ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

ミュージアム活動25周年
INAXライブミュージアムグランドオープン 5周年記念事業
「建築陶器のはじまり館」オープン
4月28日、大正末期〜昭和初期に日本の建築を彩ったテラコッタを公開

2012年03月13日

 住宅設備機器・建材の総合メーカーである株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明)が運営する、土とやきものについて学べる“体験・体感型ミュージアム”『INAXライブミュージアム』(所在地:愛知県常滑市)は、ミュージアム活動25周年、グランドオープン5周年事業の一環として、新たな展示館「建築陶器のはじまり館」を開設、2012年4月28日(土)10:00から一般公開します。

 昨年11月には、記念事業の第一弾として、『INAXライブミュージアム』のシンボル的存在である「窯のある広場・資料館」を、<日本の近代化を支えた常滑の土管>をテーマに、1階展示のリニューアルを行い、第二弾となる今回は、新しい展示館「建築陶器のはじまり館」を開設します。
 これまで収蔵してきたテラコッタ(主に大正時代末期から昭和の初期(第二次世界大戦前)まで、鉄筋コンクリート造の建築に取り付けられた装飾のためのやきもの)のコレクションについて、より深く調査し、建築に施工されていた当時の様子がわかる写真や、その時代背景とともに展示します。

 「建築陶器のはじまり館」は、屋外と屋内の展示エリアから成り、屋外展示エリア(テラコッタパーク)では、テラコッタのコレクションを、本来の姿である壁面に取り付けた状態で展示します。時代を映す、国際色豊かなデザインと迫力、造形のおもしろさを自然光のもとでご覧いただけます。2010年に惜しまれながらも解体された「横浜松坂屋本館」(横浜市、設計鈴木禎次)のファサードを飾った華麗なテラコッタを含め、13物件のテラコッタを展示します。

 屋内エリアでは、関東大震災を契機に明治期の煉瓦造の洋風建築から鉄筋コンクリート造へと変わってゆく建築の近代化の流れと、当時の建築を彩ったテラコッタについて、背景にある出来事や社会情勢をひもときながら解説していきます。テラコッタやタイルの普及、さらには関東大震災後に日本の建築のあり様に大きな影響を与えた、近代建築の巨匠、F.L.ライト設計の「帝国ホテル旧本館(ライト館)」の食堂の柱など、貴重な資料も展示されます。

注)「建築陶器」:タイルやテラコッタ、煉瓦など、建築に用いるやきものを広く「建築陶器」と呼ぶが、ここでは主にタイルとテラコッタを指す言葉として用いる。


<参考資料>

施設の概要

設計監理 建築/南の島工房一級建築士事務所 日置拓人(ひき・たくと)
外構/オフサイドプランニング 樋口彩土(ひぐち・さいど)
内装・展示/東南西北デザイン研究所 石川新一(いしかわ・しんいち)
施 設 地 愛知県常滑市奥栄町1-130
敷地面積 777m2(うち、テラコッタパーク648m2
建 築 物 ・鉄筋コンクリート造1階平屋建屋内展示館 (延べ床面積197m2)
・鉄筋コンクリート造屋外展示場壁 (平均高さ:約4m)
屋外展示エリア(テラコッタパーク)

 花や幾何学模様、動物などの彫刻が施された大きなやきもの装飾−テラコッタ。
 大正末期から第二次大戦まで、日本の建築を華麗に飾りました。今は貴重な文化遺産となったテラコッタに、青空の下、間近で出会えるのがテラコッタパーク。1937年に伊奈製陶 (後のINAX)が制作した横浜松坂屋のテラコッタ(2m×5m)をはじめ、貴重なテラコッタを、当時の建築写真とともに芝生の広場に展示します。


完成予想図

横浜松坂屋本館のテラコッタ
(撮影:相原 功)


2010年
解体された横浜松坂屋本館
(撮影:相原 功)
屋内展示エリア

 20世紀建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトの代表作の一つ、「帝国ホテル旧本館(ライト館)」。常滑の土で焼かれたタイルとテラコッタで装飾されたこの建築は、関東大震災の災禍からの力強い復興の象徴であり、日本における鉄筋コンクリート造建築と、建築陶器による装飾の時代のさきがけとなりました。ここでは帝国ホテル旧本館柱型の実物展示を中心に、9物件のテラコッタを展示。日本の近代建築が花開いた時代の息吹や、人々のものづくりへの熱意を伝えていきます。

帝国ホテル旧本館
(ライト館)の柱型
完成予想図
  


屋外エリア(テラコッタパーク)展示概要:全13物件のテラコッタ
   

屋内エリア展示概要:全9物件 テラコッタ展示
   

関連書籍『日本のテラコッタ建築 −昭和・震災復興期の装飾』(4月28日発売予定)

 天地:284mm×左右210mm/本文104ページ/4色/1色/無線綴じ
 定価:2,500円(税別)
 発行:LIXIL出版
 企画:INAXライブミュージアム 制作:株式会社LIXIL
 著者:米山 勇、鈴木博之、大嶋信道、内田祥士 ほか共著
 【図版構成】
 ●本編:帝国ホテル旧本館(ライト館)/京都府立図書館/新橋演舞場
   /大同生命ビル/大阪ビル一号館/朝日生命館(旧 常盤生命館)
    /建築会館/大日本製薬/武庫川女子大学甲子園会館(旧 甲子園
    ホテル)/名古屋銀行協会/朝日石綿工業/冨山房/自治省庁舎/
   大谷仏教会館/横浜松坂屋本館 ほか
   解説=米山勇、後藤泰男、竹多格、杉江宗七
   テラコッタ・マップ (東京、横浜、名古屋、京都、大阪)
 ●論考と資料
   ・近代都市とテラコッタ建築/鈴木博之
   ・テラコッタが彩った様式と装飾/大嶋信道
   ・テラコッタの製造方法/〔文〕伊藤幸子
   ・仕様書に見るその成熟期の在様/内田祥士
   ・テラコッタを手がけた、建築家たち/日置拓人
   ・テラコッタと社会史年表

LIXILグループ『INAXライブミュージアム』概要

 「世界のタイル博物館」「窯のある広場・資料館」「建築陶器のはじまり館」(2012年4月新設)「土・どろんこ館」「陶楽工房」「ものづくり工房」の6館で構成された“体験・体感型ミュージアム”。土からやきものまで、その歴史や文化、美しさや楽しさを伝えています。土と陶の魅力に触れる体験教室や企画展、ワークショップも開催。
 
 所在地:愛知県常滑市奥栄町1−130
 TEL:0569-34-8282
 総面積:15,000平方メートル
 総従業員数:29名
 開館時間:午前10:00〜午後17:00(入館は16:30まで)
 休館日:毎月第3水曜日、年末年始
 共通入館料:一般600円、高・学生400円、小中学生200円
 ホームページアドレス:http://inax.lixil.co.jp/ilm