2014年10月31日
「宮田亮平展 -海へ-」
会期:2014年12月4日(木)〜2015年2月21日(土)
会場:LIXILギャラリー
■作品名「跳」(2013)
W268×D88×H194cm アルミニウム、金箔、銀箔
JAFRA「エキからエコ。」キャンペーン
LIXILギャラリーは2014年9月より、新企画「クリエイションの未来展」を開催しています。「クリエイションの未来展」では、日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男(アートディレクター)、宮田亮平(金工作家)、伊東豊雄(建築家)、隈研吾(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3ケ月ごとの会期で、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化します。
「クリエイションの未来展」の第2回となる今回は、日本の金属工芸技術を現代に生かした金工作家 宮田亮平による「宮田亮平展 −海へ−」を開催します。本展では、50年にわたる宮田亮平のライフワークとも言えるイルカをモチーフにした金属造形の「シュプリンゲン※」シリーズから、初めてイルカと一緒に泳いだ感動を表現した幅2.7mの大型作品「跳」(2013)と、台風で押し寄せた高波のイメージから生まれた「翔」(2011)を展示します。
※ドイツ語で「飛翔」の意。
│開催概要│
「宮田亮平展 −海へ−」
│関連企画│
「トークショー1 唐澤昌宏(東京国立近代美術館工芸課長)+宮田亮平」
「トークショー2 秋元雄史(金沢21世紀美術館館長)+宮田亮平」
│展覧会の見どころ│
イルカと泳いだ感動を金属彫刻で表現した、幅2.7mの大型作品「跳」(2013)
本展では50年に渡る宮田亮平の創作の中でもライフワークとも言えるイルカをモチーフにした金属造形の「シュプリンゲン※」シリーズから、初めて水中でイルカと一緒に泳いだ感動を表現した幅2.7mの大型作品「跳」(2013)と、台風で佐渡に押し寄せた高波のイメージから生まれた「翔」(2011)を展示します。
トレードマークの躍動感あふれるイルカや波のモチーフは、宮田が18歳で佐渡から東京へ渡る際に、日本海で出会ったイルカの生命力に満ちた姿が原点となっています。宮田の作品は、東京駅の銀の鈴(2007)、日本橋三越本店新館のエンブレム(2004)、JAFRA(日本鉄道広告協会)「エキからエコ。」のポスター(2013)をはじめとするモニュメントやパブリックアートなど、公共空間に多く設置されています。そこには若き日の宮田が励まされたように、作品によって多くの人々にエールを送りたいという思いがあります。
日本伝統の金属工芸の技と現代の新しい技術の調和
宮田は千年以上続く新潟県佐渡島伝承の「蝋型鋳金」工芸作家の家に生まれました。日本海の厳しくも豊かな自然や金、銀、銅に恵まれ、順徳上皇や日蓮、世阿弥が過ごした土地はまた、金属工芸から陶芸、能と雅やかな文化が息づく土地です。そうした背景の中、父親の手元を飽かず眺めて成長した宮田は、東京藝術大学に進学します。
現在は東京藝術大学学長を勤め、父祖伝来の伝統技術に加えて、自ら学んだ「鍛金技術」を後進に伝えています。歴史的技術の中にレーザーカットやチタン素材を用いるなど常に挑戦を続けている姿勢は、伝統と現代の調和を体現し、その先の未来を見つめています。
│展示作品コンセプト│
作品1
題名:「跳」 制作:2013年 サイズ:W268×D88×H194cm
素材:アルミニウム、金箔、銀箔(作品のイメージは表紙をご参照ください)
「跳」は、2012年にカリブ海のバハマ諸島の海に潜って、生まれて初めてイルカたちと一緒に泳いだ体験から生まれた。水中で目にするイルカたちの動きは、海面を泳ぐイルカの躍動感とはまったく違って、とんでもなくきれいだった。恐れを超えて自分が彼らと同じくらい水に親しんだとき、初めて彼らは仲間だと思って一緒に泳いでくれる。そのときの感動が、この作品の核にある。
(宮田亮平)
作品2
題名:「翔」 制作:2011年 サイズ:W75×D22×H73cm
素材:ステンレス、チタン、真鍮、金箔、銀箔(作品のイメージは2頁目をご参照ください)
「シュプリンゲン『翔』」の主役は、イルカ以上に波のすごさかもしれない。
子どものころ、佐渡に台風が来たときは海辺にあったわが家に波が押し寄せてきて、もうひとつ大きな波が来たらわが家はさらわれるんじゃないかと身がすくんだ。いつもはあんなに静かで豊かな恵みを与えてくれる海が、時としてこんなに牙をむくものなのか。あの高波は今もはっきりと覚えている。
この作品は波の図面をコンピュータで描き、レーザーカットで造形した。素材はステンレスとチタン。チタンは電圧のかけ方でいろいろな発色をする。新しい技法と素材の面白さを生かしてみた。
日本の技法すなわち手仕事というわけではない。伝統にこだわりすぎると、結局カビの生えた文化財になりかねない。もちろん手仕事でなければできない仕事もあるけれど、コンピュータを使った仕事が新たな世界を切り拓き、逆に古いものをよみがえらせることがあるかもしれない。
過去と現代。ふたつを併せ持つものが、つまるところ「今」という時代を指し示すものになると思う。
(宮田亮平)
「クリエイションの未来展」第2回
宮田 亮平 (Ryohei Miyata) 略歴
現在
東京藝術大学 学長
文部科学省「文化審議会」 委員(会長)
日本放送協会「経営委員会」 委員
日展 理事
現代工芸美術家協会 常務理事
日本相撲協会「横綱審議委員会」 委員
文化財保護・芸術研究助成財団 理事長 他
受賞歴