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【巡回企画展】
建築の皮膚と体温
〜イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界〜
2014年6月6日(金)〜8月19日(火)
LIXILギャラリー (大阪会場)

2014年05月20日

写真1:小石形のタイルが埋め込まれた壁面/ホテル・パルコ・デイ・プリンチピ(イタリア、ソレント 1960-1962)のレセプション  撮影/梶原敏英

「建築とデザインとその周辺」をめぐり、独自の視点でテーマを発掘するLIXILギャラリー(大阪会場)の企画展では、 2014年6月6日(金)〜8月19日(火)の期間、「建築の皮膚と体温〜イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界〜」 展を開催します。
ジオ・ポンティ(Gio Ponti : 1891-1979)は、ミラノを拠点に幅広い分野で活躍した建築家、デザイナー、画家、編集者で、 「イタリアモダンデザインの父」と呼ばれています。本展では、建築家としてのポンティに焦点をあて、モダニストでありながら、 建築の表面に様々な表情を与えようとしたポンティのこだわりを読み解きます。

展覧会のみどころ

ジオ・ポンティは、イタリアの陶磁器メーカー、リチャード・ジノリのアートディレクター時代に培った素養を活かした陶器、 カトラリーや食器のデザインから、家具や高層ビルの設計まで手がけるなど、多彩なマテリアルと戯れる稀有な存在として、近年、 ヨーロッパを中心に世界各国で再評価が進んでいます。
本展は、ポンティの多岐にわたる活躍の中でも建築家としての作品に注目し、視覚的効果を多用した独特の建築表現を紹介します。
20世紀初頭のモダニズム以降、建築の“表面”には人間的な温かみや楽しさ、手仕事や装飾の魅力が置き去りにされる傾向がありました。 一方、ポンティはモダニストでありながらも、建築の“表面”の表現を模索し、工業製品に手仕事を介在させて、 そこに質感や温もりといった「皮膚感覚」を与えました。特に1950年代以降、ポンティは建築という重さを伴う存在のなかに、 「軽やかさ」と「薄さ」を追求します。その結果行き着いた建築の「皮膚」(表面)へのこだわりを、 彼が好んで用いたマテリアルである陶磁器(タイル)を中心に、建築思考を伝える格言や独自のグラフィックなどから多角的に読み解きます。

なお、本展は、2013年11月2日から2014年3月18日まで、愛知県常滑市で(株)LIXILが運営する、 土とやきものの文化施設「INAXライブミュージアム」にて開催した同展を、映像、ポンティの言葉など展示資料を加え、 空間も新たに展開します。

<主な展示>

● ポンティデザインのタイルを再現

ソレントの海を想起させる、ホテル・パルコ・デイ・プリンチピ(イタリア、ソレント)のブルーのタイルや、オランダ、 アイントホーフェンのデパートのファサードに使われたタイルなど、6シリーズ11デザインのタイルを再現しました。LIXIL (当時のINAX)は2008年、ポンティ設計の「サン・フランチェスコ教会」(1964年、ミラノ)修復に伴い、外壁タイルを1 年の試作期間を経て復原した実績があります。本展開催のきっかけとなる、やきもの技術を駆使した再現タイルの数々をご覧ください。 (写真2)

● ポンティを体感する空間デザイン

本展の会場デザインは常滑に続き、新しい感性で注目を集める若手建築家ユニット、トラフ建築設計事務所が担当しました。 「外壁」「内壁」「床」「窓」の4つのテーマを柱に、彼が残した象徴的な言葉を交え、 回遊しながらポンティの建築表現を読み解きます。「軽さ」や「温もり」を体感する空間が出現します。(写真3)

● ポンティの映像

本邦初公開の映像として、イタリア国営放送のみで放映したジオ・ポンティのインタビュー映像も一部翻訳して紹介。 自らの言葉で建築や人生を語る姿は必見です。さらに、ポンティのアイディアの宝庫、 ヴェネズエラの首都カラカスの丘に立つヴィラ・プランチャートも映像でご覧いただけます。 美しい景観とポンティのグラフィカルな空間が目の前に広がります。さらに、 ポンティデザインのタイルパターンの展開をアニメーションで試みます。 1種類のデザインが組み合わせによって次々と表情が変化する様子は、まさしくポンティマジックと言えるでしょう。

● ポンティの図面・スケッチ

「ジオ・ポンティ アーカイヴス」(ミラノ)の全面的なサポートを得て、貴重な図面や直筆スケッチ類を10点展示します。 ポンティは、建築の皮膚をつくる建材のデザインから人間のもうひとつの皮膚としてのコスチュームデザインまで、 バリエーションに富んだ多数のスケッチを残しています。思考のスピードを感じさせるような線と自由で楽しい色彩を間近に鑑賞していただけます。 (写真4)

展覧会概要

【会  期】
2014年6月6日(金)〜8月19日(火)
【開館時間】
10:00〜17:00
【休 館 日】
水曜日、8月14日〜17日
【会  場】
〒530-0011
大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪南館タワーA 12階
【入 場 料】
無料
【企  画】
INAXライブミュージアム企画委員会、LIXILギャラリー
【制  作】
株式会社LIXIL
【キュレーター】
田代 かおる(デザインジャーナリスト)
【会場デザイン】
トラフ建築設計事務所
【会場グラフィック】
UMA/design farm
【アニメーション・音楽】
kobito inc.・三浦 正幸
【特別協力】
ジオ・ポンティ アーカイヴス
【後  援】
イタリア大使館、イタリア大使館貿易促進部
【協  力】
株式会社カッシーナ・イクスシー、建築資料研究社+アイシオール、永井敬二、ハーマンミラージャパン株式会社、Maharam
LIXILギャラリー巡回企画展はこちら

*南館2階 タワーAオフィス入口より、9階でエレベーター乗り換え、12階へ

■ 関連企画のご案内

講演会「窓と表層の世界―ジオ・ポンティの建築をみる」

講 師:
五十嵐 太郎(東北大学大学院工学研究科教授)
日 時:
2014年7月19日(土)14:00〜15:30
会 場:
LIXILショールーム大阪セミナールーム
(大阪市北区大深町4−20 グランフロント大阪タワーA 11階)

参加無料、要申込、先着順(TEL: 06-6733-1790  e-mail:xbn@lixil.co.jp

■ INAXミュージアムブックのご案内

『建築の皮膚と体温 イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界』
好評発売中!

(64ページ、本体価格1,500円)

■ 巡回展のご案内

東京会場:2014年9月4日(木)〜11月22日(土)開催予定

ジオ・ポンティ (Gio Ponti 1891-1979)

1891年、イタリア ミラノ生まれ。アーティストの素養を活かし、小さなカトラリーや食器、家具のデザインから建築設計まで、 幅広い分野で活躍。教会建築のほか、イタリアではじめての近代高層ビル「ピレッリビル」を設計し、 「イタリアモダンデザインの父」と呼ばれるデザイン界の巨匠。世界的に有名なインテリア雑誌『DOMUS(ドムス)』 を創刊したことでも知られる。

1891  イタリア ミラノに生まれる
1921  ミラノ工科大学建築学科卒業
1923 リチャード・ジノリ製陶会社のアートディレクターを務める
1928 『DOMUS(ドムス)』誌を創刊
1951 椅子「SUPERLEGGERA (スーパーレジェーラ)」発表
1964 サン・フランチェスコ教会(ミラノ)完成
1979 永眠