2017年05月01日
株式会社川島織物セルコン(本社:京都市 社長:山口進)は、日本古来の格調高い舞曲「舞楽」をテーマに、特別展示『BUGAKU‐舞のひとこま』展を2017年5月8日(月)から2018年4月27日(金)までの期間、当社が運営する織物文化館(京都市左京区)で開催します。
綴織壁掛 原画「還城楽」
日本古来より伝承されてきた雅楽。宮内庁楽部などにより現在まで継承され、宮中行事や神社仏閣の祭祀などで奏でられています。なかでも、舞を伴う「舞楽」は、その格調高く優美なさまがおめでたい文様にふさわしいと、多くの織物図案に採用してきました。
そのきっかけを作った中心的人物が、画家であり当社のテキスタイルデザイナーでもあった澤部清五郎(1884-1964)です。澤部清五郎は、画家としての十分な才能と実力を持ちながらも、14歳で出会った二代川島甚兵衞からの影響を受け続け、後年は室内装飾織物のデザインに本格的に取り組みました。優れた美意識と豊富な知識、抜きんでた表現力を備えた澤部は、織物の意匠、インテリアのデザインを良く理解し、当社で多くの室内装飾織物や美術工芸織物の図案を描き、川島織物(当時)の一時代を築きあげました。
今回の展示では、舞楽の魅力を見事に織物に昇華させたデッサンや原画など、澤部清五郎の関連資料を中心に紹介します。なかでも蛇を捕獲し喜ぶ様を舞にした“還城楽(げんじょうらく)”を描いた綴織「還城楽」の原寸大原画は、絶妙の構図に加え縦177cm 横444cmという圧巻の舞姿で、織物ファンはもちろん、日本画ファンも必見です。また、舞楽“蘭陵王童舞”を綴織で織りあげたおよそ100年前の作品「凱旋舞楽(がいせんぶがく)」など貴重な織物も数点展示します。
優雅で華麗な舞と織物の魅力を、ぜひご覧ください。
<参考資料>
川島織物セルコン織物文化館 特別展示
『BUGAKU ―舞のひとこま―』展
・ 綴織壁掛 試織 「舞楽蘭陵王童舞」1939年 ※10月中旬より展示予定
・ 綴織壁掛 織下絵 「舞楽蘭陵王童舞」1939年 ※10月中旬より展示予定
・ 綴織壁掛 「凱旋舞楽」 1921年 ※通期展示
綴織壁掛 試織「舞楽蘭陵王童舞」(部分)
綴織壁掛 織下絵「舞楽蘭陵王童舞」(部分)
綴織壁掛 「凱旋舞楽」(部分)
※会期中一部作品の展示替えを行います。(展示内容については事前にお問い合わせ下さい)
京都・西陣で生まれる。1896(明治29)年より四条派の鈴木瑞彦に日本画を師事。1899(明治32)年、二代川島甚兵衞の委嘱で国宝「平家納経」の模写本を再模写、以来、川島織物の仕事に携わる。瑞彦の没後1901(明治34)年より守住勇魚(1854-1927)に洋画を学び、1904(明治37)年 聖護院洋画研究所入門、浅井忠の門下となる。
1907(明治40)年 第一回文部省美術展覧会(文展)入選。1910(明治43)年 高峰譲吉邸室内装飾に従事のため渡米、1912(明治45)年 洋画研究のため渡仏、翌年帰国、関西美術院教授に就任。三代川島甚兵衞の委託により川島織物で室内装飾の指導にあたる。1921(大正10)年 川島織物の嘱託社員となり、織物デザイナーとして本格的な活動を開始、以降、多くの名作を残す。1964(昭和39)年80歳で死去。
1992(平成4)年 目黒区美術館で「澤部清五郎展−絵筆のゆくえ、インテリアへの道−」展開催。
1889(明治22)年に二代川島甚兵衞が京都・三条高倉に建てた三階建ての洋館「織物参考館」に始まる国内最古の企業博物館。初代・二代川島甚兵衞がモノづくりの研究のため世界中から収集した染織品、古書類、製作してきた原画類・試織など、織物に関する貴重な資料を保管しています。
館内では、これらの史資料や当社が手がけてきたプロジェクトにまつわる資料やエピソードを紹介し、織物の魅力や当社のこだわりのモノづくりを紹介しています。
ホームページ:
http://www.kawashimaselkon.co.jp/bunkakan/
アクセス:
●地下鉄「国際会館」駅より
・ 京都バス(50/52系統)「小町寺」下車 徒歩約5分
・ タクシー 約10分
●叡山電車 鞍馬線「市原」駅下車 徒歩約7分
●京都駅より タクシーで約40分