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LIXIL出版刊「食と建築土木」が「第5回辻静雄食文化賞」を受賞

2014年05月12日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長: 藤森義明)が運営するLIXIL出版が刊行する書籍「食と建築土木 ―たべものをつくる建築土木(しかけ)」(著:後藤治、二村悟、 写真:小野吉彦)が、より良い「食」を目指して活躍し、新しい世界を築き上げた人や作品に贈られる「第5回辻静雄食文化賞」 (主催:辻静雄食文化賞選定委員会、選考委員長:石毛直道)を受賞しました。

「辻静雄食文化賞」は、辻調グループ創設者の辻静雄氏の志を受け継ぎ、 食文化の多様で豊かな発展に寄与することを目的に創設されたものです。

今回は、2013年1月から12月に発表された作品の中から「食と建築土木 ―たべものをつくる建築土木(しかけ)」が「第5回辻静雄食文化賞」を受賞しました。

「食と建築土木 ―たべものをつくる建築土木(しかけ)」は、食べものの生産・ 加工のために用いられてきた農山漁村の23の建築土木を、多くの写真とともに紹介しています。今回の受賞では、 「農山漁村における食べものを作るための仮設の構造物を、建築土木の見地から丹念に調査し、風景とともに写真におさめ、 記録した労作。自然と食の密接な関係、積み重ねられた創意工夫についての新鮮な発見があり、改めて現代の『食』 を考えさせる」との高い評価をいただきました。

【写真(本書籍掲載)】
「柿屋(カキヤ)」:
冷たい木枯らしを受け止める小屋
撮影:小野吉彦

なお、2014年6月3日(火)14時から明治記念館(東京都・港区) で贈賞式が開催される予定です。

LIXILは今後も、住生活をめぐる幅広い情報発信を行っていくことで、 心豊かな未来の暮らしを創造していきます。

<参考資料>

■受賞作品について

「食と建築土木 ―たべものをつくる建築土木(しかけ)」

著者: 後藤治、二村悟                写 真: 小野吉彦
対談: 藤森照信、島村菜津         コラム: 大江正章、松野勉
本体価格: 2,300円(税抜き)        発行日: 2013年11月30日
仕様: 天地 210mm×左右 148mm 並製 208ページ  オールカラー

[内容]

【写真(本書籍掲載)】
ゆで干し大根の大根櫓(ダイコンヤグラ):
大海原へはりだす干し棚
撮影:小野吉彦

食べものの生産・加工のために用いられてきた農山漁村の23の建築土木を、多くの写真とともに紹介します。 たとえば宇治の茶農家が冬期に柿を干すために組み立てる巨大な柿屋、 遠州灘沿いの砂丘地帯に畑地を確保するべく作られる砂防のための仮設物、 長崎県西海町の海岸沿いの崖に連続して突き出す棚状の大根櫓など。これらの不思議な構築物は出自も定かでなく、 永続的なかたちを持たないため、これまであまり注目されることがありませんでした。 しかし一方で人々の暮らしの営みと一体になったこれらの建築土木(しかけ)は、地域の風土や人間の知恵を伝え、 魅力的な固有の風景を形づくり、私たちに今日の建築や食、そして文化のあり方について問いかけてくれます。

[著者略歴]

後藤治(ごとうおさむ)

1960年東京都生まれ。工学院大学建築学部教授。文化庁文化財保護部建造物課文化財調査官であった 経験から歴史的な建築物や町並の保存・活用に力を注ぐ。単著「建築学の基礎6日本建築史」(共立出版)、「四国の住まい」 (LIXIL)、共著「それでも、『木密』に住み続けたい!」(彰国社)、「都市の記憶を失う前に」(白揚社新書)、 「図説日本の近代化遺産」(河出書房新社)、「日本の建築空間」(新建築2005年11月臨時増刊)など。

二村悟(にむらさとる)

1972年静岡県生まれ。工学院大学建築学部客員研究員、ICSカレッジオブアーツ非常勤講師ほか。 単著「静岡茶の発展と建築・文化の近代化」(静岡県立大学)、共著「日本の美術 近代化遺産交通編」(ぎょうせい)、 「図説 台湾都市物語」(河出書房新社)など。

小野吉彦(おのよしひこ)

1967年愛媛県生まれ。写真家。(公社)日本写真家協会会員。文化財建造物撮影を中心に活動。 共著「お屋敷散歩」「図説 日本の近代化遺産」「学び舎拝見」「お屋敷拝見」(河出書房新社)など。

■第5回辻静雄食文化賞概要

[趣旨]

我が国の食文化の幅広い領域の活動に注目し、よりよい「食」を目指して目覚しい活躍をし、 新しい世界を築き上げた作品、もしくは個人・団体の活動を対象に選考し、これに賞を贈るものです。 また特別部門として専門技術者賞を設け、調理や製菓等の現場で活躍する技術者を顕彰します。辻調グループ創設者の辻静雄 (1933〜1993)の食文化普及の活動を記念し、またその志を受け継ぎ、食文化の多様で豊かな発展に寄与することを目的として、 2010年に辻調グループ・創立50周年記念事業として創設され、以後、毎年実施しています。

[対象期間]2013年1月〜12月

[対象分野]食に関わる作品、活動、人物。

[対象領域と表現手段]

1 人文・社会科学 食に関する歴史、文化人類学、社会学、経済学などについて、また食文化、料理についての、研究活動および出版物
2 自然科学 農学、醸造学、食品学、調理科学、生理学などについての研究活動および出版物
3 文芸、エンターテイメント 食に関する放送作品、映画、舞台、ウェブ、写真、小説、漫画など
4 家庭料理 家庭料理分野での活動、教育、家庭向け料理書
5 外食産業、食品産業 チェーン店など多店舗、大規模展開の飲食店。大規模生産の食品製造、流通業
6 食に関わる社会的活動 食に関する教育、地域振興、啓発活動など
7 生産者部門 農業生産物、酒類・調味料などを含む加工食品および調理器具、道具類の作り手
8 専門料理書部門 ジャンルを問わずプロを読者対象とした調理、製菓等の高度な技術書、理論書。 または調理、製菓の専門技術者がその技術を披露している料理書

[選考方法]

全国の報道機関や「食」に関する高い関心と見識をお持ちの方々へ依頼を行い、候補作品・ 人物の推薦をいただきます。また、サイトを通じ、広く一般の皆様からの推薦も募集します。その結果、寄せられた作品・ 人物・活動について、「辻静雄食文化賞選考委員会」で選考のうえ、受賞作・受賞者を決定します。

[選考委員会(敬称略)]

委員長
石毛直道(国立民族学博物館名誉教授)
委員
鹿島茂(明治大学教授)、阿川佐和子(作家)、福田和也(慶應義塾大学教授)、西山嘉樹(文藝春秋)、 辻芳樹(辻調グループ代表 辻調理師専門学校理事長・校長)、八木尚子(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所所長)
[主催]
辻静雄食文化賞選定委員会
[後援]
学校法人辻料理学館 辻調理師専門学校

LIXIL出版について

LIXILは、巡回企画展の展覧会図録「BOOKLET(ブックレット)」発行を機に1986年に出版事業を始めました。 広く建築のテーマを基にして、新しい視点での情報を発信することを目的に、都市、建築、デザイン、 生活文化を捉え直す書籍を発行しています。
年4冊発行している「LIXIL BOOKLET」のほか、若手建築家の建築思想から建築の方途を探る「現代建築家コンセプト・シリーズ」 をはじめ、建築作品集や単行本を企画製作し、全国の書店で販売しています。
また、都市のあり方や現代社会の変容を思考する「10+1 web site(テンプラスワン・ウェブサイト)」など、 WEBでの情報も積極的に配信しています。