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2018・9 展覧会のご案内

2018年09月06日

「クリエイションの未来展」 第17回

清水敏男監修
第一期 Adrian Cheng × 内田繁 「Wander From Within」

会期:2018年9月29日(土)〜10月28日(日)

第二期 枯山水サラウンディング 「I'mpermanent」

会期:2018年11月1日(木)〜12月25日(火)

会場:LIXILギャラリー

第一期
 Adrian Cheng × 内田繁
 「Wander From Within」
第二期
 枯山水サラウンディング
 「I'mpermanent」

LIXILギャラリー「クリエイションの未来展」について

LIXILギャラリー企画「クリエイションの未来展」では、2014年9月より日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男氏(アートディレクター)、宮田亮平氏(金工作家)、伊東豊雄氏(建築家)、隈研吾氏(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3ケ月ごとの会期で独自のテーマで現在進行形の考えを具現化した展覧会を開催しています。

「クリエイションの未来展」の第17回目となる今回は、アートディレクターの清水敏男監修のもと二つの展覧会を開催します。この度のテーマはクリエイションの未来へ向けての継承とフィールドの拡大です。第一期 Adrian Cheng×内田繁「Wander From Within」(2018年9月29日〜10月28日)は、日本を代表するインテリアデザイナー内田繁のクリエイティブな才能が未来を作る世代に引き継がれていくプロジェクトを紹介します。第二期 枯山水サラウンディング「I'mpermanent」(2018年11月1日〜12月25日)では既存のクリエイションの枠を打ち破る「音」の表現を探求します。

│第一期 展覧会のみどころ│Adrian Cheng × 内田繁 「Wander From Within」

第一期は、2016年惜しまれつつ世を去った日本を代表するインテリアデザイナー内田繁が最後に手がけたプロジェクト「Wander From Within」を日本で初めて公開するものです。このプロジェクトは香港の企業家でK11芸術財団創設者のAdrian Chengが内田繁の作品に共鳴し、家具の共同開発を約束したことで始まりました。その過程で内田繁は亡くなりましたがその遺志をついだ内田繁デザインの家具が実現し、2017年4月ミラノサローネで初めて公開され、ついで同年9月には韓国で発表、このたびようやく故国の土を踏むこととなりました。
「Wander From Within」は、内田繁がめざしてきた軽さ、薄さ、透ける、重なりなどの東洋的な境界の考え方をもとにデザインされた家具です。またAdrian Chengが唱える人間本来の手仕事の重要性 (Artisanal Movement) によって「量産しない」「ヒトの技がつくる」「長く大切に使われる」「自然素材でつくる」「エネルギーを浪費しない」など未来の美しい生活環境を考える思考が込められています。

KHORA - A philosophical space between being and non-being, physical and non-physical.
Designed in 2017

│作品について│

本展ではAdrian Cheng と内田繁のコラボレーションから生まれた椅子3点(木にインスパイアされた椅子「AU1」、山にインスパイアされた椅子「AU2」、水にインスパイアされた椅子「AU3」)、そして照明「AU4」とテーブル「AU5」を展示します。
またこのプロジェクトのきっかけとなった内田繁の茶室「行庵」も展示されます。
「行庵」は1993年に制作された折りたたみ式の茶室「受庵」「想庵」「行庵」の一つです。
なお「Wander From Within」の美しいプロモーション映像も展示します。

│プロフィール│

内田繁 Shigeru UCHIDA (1943−2016)

日本を代表するデザイナーとして商・住空間のデザインにとどまらず、家具、工業デザインから地域開発に至る幅広い活動を国内外で展開。毎日デザイン賞、芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章、旭日小綬章など受賞歴多数。代表作に、山本耀司のブティック、神戸ファッション美術館、茶室「受庵・想庵・行庵」、クレストタワー一連の内部空間、門司港ホテル、オリエンタルホテル広島、ザ・ゲートホテル雷門 他。メトロポリタン美術館、サンフランシスコ近代美術館、モントリオール美術館、デンヴァー美術館等に永久コレクション多数。

エイドリアン・チャン Adrian CHENG (1979− )

香港・ヨーロッパを拠点とする起業家、デザイナー。ハーバード大学を優秀な成績で卒業後、スタンフォード日本センター(京都)で日本の文化とデザインについて造詣を深める。
2008年、ショッピングモール、オフィス、サービスアパートメントなどを備えて急速に発展する中華圏において、アートとビジネスを結びつけるためのグローバルカルチャーブランドK11 グループを設立。引き続きK11芸術財団を設立、中華圏の新進芸術家やキューレーターを支援、彼らの育成に尽力している。2017年、フランス政府より芸術文化勲章「オフィシェ」を授与される。現在、MOMA PS1の理事並びに英国王立芸術学院 (RAA) の評議員を務めている。

│第一期 開催概要│Adrian Cheng × 内田繁 「Wander From Within」

会 期
2018年9月29日(土)〜10月28日(日)
開館時間
10:00〜18:00
休館日
水曜日
企画制作
株式会社LIXIL
会場
LIXILギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビルLIXIL:GINZA 2F
http://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g2-1809/
入場料
無料
協力
株式会社内田デザイン研究所、香港K11芸術財団

│関連企画│

トークイベント

新見隆 (大分県立美術館館長・武蔵野美術大学教授) ×

小泉誠 (家具デザイナー・武蔵野美術大学教授)

開催日時
2018年10月23日(火) 18:30〜20:00
会場
AGC Studio ( 東京都中央区京橋2-5-18京橋創生館2階 )
参 加
無料
定 員
100名 ※要予約(お電話もしくはHPから)
会場協力
AGC株式会社

│第二期 展覧会のみどころ│枯山水サラウンディング 「I'mpermanent」

第二期では「音」の表現を取り上げます。「音楽」または「音」は現代の芸術表現の重要な要素でありながら視覚芸術である「美術」と超えがたい一線があります。
1950年代に瀧口修造を中心に音楽家と視覚芸術作家が集まった「実験工房」では音楽と美術のコラボレーションがありました。しかし「音」そのものが視覚にたよらない芸術表現として成り立つ可能性を追求しているのが「枯山水サラウンディング」です。
本展覧会では「枯山水サラウンディング」の新作 “ I'mpermanent ” を展示します。

│作品について│

枯山水サラウンディングの結成当初から変わらない理念は、禅の作庭術である枯山水の技法である、砂、石、岩といった簡素な素材を用いながら、そこに庭園に欠かせない水の流れ等を想起させ、さらにはそこから、砂を大洋や潮流、岩を島や山に見立てる技法に倣って、音によってそこに実在しない世界を表現することであった。
カクテルパーティー効果(*)でもわかるように、人が受け取る情報の大部分は視覚情報である。ゆえに、一部の例をのぞいて枯山水サラウンディングは、可能な限り視覚情報を排除することによって、作曲家、そして音楽学者でもあるマリー・シェーファーの提唱したサウンドスケープの思想を、現代のテクノロジーによって、恣意的に現前させる手法に拘っていた。
しかし、今回はさらなる試みとして、あえて、日本の庭園様式である坪庭に見立てた作庭を試みることにした。しかし、それはあくまで、サウンドスケープを強調するために創意されたものである。前述したカクテルパーティー効果等によって遮断されてしまいがちなサウンドスケープをあえて強化し、さらには昇華させるという試みである。
作品名の “ I'mpermanent ”は造語である。それは本来の “ impermanent(無常) ”と“ I am permanent(私は恒久的な存在である)” という、二つの対極的でありながら微妙なズレを孕むことによってクラインの壺のように錯覚を誘引しながらも安定性を保つ。そして、この “ I (私) ” という一人称が何を示すのかは鑑賞者に委ねられている。

*カクテルパーティーのように、たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、人間は音を処理して必要な音だけを再構築していると考えられる。

(枯山水サラウンディング)

「枯山水サラウンディング」は、クリイエイティブデイレクターの内田学を中心に音楽家/エンジニア/プログラマー/デザイナーなど様々なフィールドのアーティストが集まり結成した「人」と「音」の関係を新たな視点で提案するプロジェクトです。
音の扱いを作庭術「枯山水」になぞらえ、先端のマルチメディア技術と独自開発した音響処理技術を応用し、公共空間に「音の人工庭園」を現出させます。2007年の結成以来、数多くのアートプロジェクトへの参加、公共空間への作品設置、企業イベントや自主企画イベントなど、音にまつわる様々な活動を展開しています。

│第二期 開催概要│ 枯山水サラウンディング 「I'mpermanent」

会 期
2018年11月1日(木)〜12月25日(火)
開館時間
10:00〜18:00
休館日
水曜日、11月25日(日)
企画制作
株式会社LIXIL
会場
LIXILギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビルLIXIL:GINZA 2F
http://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g2-1809/
入場料
無料

※関連イベントを開催する予定です。決まり次第、HPにてお知らせいたします。

│主な活動│枯山水サラウンディング / kare san sui surrounding

2007
多摩川アートラインプロジェクトアートラインウィーク2007 @多摩川駅構内
2008
多摩川アートラインプロジェクトアートラインウィーク2008 @大田区庁舎内
ファッションブランド “KENZO” Press Party @関西日仏交流会館 ヴィラ九条山
DESIGNTIDE TOKYO 2008 ケンウッドデザインブース @GYRE
港区立エコプラザ常設作品(08〜13年まで設置) @港区立エコプラザ
2009
No Man's Land展 @旧フランス大使館
2010
松戸アートラインプロジェクト2010 @松戸神社
2014
NIKKEIアートプロジェクト「Time to Time, Place to Place」
@日本経済新聞社 東京本社ビル スペースNIO
The Mirror展 @銀座 名古屋商工会館
2017
フランス人間国宝展 サウンドデザイン @東京国立博物館 表_慶館
2018
エルメス展覧会「彼女と」サウンドデザイン@国立新美術館

その他、継続的に開催しているイベントとして、日本の伝統である「虫の音」に着目した「蟲聴きの会」や311以降のありかたを考えるトークイベント「Room311」などがある。

メンバー

Creative Director
内田 学 / Gaku Uchida
Project Manager
小島 貴志 / Takashi Kojima
Sound Designer
齊藤 梅生 / Umeo Saito
Programmer
藤井 海太 / Kaita Fujii
Garden Plannner
塚田 有一 (有)温室代表 / Yuichi Tsukada
Artisan
板垣 洋 / Hiroshi Itagaki

│「クリエイションの未来展」第17回の監修者について│

photo:
Herbie Yamaguchi

清水敏男 Toshio SHIMIZU

TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE代表取締役、学習院女子大学・大学院教授、キュレーター、美術評論家。
1953年東京生まれ。ルーヴル美術館大学修士課程修了。東京都庭園美術館、水戸芸術館現代美術センター芸術監督を経て、現在は展覧会やアートイベントの開催、パブリックアートのプロデュースを中心に活動している。主な活動に、「上海万国博覧会日本産業館トステムブース・アートディレクション」「東京ミッドタウン・アートワーク」「豊洲フロント・アートワーク」「名古屋ルーセントタワー・アートワーク」「いわて県民情報交流センター・アートワーク」「ミューザ川崎・アートワーク」「オノ・ヨーコ BELL OF PEACE 平和の鐘(学習院女子大学)」「THE MIRROR」「大手町フィナンシャルシティ」がある。