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LIXILの文化施設『INAXライブミュージアム』が、
2013年「日本建築学会賞(業績)」を受賞
表彰業績名:日本のテラコッタ建築〜大正・昭和初期の装飾の保存と公開

2013年04月15日

※テラコッタ:建築物に取り付けられた装飾のためのやきもの

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明)が運営する、土とやきものの魅力や、ものづくりの心を伝える文化施設『INAXライブミュージアム』(愛知県常滑市)が、このたび、一般社団法人日本建築学会(本部:東京都港区、会長:和田章)の2013年「日本建築学会賞(業績)」を受賞しました。

「日本建築学会賞」とは、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかるとともに、わが国の建築文化を高める目的で、建築に関する特に優秀な業績を表彰する制度です。その中で『INAXライブミュージアム』が受賞した業績部門は、近年中に完成した業績、および継続的な活動によってその成果が認められた業績に対して贈られます。

今回の受賞は、日本におけるテラコッタ建築の価値を次代に伝えることの大切さを認識し、近代建築で実際に使用されたテラコッタを長年にわたり継続して収集、保存、公開してきたことや、テラコッタ建築の写真や調査資料をまとめ出版し、記録の保存と伝達に努めてきたこと、テラコッタやタイルの復原・修復を通じ、技術の継承に努めてきたことなどが評価されたものです。

▲写真左からINAXライブミュージアム内に2012年4月にオープンした「建築陶器のはじまり館」の屋内展示と、
屋外展示エリア“テラコッタパーク”

テラコッタは、大正12年の関東大震災以降、耐震性に優れる鉄筋コンクリート造建築の普及とともに、主にその外壁装飾材として数多く作られました。当時、テラコッタで飾られ、タイルが施された「テラコッタ建築」は、日本の新しい時代の建築を象徴するものであり、関東大震災からの復興のシンボルでもありました。それらが建てられたのは、主に関東大震災から太平洋戦争に至るまでの僅か20年余りで、当時のままの姿で現存する建築も少なくなっています。

『INAXライブミュージアム』は、長年にわたり収集・保存し、東京や常滑の自社の文化施設で公開してきた貴重なテラコッタを改めて一つひとつ調査し、時代背景をふまえ、建築全体の写真や解説を加えて、22物件を一堂に展示公開した「建築陶器のはじまり館」を、2012年4月に施設内にオープンしました。それに合わせ、写真や調査資料をまとめた書籍『日本のテラコッタ建築 ―昭和・震災復興期の装飾』を出版しました。また、長くやきもの製造に携わってきた社員らで構成される「ものづくり工房」では、歴史的建造物のタイルやテラコッタの復原に積極的に協力し、やきもの技術の継承に努めるとともに、新たなデザインのテラコッタ開発にも取り組んでいます。

LIXILでは、日本の建築における貴重なテラコッタをより多くの方に知っていただくために、今後も様々な場面で紹介していきます。また、『INAXライブミュージアム』をはじめとする文化施設での展示や活動を通し、日本の建築文化の歴史を後世に伝える役割の一端を担っていきます。

1.「建築の陶器はじまり館」(2012年4月開設)について

■ 設計監理

  • 建築:南の島工房一級建築士事務所    日置拓人(ひき・たくと)
  • 外構:オフサイドプランニング          樋口彩土(ひぐち・さいど)
  • 内装・展示:東南西北デザイン研究所    石川新一(いしかわ・しんいち)

■ 敷地面積

777㎡(うち、テラコッタパーク648㎡)

■ 展示概要

<屋内展示>
帝国ホテル旧本館柱形実物を中心に、明治時代につくられた初期のテラコッタから、関東大震災を経て1930年代の全盛期に至る、日本を代表するテラコッタ建築とその時代背景を、実物のテラコッタやパネル展示で紹介します。明治時代の赤煉瓦からタイルへの変遷をたどる素材の展示や、1936(昭和11)年に伊奈製陶が発行した「テラコッタ」カタログ(複製)、テラコッタ収集・保存のきっかけとなった、写真集『美の彷徨』(故 杉江宗七著、1983年発行)など、貴重な史料もご覧いただけます。

帝国ホテル旧本館(ライト館)の柱

<屋外展示(テラコッタパーク)>
草花や幾何学模様、動物などの彫刻が施された大きなやきもの装飾−テラコッタ。近代の日本の建築を華麗に飾りました。今は貴重な文化遺産となったテラコッタに、青空の下、間近で出会えるのがテラコッタパークです。1937年に伊奈製陶(後のLIXIL)が制作した横浜松坂屋本館のテラコッタ(H4.5m×W1.8m)や、巨大なランタンをかたどった朝日生命館(旧常盤生命館)のテラコッタ(H2.5m×W1.1m)、「大阪ビル1号館」の鬼や動物などの顔をモチーフにした愛嬌のあるテラコッタが壁面に10体並ぶ展示など、迫力のあるテラコッタを鑑賞いただけます。これらをはじめ、13物件のテラコッタを、当時の建築写真とともに展示しています。

左:横浜松坂屋本館
中央:朝日生命館(旧常盤生命館)
右:大阪ビル1号館

2.『日本のテラコッタ建築−昭和・震災復興期の装飾』(書籍)について

  • 定価:2,500円(税別)
  • 発行:LIXIL出版
  • 企画:INAXライブミュージアム
  • 制作:株式会社LIXIL
  • 著者:米山勇、鈴木博之、大嶋信道、内田祥士 ほか共著

【図版構成】
本編:帝国ホテル旧本館(ライト館)/京都府立図書館/新橋演舞場
/大同生命ビル/大阪ビル一号館/朝日生命館(旧 常盤生命館)
/建築会館/大日本製薬/武庫川女子大学甲子園会館(旧 甲子園
ホテル)/名古屋銀行協会/朝日石綿工業/冨山房/自治省庁舎/
大谷仏教会館/横浜松坂屋本館 ほか
解説=米山勇、後藤泰男、竹多格、杉江宗七
テラコッタ・マップ(東京、横浜、名古屋、京都、大阪)

3.これまでのテラコッタ展示・出版について

1983年
『美の彷徨 テラコッタ』*1
杉江宗七:著 発刊(発行/伊奈製陶、絶版)
1983年
京橋・伊奈ギャラリー(現在のLIXILギャラリー)で「建築のテラコッタ展」開催
展覧会に合わせ、INAXブックレット『建築のテラコッタ』発刊(発行/INAX出版)
1986年
常滑・「窯のある広場・資料館」(現在のINAXライブミュージアム「窯のある広場・資料館」)で「建築のテラコッタ展」開催。展覧会後、引き続き常設展示として、テラコッタを公開。*2

*1:「美の彷徨 テラコッタ」表紙イメージ

*2:京橋・伊奈ギャラリー(現LIXILギャラリー)企画展示「建築のテラコッタ展」展示の様子

<『 INAXライブミュージアム』>

「世界のタイル博物館」「窯のある広場・資料館」「建築陶器のはじまり館」「土・どろんこ館」「陶楽工房」「ものづくり工房」の6館で構成された“体験・体感型ミュージアム”。土からやきものまで、その歴史や文化、美しさや楽しさを伝えています。
土と陶の魅力に触れる体験教室や企画展、ワークショップも開催。

  • 所在地:愛知県常滑市奥栄町1−130 TEL:0569-34-8282
  • 開館時間:午前10:00〜午後17:00(入館は16:30まで)
  • 休館日:毎月第3水曜日、年末年始
  • 共通入館料:一般600円、高・学生400円、小中学生200円
  • ホームページアドレス:http://www1.lixil.co.jp/ilm/

一般社団法人日本建築学会について

一般社団法人日本建築学会は、会員相互の協力によって、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかることを目的とする学術団体です。1886年(明治19年)に創立されて以来今日にいたるまで、わが国建築界においてつねに主導的な役割をはたしてきました。
現在、会員は3万5千名余にのぼり、会員の所属は研究教育機関、総合建設業、設計事務所をはじめ、官公庁、公社公団、建築材料・機器メーカー、コンサルタント、学生など多岐にわたっています。

日本建築学会賞について

建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかるとともに、わが国の建築文化を高める目的で、建築に関する特に優秀な業績を表彰する制度です。受賞者には賞状・賞牌、さらに作品に対しては銘板が贈られます。