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巡回企画展のご案内|大阪会場|

2014年08月12日

写真1:聖書「ハガルの追放」の場面を描いたマンガン彩組絵タイル、オランダ、19世紀
世界のタイル博物館収蔵

タイルが伝える物語
〜図像の謎解き〜

Stories Told by Tiles - Understanding Icons

会期:2014年9月4日(木)〜11月18日(火)
会場:LIXILギャラリー (大阪会場)

「建築とデザインとその周辺」をめぐり、独自の視点でテーマを発掘するLIXILギャラリー(大阪会場)では、2014年9月4日(木)〜11月18日(火)の期間、INAXライブミュージアムとの共同企画による展覧会「タイルが伝える物語〜図像の謎解き〜」を開催します。
室内外を華やかに飾るタイルは、耐久性があり、量産も可能なため、古くより世界でさまざまな文様が生み出され、かつ身近な建材として発展しました。本展では、タイルの装飾性だけでなく大衆へのメッセージを含んだ「メディア」としての機能に着目し、描かれた文様の意味や物語を読み解きます。

│開催概要│

「タイルが伝える物語〜図像の謎解き〜」
Stories Told by Tiles - Understanding Icons

会 期
2014年9月4日(木)〜11月18日(火)
開館時間
10:00AM〜5:00PM
休館日
水曜日
会 場
LIXILギャラリー
入場料
無料
企 画
INAXライブミュージアム企画委員会、LIXILギャラリー
制 作
株式会社LIXIL
展示デザイン
株式会社ゼロファーストデザイン

http://www1.lixil.co.jp/gallery/

│展覧会の見どころ│

土を焼いて作られるタイルは人類の文明とともに発祥し、古来、様々な国と地域で建築を豊かに彩ってきました。古くは古代メソポタミアの神殿の壁を円錐形のやきもので装飾し、エジプトのピラミッドでは、ファラオの魂に捧げる空間の壁一面を、トルコ石の色をした美しいタイルで覆い、飾りました。 時代が進むと、かつて神聖な建築や空間を飾ったタイルは次第に人々の暮らしのなかで使われるようになり、壁や床を装飾するだけでなく、視覚的イメージを共有するためのメディアとしての機能を持ち始めます。いち早くタイルの普及をみた17〜18世紀のオランダでは、聖書の一場面を描いたタイルを壁や暖炉に張り、それを子どもに見せながら、家庭で宗教教育を施しました。中国やイスラーム諸国では、教訓や理想を描いたタイルが数多く作られ、19世紀のイギリスでは、豊かな暮らしを謳歌する人々が、当時獲得した新しい文化を思いおもいに発信するためのメディアとなるなど、人々の身近にあるタイルがメッセージや物語を伝える役割を担うようになったのです。 本展では、INAXライブミュージアム「世界のタイル博物館」に収蔵する、紀元前から近代までの装飾タイルコレクションをひも解き、これまでにない「物語や教訓、信仰、文化を発信するメディア」という観点から選び出したタイル約70点を、描かれた物語やメッセージとともに紹介します。それらのタイルを通じ、国や地域によって異なる様々な生活文化をも読み取ることができます。美しさや装飾性にとどまらない、タイルの奥深い魅力に触れる本展に、どうぞご期待ください。

写真2

写真3

写真4

写真5

●主な展示

<西洋のタイルから>

西洋では、聖書を題材にしたタイルが多く作られました。その中でも「ハガルの追放」を題材にしたものでは、19世紀オランダのマンガン彩組絵タイル(表紙・写真1)とドイツのKPM(王立磁器製作所)ベルリン窯で作られた陶板を同時にご覧いただけます。オランダらしい柔らかな図案と極彩色の高度な技術で制作されたKPMの陶板をご鑑賞いただけます。また同じく聖書からは、「創世記」や「ヨハネによる福音書」などのお馴染みの物語を主題に作られたオランダのデルフトタイル(写真2)も紹介します。

一方、近代イギリスでは、私的な社交場の役割を担った家庭の暖炉まわりにタイルが多く用いられました。「イソップ物語」(写真3)やシェイクスピアの戯曲といった物語、旅行ブームを反映した観光地の風景など、家庭で行われていた宗教教育や当時の生活文化が垣間見られるタイル31点を展示します。

<中国のタイルから>

古くからやきものが発達していた中国では、独自のタイルが多く残されています。中でも、れんがのことを塼(せん)と呼び、建物の基壇、階段、床面、壁面のほか、墓室にも使用され、孝行の模範となる人物たちの逸話などをレリーフや絵画にして飾られました。
今回は、24人の孝行息子の説話集「二十四孝」(写真4)を刻んだ貴重な画像塼(がぞうせん)が8点登場、宋代の儒教思想を反映した世界観が広がります。
そのほか、桃源郷を主題とした染付陶板や、イギリス人陶芸家 バーナード・リーチ(1887-1979)による、漢代の画像石をモチーフにした陶板などを含めた23点を展示します。

<イスラームのタイルから>

イスラーム教の戒律がゆるやかになると、人物を描いたタイルが登場し、宮殿などの私的空間の壁を飾りました。
詩人ニザーミーが詠んだ長編ロマンス叙事詩「ホスローとシーリーン」や、美男の預言者ユースフとエジプト高官の妻ズライハの恋を描いた「ユースフとズライハ」(写真5)など15点を紹介します。鮮やかな色彩で物語や人物を描いたタイルは見ごたえも十分あり、人物の表情や華やかな衣装、背景の模様などから、イスラームの生活文化を伺うことができます。

【写真キャプション・クレジット】
写真2:19世紀オランダ、藍彩聖書画面タイル
写真3:19世紀イギリス、イソップ物語
写真4:10〜13世紀中国、画像塼「二十四孝」
写真5:19世紀イラン、多彩群像文レリーフタイル
     「ユースフとズライハ」
         すべて世界のタイル博物館収蔵

│関連企画のご案内│

〔対談〕 中国タイルと物語―悠久の歴史を読み解く

日 時
2014年10月18日(土)14:00〜15:30
講 師
杉原 たく哉(早稲田大学講師)
竹多 格(INAXライブミュージアム主任学芸員)
会 場
LIXILショールーム大阪 セミナールーム
大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪南館タワーA 11階
費 用
無料 *要予約、定員70名
予約方法
電話もしくはホームページから

杉原氏は、中国古代美術史を中心にアジアのさまざまな図像を比較芸術の視点から幅広く研究されています。今回展示する24人の孝行息子の説話集「二十四孝」を主題にしたタイルのほか、収蔵品やそれ以外の作品も紹介いただきながら、図像の意味や教えを読み解いていただきます。西洋とは異なる中国の社会的、文化的背景もそこから感じ取ることができるでしょう。
さらに、中国タイルの独自性や歴史、用途についても解説を加えながら、タイルに描かれた世界と魅力を存分に紹介します。

│INAXミュージアムブックのご案内│

『タイルが伝える物語 図像の謎解き』

好評発売中(オールカラー22ページ/ポストカード2枚つき、本体価格760円+税)

│巡回展のご案内│

東京会場:2014年12月4日(木)〜2015年2月21日(土)開催予定