2012年09月06日
住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明)は、LIXIL出版より、1843年(江戸末期)に創業した株式会社川島織物セルコン(本社:京都市左京区、社長:中西正夫)の伝統と技術、さらにものづくりの精神を紹介していく書籍「建築を彩るテキスタイル−川島織物の美と技−」を9月1日(土)に発刊しました。
また、9月6日(木)から11月24日(土)まで、企画展「建築を彩るテキスタイル展−川島織物の美と技」をLIXILギャラリー(東京会場)※にて開催します。※大阪会場は6月18日〜8月23日にて開催終了
川島織物セルコンは、2011年8月にLIXILグループ入りしたファブリックスメーカーで、帯、緞帳・祭礼幕から、カーテン、カーペット、インテリア小物まで、約170年にわたり日本のファブリックを牽引してきました。
これらの歴史を後世に伝えるため、発祥の地である京都には、日本で最も古い企業博物館「織物文化館」を開設しており、国内外の染織品や古書の他、今まで手掛けてきたプロジェクトや商品の下絵、試織など約16万点を所蔵しています。
「建築を彩るテキスタイル−川島織物の美と技−」では、織物の用途を一気に拡大した川島織物二代目の川島甚兵衞の功績と、現在まで連綿と続く「ものづくり」の現場を図版豊富に紹介しながら、染織品に秘められた美と技を再考します。最大の見どころとして、写真界の巨匠、十文字美信氏をカメラマンに迎え、新たな撮りおろしの図版で展開します。独特の視点で捉えられた作品や工場内風景はもとより、繊細で鮮やかな染織品の質感や表情までもくっきりと浮かび上がります。
また、二代川島甚兵衞が研究のため国内外で蒐集した裂地や装束などの貴重な資料や、伊藤若冲による原画「動植綵絵」より15 面を選び綴織で壁面装飾した幻の室内空間を展開図や古写真などで詳細にひもときながら、国内の技術と海外の趣向とを取り入れた日本式室内装飾の集大成を伝えます。
さらに、9月6日(木)から11月24日(土)まで、LIXILギャラリー(東京会場)では、織物文化館が所蔵する実資料38点を展示する企画展「建築を彩るテキスタイル展−川島織物の美と技」を開催します。川島織物がもつ美と技を実際にご覧いただくことで、その世界観を間近にお楽しみいただけます。
<参考資料>
【目次】
撮影:十文字美信
【発刊主旨】
川島織物セルコンの代表作を通じて、テキスタイルの技術と表現が、いかに室内空間の近代化とデザインの多様性に貢献してきたかを考察し、その美と技をひもとくと同時に、二代川島甚兵衞の果たしてきた功績と尽力した事業を中心に、現在のものづくりにどう活かされているのかを紹介する。
また、人物像や当時の時代背景、西陣という産地の特長などは、京都を拠点に活動するノンフィクション作家の菊池昌治氏が情景豊かに描き上げます。
ご参考:二代川島甚兵衞について
川島織物の二代目当主。創業者である父の意志を継ぎ、 十代の頃から織物の改良に取り組む。その技術が時の 農商務大臣 品川彌二郎子爵に認められ、子爵の渡欧に 織物の調査・研究のために同行。帰国後、織物を用いた 日本式室内装飾様式を提案すべく、国内初の企業博物館 「織物参考館」を開館。また日本の技術力を世界に知らし めるため、多くの万博へ出展し様々な賞を受賞するなど、 西陣織の普及、改良に尽力し、「綴織再興の祖」と言われた。 明治31年、帝室技芸員を拝命。
【主な展示】
①国内初の企業博物館「織物参考館」のほぼ実物大のレプリカと模型
②パリ万博(1900年)に出品した「群犬」試織(最高栄誉賞受賞)
③オランダ・ハーグ平和宮殿(1913年竣工)の大壁面を飾る綴織意匠として、菊池芳文直筆の草稿画と山田耕雲が模写した「晩春初夏百花百鳥」屏風
「織物参考館」のレプリカと模型
「群犬」試織