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国際NPOと協働して環境教育活動を実施
〜LIXILは、ベトナムの未来を担う
子どもたちに、水の大切さを伝えています〜
2014年 2月 20日〜23日

2014年03月27日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明) と子会社LIXIL INAX VIETNAM Corporation(以下LIXIL VIETNAM)、LIXIL INAX DANANG Manufacturing Co., Ltd. (以下Danang INAX)は、2つの国際NPO法人「Bridge Asia Japan」(以下BAJ)、「Seed to Table」(以下STT)と協働して、 ベトナム社会主義共和国(以下ベトナム)の子どもたちに環境教育活動を行っています。

ベトナムでは、急激な経済発展に伴い、貧困層と富裕層の格差拡大や、公害問題、衛生問題、 子どもの人権保護問題などが生じ、社会制度が追いつかない状況にあります。ベトナムに5つの工場を有し、ベトナムの発展 とともに衛生陶器トップシェアの地位を築いてきたLIXILは、地域に根付いた企業として少しでもベトナム社会の役に立ちた いと考え、2007年に環境教育活動を開始しました。

BAJやSTTは、現地の人々が自らの生活や環境について学び、考え、行動していくことを支援してい ます。LIXILは、彼らの活動を資金面で援助するだけでなく、オリジナルテキストの作成や現地での授業を行っています。 住まいと暮らしに深く関わる企業として、また、公害問題を乗り越えてきた先進国の企業の責任として、これまで培って きた知識と経験を活かし、ベトナムの将来を担う子どもたちにとって大切な教育の支援を続けています。

14回目となる今回は、ベトナム中部のトゥア・ティエン・フエ省と、北部のホアビン省で、 BAJやSTTのスタッフ、5名の現地従業員、および日本から訪れた2名の従業員が、子どもたち約220名と授業や実験を通し て交流しました。

<目次>
■2月20日 トゥイスワン小学校での環境授業
■2月21日 ラムモンクアン中学校での環境授業
■2月23日 ディックザオ村での環境授業
■協働しているNPO法人について
■ベトナムでの事業について
■行程概要
■主な活動記録

■2月20日 トゥイスワン小学校での環境授業 ―BAJとともに―

自分の仕事を紹介

ろ過装置を製作する子どもたち

グループワークを通して交流を深める

トゥイスワン小学校はトゥア・ティエン・フエ省フエ市郊外にある小学校です。ベトナムでは小学 校1〜3年生を対象に「生きる力を伸ばすための活動」という科目があり、各学校が独自に組み立てたプログラムを実施して います。トゥイスワン小学校では、環境教育だけでなく、靴紐の結び方など日常生活の知恵や、溺れた時や火事の際の対処 法も教えており、LIXILが支援しているBAJは、2013年11月からここで環境学習を行っています。子どもたちは、LIXILのオ リジナルテキスト「水について考え、調べてみよう」を用いて、地球上には使える水が少ししかないことや、水は循環して いること、水の汚染が健康におよぼす影響などを学んでいます。2月20日の授業には、3年生3クラス合計105名が参加しまし た。

まず、初めて会う子どもたちにLIXIL従業員が自己紹介を行いました。氏名や家族構成、 趣味のほか、住んでいる地域や仕事について話すことで、子どもたちとの距離を縮めました。

その後、ペットボトルを利用したろ過装置を作り、実験を行ないました。この装置は、雨水など が地中にしみこむ過程で、汚れがろ過されていく自然界の仕組みを簡易化して再現しています。第1回から参加してい るLIXIL VIETNAMのソンが実験の手順を説明し、初めて参加したDanang INAXのズンとチャウは、実験を行う子どもたちを サポートしました。米のとぎ汁や灰を混ぜた水、煮物の汁など、子どもたちの身近な生活排水をろ過し、色や臭いを比 較したり、パックテストで汚染度を計測したりしました。日頃実験をする授業が少ない子どもたちは、汚れた水がろ過装 置を通ってきれいになっていく様子を真剣に観察し、理解を深めました。

授業に参加した子どもたちからは、「またこの実験をやりたい!」「次はいつ来てくれる?」 という声が聞かれ、環境に興味を持つきっかけとなっています。

■2月21日 ラムモンクアン中学校での環境授業 ―BAJとともに―

日頃の環境活動の紹介

ろ過されていく様子に興味津々

実験に取り組む生徒を優しく見守るニョン校長(中央)

フエ市から車で一時間の距離にある、海とラグーンに挟まれたフーロック郡ヴィンミー村 は、白砂地帯が広がっており、水質の良くない井戸水を生活に使用しています。水の問題に関心が強いヴィンミー村にある ラムモンクアン中学校では、環境クラブを立ち上げています。ニョン校長は、生徒が自ら考えることや、実際に手や体を動 かして学ぶことを推奨しており、BAJの活動に共感し、環境クラブで共に活動を始めました。環境クラブでは、2週間に一度 、2時間程度のフィールドワークを行い生活用水の問題解決に取り組んでいます。2月21日は、環境クラブに在籍する中学1 年生(日本の小学6年生)21名と活動しました。

この日は、LIXIL従業員の自己紹介と、LIXILの環境活動の紹介を行いました。中でも 、緑のカーテンは生徒たちの興味を強く惹き、学校での取り組みの1つとして検討されているそうです。その後、生徒 から、ヴィンミー村の水質調査や、家を作っている資材の再利用について報告がありました。報告を受けたLIXIL従業 員は、水質調査へのアドバイスとして、結果を考察し、近隣での水の使われ方を調査することを提案しました。LIXIL は、生徒が行っている活動を尊重し、生徒自身で考えていける教育を行っています。近隣の水質調査の結果は、次の訪 問時に報告してくれることになっています。

昼食は、中学校近くの食堂で、米粉の麺と牛肉を用いた名物料理のブン・ボー・フエ を生徒と一緒に味わい、交流を深めました。

午後は、オリジナルテキスト「水について考え、調べてみよう」を用いたLIXIL従業員による 授業を実施しました。水質汚染についてや、それが人間の健康に与える影響、水をきれい保つ方法を教え、日本での 公害に関する話題も紹介しました。その後、ペットボトルを用いたろ過装置の実験を行いました。生徒が持ち寄った 排水と、昼食のブン・ボー・フエの残り汁をろ過しました。生徒は実験を通して、土壌のろ過作用で排水の透明度が 増すことを学びました。一方で、パックテストを用いて汚染状況を測定することで、ろ過だけでは水が完全にきれい にならないことを確認し、日頃の生活で排水を少なくする工夫が必要であると理解しました。

■2月23日 ディックザオ村でのトイレの授業 ―STTとともに―

ディックザオ村は、ハノイから約120km離れたベトナム北部の山岳地帯にある村です。 この地域に住む人々は少数民族で、傾斜の急な農地なども利用しながら、独自の言語や伝統習慣を継承して生活してい ます。4回目となるこの村での授業は、前回参加できなかった子どもたちと青年団90名を対象に行いました。2月23日は 、LIXIL VIETNAMのソンに加え、フォンとハンが参加しました。

LIXILが協働しているSTTは、住民の声を受けてトイレの建設を支援しています。 建設費用の半額を支援し、残りを各世帯が負担して、建設作業も自分たちで行ってもらうことで、トイレの正しい使 い方の周知を進めています。

午前中は、建設したトイレを適切に使い続けてもらうために、オリジナルテキスト「トイレ について考えてみよう」を使った授業を実施しました。子どもたちは、トイレが使用されるようになった歴史的な背 景や、トイレの種類、正しい使い方や掃除の仕方を学びました。

午後はトイレについて調査するワークショップを行いました。子どもたちは、集落ごとに トイレの実態を調査し、写真を使って調査結果をまとめ、発表しました。トイレの有無や、数、種類はもちろん、 「水洗トイレはきれいだが建設費用が高い」、「ドライタイプのトイレは安く設置でき、肥料も作れるが臭いが気 になる」という子どもたちの考えを全員で共有しました。

授業では、トイレの使い方など
基本的な知識を学ぶ

ワークショップの様子

村民が建設したトイレ。プレートには、
LIXILが資金援助したことが書かれている。

■協働しているNPO法人について

<Bridge Asia Japan(BAJ)> http://www.baj-npo.org/

1993年設立のBAJは、その名のとおりアジアと日本の架け橋となって国際協力を行っているNPO法人 です。ベトナムでは、主に貧困層の子どもたちへの支援を行っています。環境教育は、2004年にベトナム中部にあるフエ市 の子どもたちを対象にスタートしました。生活排水を直接川に流さないようにするために浄化槽を設置するなど、実践的な サポートも同時に行うことで、現地の子どもたちが自ら考え行動する活動が広がっています。

<Seed to Table(STT)> http://seed-to-table.org/

STTは2009年設立のNPO法人で、LIXILと活動しているベトナム北部ホアビン省はその中核拠点です。 ベトナムの人々と共に、地域の種、自然、そして文化を守り、自給と収入を改善するための経済基盤を整えながら、 家族や友人と楽しく暮らしていけるようにすることを目指しています。自分たちの暮らす地域の現状を知り、貧困から脱したいと強く思う人々に、 地域に合った農法を教えています。また、人々の出会いと話し合いの場をつくり、次世代を担うリーダーを育てながら、 食と農と地域づくりに取り組んでいます。

■LIXILのベトナム事業について

LIXILは、1996年にベトナム市場に進出し、現在は、ベトナムの衛生陶器トップシェアの地位を築 いています。2008年に乾式外装タイル、2010年からは水栓金具、2012年には電気温水器市場に進出しました。2014年1月8 日には住宅用サッシ工場が竣工し、ベトナム国内における事業を拡大しています。

■行程概要

2014年2月20日
トゥア・ティエン・フエ省フエ市トゥイスワン小学校で環境教育

2014年2月21日
トゥア・ティエン・フエ省フーロック郡ヴィンミー村ラムモンクアン中学校で環境教育

2014年2月22日
フエからハノイへ移動

2014年2月23日
ホアビン省タンラック郡ディックザオ村で環境教育

環境教育活動参加者

・トゥア・ティエン・フエ省
フエ市トゥイスワン小学校児童105名
フーロック郡ヴィンミー村ラムモンクアン中学校生徒 21名
・ホアビン省
タンラック郡ディックザオ村子どもと青年団90名
・BAJ
ベトナム事務所 片山恵美子
Ly Ba Khuong (リー バー クオン)
通訳:Huynh Thi Thuy Tien(フイン ティ トゥイ ティエン)
・STT
代表 伊能まゆ
ベトナム事務所 Nguyen Thanh Tung (グエン タイン トゥン)
・LIXIL
CSR・環境経営推進部 小野聡志、蓼沼亜沙子
LIXIL VIETNAM 総務部 Khuat Duy Son (グアット ズイ ソン)
LIXIL VIETNAM 人事部
Nguyen Thi Thu Huong(グエン ティ トゥ フォン)
Nguyen Hong Hanh(グエン ホン ハン)
Danang INAX 人事部 Dang Nguyen Thu Dung(ダン グエン トゥ ズン)
Danang INAX 生産部 Tran Dai Chau(トラン ダイ チャウ)

■主な活動記録

2007年
BAJ、セーブ・ザ・チルドレン ジャパン(SCJ)と活動を開始(3ヵ年契約)
オリジナル教育テキストの作成(4月)
INAX VIETNAM Co., Ltd. ※1スタッフの講師養成教育、政府機関・学校関係者への説明 実施、イエンバイ、フエで学校関係者および子どもたちへの環境教育開始(6月〜8月)
2008年
2008年 エコプロダクツ国際展(ハノイ)にイエンバイやフエの子どもたちを招待
INAX VIETNAM Co., Ltd. ※1の工場見学(3月)
イエンバイ、フエで環境教育実施(6月)
イエンバイ、フエ、ホーチミン、クイニョンで環境教育実施(12月)
2009年
イエンバイ、フエ、ホーチミンで環境教育実施(7月)
2010年
BAJ、STTと活動を開始 フエ、クイニョンで環境教育実施
INAX VIETNAM TILE Co., Ltd. ※2の工場見学(1月)
ホアビン、フエ、ホーチミンで環境教育実施(7月)
2011年
ホアビン、フエ、ホーチミンで環境教育実施(1月)
ホアビン、フエ、ホーチミンで環境教育実施、INAX VIETNAM Co., Ltd. ※1
おけるナムソン村住民による活動報告と工場見学(7 月)
2012年
ホアビン、フエで環境教育実施、ホアビンで意見交換会実施(2月)
ホアビン、フエで環境教育実施、LIXIL INAX VIETNAM Corporationにおける
フービン村住民による活動報告と工場見学(7月)
2013年
ホアビン、フエで環境教育実施、LIXIL INAX Saigon Manufacturing Co., Ltd.
におけるゴイサオ学校生徒による活動報告と工場見学(3月)
ホアビン、フエで環境教育実施、LIXIL INAX VIETNAM Corporationにおける
ディックザオ村住民による活動報告と工場見学(8月)

※1 現 LIXIL INAX VIETNAM Corporation

※2 現 LIXIL INAX Saigon Manufacturing Co., Ltd.