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ケニアの非都市部における水資源保全と衛生環境改善のための
“循環型無水トイレシステム”普及促進事業をスタート
JICA「第1回 開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」に採択

2014年01月23日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長: 藤森義明)が提案した『ケニア共和国(以下、ケニア)の非都市部における水資源保全と衛生環境改善のための" 循環型無水トイレシステム"普及促進事業』が、独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)が公募した 「第1回 開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」に採択されました。今後はJICAの支援を得ながら、 本プロジェクトを進めていきます。

ケニアは、近年、GDP成長率が高く、また若年層の人口増加を背景に購買力のある中間層が形成され、 今後の更なる成長が期待されています。しかし、急激な人口増加と都市集中化から、インフラ整備が追いつかず、国を挙げて整備推進に取り組 んでいる状況です。特に衛生設備面においては、ナイロビなど都市部の水洗トイレの普及率は約50%まで進んでいますが、非都市部では下水道 の整備が大幅に遅れており、約2,100万人は劣悪な環境で排泄を行い、そのうち約560万人が屋外排泄をしています。結果、周辺の河川、地下 水などの水源が汚染され、腸チフスや下痢が蔓延する原因となっており、5歳以下の乳幼児が毎年17,000人以上死亡している状況です

※WSP"Economic Impacts of Poor Sanitation in Africa(March 2012)"より

▲ナイロビ市内 キベラ地区の様子

▲現地住民説明会の様子

LIXILではそのような背景を受け、ケニアに清潔で快適な衛生設備を提供しようと、2013年6月に横浜で開催された 「第5回 アフリカ開発会議(TICADX)などを通じて、"循環型無水トイレシステム"を提案し続けてきました。

本プロジェクトでは、LIXILがこれまで培ってきたノウハウを活かし、長期的な視点での 同国の問題改善を目的に、ケニアの都市に"循環型無水トイレシステム"を普及させていくことで、不適切なし尿処理や野外用便を減少させ、 人々の保健衛生状態の改善を目指します。

<参考資料>

JICA「第1回 開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」採択
『ケニアの非都市部における水資源保全と衛生環境改善のための"循環型無水トイレシステム"普及促進事業』について

1. JICA「第1回 開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」の目的

我が国民間企業等の製品・技術やノウハウ、そしてこれらを包含したシステム等への開発途上国政府関係者等の理解の 促進を通じ、開発途上国の開発事業への活用可能性を検討することを目的とします。これらの取り組みにより、我が国民間企業等と開発途 上国政府関係者等との間に人的ネットワークが形成されると共に、多くの開発途上国事業やODA事業にその製品・技術・ノウハウ・システム が活用され、我が国民間企業等の海外事業展開が促進されること、そして途上国の人々の生活の質が向上することが期待されます。
※JICAホームページより抜粋

2. 本事業におけるLIXILの提案内容

下水道インフラが未整備な非都市部に、水を使わずに排泄物を処理し肥料化する"循環型無水トイレシステム (グリーントイレシステム)"を新たなインフラとして普及させることで、水資源保全と衛生環境の改善を目指します。 現地での実証試験を通じて、ケニアの気候風土や現地の人々の暮らしに合わせてカスタマイズすると共に、実証試験の場を 「排泄」→「肥料化」→「植物を育てる」→「食べる」という生きる為の、一連のサイクルのデモンストレーションや研修の場として 活用します。現地の人たちと共により良いシステムを協創し、実際に見ること・触れる事で、この循環システムの意義や運用方法の理解を 深め、持続可能な普及に繋げていきます。

3. 「グリーントイレシステム」について

LIXILでは2008年より、し尿を安全に処理し、再資源化する「エコ・サニテーション」の研究・開発に取り組んでいます。 し尿の搬送に貴重な水を使わず、地下水や河川、湖沼、海などの水資源を汚染しません。リンや窒素という植物を育てる栄養素を含みながら も捨てられていたし尿が、発酵・分解という過程を経ることで、肥料などの資源として生まれ変わります。

2010年からベトナムにて、ハノイ建設大学と実証検証を進めており、 昨年よりインドネシアにおいても「エコ・サニテーション」の普及を目的とした調査を開始しました。また日本では、 徳島県勝浦郡上勝町にて住民の要望を踏まえた総合的な実証研究を継続中です。

ケニアにおいては、衛生・環境問題と同等に貧困や食料不足による飢餓も早期に解決すべき課題と捉えています。 安全な排泄・肥料化を提供する「エコ・サニテーション」に、生成した肥料を利用した農業や雇用創出などを加え、生きる為に必要な一連 のサイクルを支えるシステムを「グリーントイレシステム」と名づけ、活動を進めていきます。