く明るく、軽やかな堂内。 撮影:すべて白石ちえこ |
【会 期】 2012年3月8日(木)〜2012年5月26日(土)
【開館時間】 10:00〜18:00
【休 館 日 】 日祝日
【会 場】 LIXILギャラリー (東京)
東京都中央区京橋3-6-18、LIXIL:GINZA 2F
TEL : 03-5250-6530 FAX:03-5250-6549
会場はこちら ⇒ http://inax.lixil.co.jp/culture/map/detail02.html
【入 場 料 】 無料
【企 画】 LIXILギャラリー企画委員会
【製 作】 株式会社LIXIL
■ LIXILギャラリー巡回企画展はこちら ⇒ http://inax.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_002061.html
■ 関連企画のご案内
講演会「棟梁建築家・鉄川与助がめざした教会建築」
講 師:川上秀人(近畿大学産業理工学部教授)
日 時:2012年4月20日(金) 6:30p.m.〜8:00p.m.
会 場:LIXIL:GINZA 8F セミナールーム
参加無料、要申込、先着順(TEL: 03-5250-6530 e-mail:xbn@lixil.co.jp)
■ 新刊LIXILブックレットのご案内
LIXIL BOOKLET
『鉄川与助の教会建築 ‐五島列島を訪ねて‐』
(76ページ内カラー44ページ、税込価格1,890円)