2014年08月06日
LIXIL:GINZA 2Fで2014年9月に開催される展覧会をご案内します。
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清水敏男監修
「木村恒介展 -
会期:2014年9月4日(木)〜11月24日(月)
会場:LIXILギャラリー
■「ある景色の呼吸」(2012) サイズ可変、ミラー、モーター、美容院(開港都市にいがた水と土の芸術祭2012)
LIXILギャラリーは2014年9月より、新企画「クリエイションの未来展」を開催します。
日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男(アートディレクター)、宮田亮平(金工作家)、伊東豊雄(建築家)、隈研吾(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3ケ月ごとの会期で、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化します。「クリエイションの未来展」の初回となる今回は、アートディレクターの清水敏男監修のもと、現代美術家 木村恒介の作品を展示する「木村恒介展
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「クリエイションの未来展」第1回の監修者、清水敏男について
清水敏男 Toshio Shimizu
TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE代表取締役、学習院女子大学・大学院教授、キュレーター、美術評論家。1953年東京生まれ。ルーヴル美術館大学修士課程修了。東京都庭園美術館、水戸芸術館現代美術センター芸術監督を経て、現在は展覧会やアートイベントの開催、パブリックアートのプロデュースを中心に活動している。最近の主な活動に、「上海万国博覧会日本産業館トステムブース・アートディレクション」、「東京ミッドタウン・アートワーク」、「豊洲フロント・アートワーク」、「名古屋ルーセントタワー・アートワーク」、「いわて県民情報交流センター・アートワーク」、「ミューザ川崎・アートワーク」、「多摩川アートラインプロジェクト」等がある。
「木村恒介展 −
目に見えている現象ははたして真実なのか、ふと疑う時がある。視覚にはさまざまな制限があり、おそらく見ているものやことは主観と真実の混合物なのだ。たとえば鏡は真実を映すと考えられているが、これほど不確かなものはない。そこに映っているのはやはり不確かな現象にすぎないのだ。木村恒介はそうした不確定性を明示する。鏡はすでに普通の鏡ではない。鏡は呼吸し、不確かなエーテル(光素)を送り続ける。真実があるのだとすれば、オルフェのようにその現象の奥にわけいり、自分でそれを見つけなくてはならない。真実はたやすく入手できるものではないのだ。カメラもまた真実を映すことはない。木村恒介のカメラは風景を映すが、その姿は、鏡の場合とおなじように、現象がいかに不確かであるかをさらけだす。風景は幾条かの光素のすじとなり、そのすじたちはしかしよく見れば光の粒子の集合でしかない。真実をつかみたければ、エーテル(光素)が呼吸するその寸隙をついて「向こう側」へ行き、真理の扉を叩くほかないのだ。
(清水敏男)
*19世紀まで光はエーテルという宇宙に満ちた媒質が伝えると考えられていた。
*「エーテル(光素)の呼吸」は宮沢賢治の詩「春と修羅」による。「…れいろうの天の海には聖玻璃の風が行き交ひZYPRESSEN春のいちれつくろぐろと光素(エーテル)を吸ひ…」
「linenes scape」#-006「sunrise」(2013) W700×H250mm、インクジェットプリント
│開催概要│
清水敏男監修 「木村恒介展 −
│関連企画│
「トークショー 土屋公雄+清水敏男+木村恒介 」
土屋公雄 Tsuchiya Kimio
彫刻家。 愛知県立芸術大学教授 武蔵野美術大学建築学科、日本大学 芸術学部客員教授。1955年生まれ。朝倉文夫賞、本郷新賞など多数受賞。2009年「土屋公雄APT(アートプロジェクトチーム)」を設立。
│展覧会の見どころ│
巨大なミラーを使ったインスタレーション作品1点を含む新作4点を展示
本展では、2011年「みえない景色」(東京ミッドタウン特別賞受賞)や、2012年「ある景色の呼吸」に続く、モーターを仕込ませた巨大なミラーを使った新作1点のほか、写真作品「linenes scape」シリーズの新作3点を展示します。 モーターを仕込ませた巨大なミラーは、絶えず歪んだりひずんだりしながら様々な風景を見る者に提示します。作品を前に、鑑賞者は歪んで動き続ける自分自身や風景といった非日常の光景を目の当たりにすることで、日常風景に新たな解釈を発見します。写真作品「linenes scape」シリーズの新作もまた風景をテーマとしており、ギャラリー周辺の銀座や京橋の街を抽象化して表現します。
鑑賞者によって新たに生まれる風景の解釈
木村恒介は大学で建築を学びました。建物や敷地は周辺の風景から切り離して眺めたり考えたりすることができないことから、風景の存在を強く意識するようになりました。大学院では美術科に進み、「風景とはなにか」ということをテーマに美術作品を制作しています。木村は自身の作品はひとつの風景への解釈に過ぎず、鑑賞者によってさらに新たな風景の解釈が生まれると考えています。
│展示作品コンセプト│
作品1
題名:Untitled 制作年:2014 ミラー、モーター
鏡は、人が自分自身を確認するための道具である。そのような道具は、あまり類をみない。ありのままの姿を写す事から、真実を写し出す神聖なものとして宗教や神話、童話にも登場する。自分の姿を写し出す行為、そしてその姿を確認する行為は、鏡への問いかけである。「今の自分はどうであるか?」本来、この問いかけは私たちが行う事である。しかし私の作品は、鏡そのものがゆらぐことで向こう側(虚像)からこちら側(実像)へとアプローチしてくる。日常とは逆の現象。そうした非日常的な現象は、私たちが普段行っている確認行為そのものを再考させる。
(木村恒介)
作品2
題名:Untitled 制作年:2014 C Print
風景の中にある雰囲気や空気感。それは目に見えないが、確かに在る「何か」である。私はこの作品でそういった「何か」を表現したいと思っている。これらの写真は実際の景色を撮影したものである。しかしありのままの景色ではなく、その中にある「要素」を写しとったものである。そうして抽象化された景色は、人に様々なイメージを与える。暖かい、冷たい、懐かしい、美しいなど…。そうした人々の記憶の中にある「イメージ」と、作品が写し出している景色の「要素」がリンクをするとき、人はそれに「何か」を感じる。雰囲気や空気感というものはそうして生み出されるものだと私は思う。
(木村恒介)
│作者略歴│
木村 恒介 Kimura Kosuke
展覧会・作品
受賞