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国際的政策フォーラム「第5回 アフリカ開発会議(TICAD V)」に出展し、
公式イベント「アフリカン・フェア2013」にコンセプトモデルを展示します。

2013年05月09日

住まいと暮らしの総合住生活企業である株式会社LIXIL(本社:東京都千代田区、社長:藤森義明)は、6月1日(土)〜6月3日(月)まで横浜で開催される「第5回 アフリカ開発会議(以下、TICAD V(ティカッド ファイブ))」に出展します。

アフリカ開発会議(TICAD)とは、日本政府が国連、国連開発計画、世界銀行、アフリカ連合委員会と共催するアフリカの開発をテーマとする国際的な政策フォーラムです。トイレをはじめとする水まわり設備事業を行い、貴重な地球の水資源や衛生的な住生活のあり方について研究開発に取り組んできたLIXILは、TICADの趣旨に賛同し、アフリカ諸国の住生活環境の改善を視野に、企業認知と技術力の訴求を目的として、今回このTICAD Vに出展します。

主会場となる会議センターでは、水も電気も使わず、し尿や生ごみを処理し、雨水の簡易浄化システムなどを備えた「インフラフリー・ユニット」をパネルとビデオで説明展示し、あわせて経済産業省と日本貿易振興機構(ジェトロ)が主催する公式イベント「アフリカン・フェア2013」(5月30日(木)〜6月2日(日))のケニア共和国(以下、ケニア)ブースに、実物大のコンセプトモデルを展示します。

アフリカン・フェア2013展示ブースイメージ
(パシフィコ横浜展示ホールB:ケニアブース内)

この「インフラフリー・ユニット」は、
① し尿を処理する「グリーントイレ」
②「雨水タンク+簡易浄化システム」
③ 食品などの「生ごみ処理装置」
④ 廃バッテリー再生利用「蓄電システム」を
1つのパッケージにユニット化したものです。

貴重な水資源を使わず、し尿を衛生的に処理することにより、清潔で快適な生活環境を提供できるばかりでなく、し尿や生ごみを肥料として再利用できます。雨水などを簡易浄化し、電力も再生バッテリーでまかなうため、上下水道や浄水処理設備、発電施設や送電線などのインフラ整備も不要です。

さらにユニット化することで、さまざまなプランの住宅への設置が可能となり、ケニア都市郊外で増え続けている住宅に、清潔で快適な住生活環境を提供することができます。

LIXILは企業理念に「世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します」と掲げています。住宅環境改善に寄与する資源循環型の「インフラフリー・ユニット」を提案することで、人口が急増し急速な発展が見込まれるケニアをはじめアフリカの発展を応援していきます。

ユニットのイメージ図

■ 資源循環型の「インフラフリー・ユニット」の概要

①し尿を処理する「グリーントイレ」

水を使わず、し尿を液体と固体に分けて衛生的に処理することで、汚染の拡散を防ぎ、資源循環も可能にします。LIXILでは以前から「グリーントイレ」の研究に取り組み、ベトナムや日本の上勝町で実証試験を積み重ねてきました。

②「雨水タンク+簡易浄化システム」

サバンナ気候のアフリカでは水は貴重な資源です。雨水などを貯水・ろ過し、生活用水として利用します。

③食品などの「生ごみ処理装置」  コンポストとして堆肥化します。

④廃バッテリー再生利用「蓄電システム」

使用済みのバッテリーを現地の状況にあわせてメンテナンスし、再生利用します。住宅の規模やグレードによって太陽電池の併設も可能です。

LIXILは、ケニアと日本をつなぐ『虹プロジェクト』の日本活動拠点として2011年1月に設立した社団法人OSAジャパン(http://osa-rainbow.com/)の協力を得て「インフラフリー・ユニット」を開発しています。

■「第5回 アフリカ開発会議(TICAD V)」とは  http://www.ticad.net/ja/index.html

TICADとは、Tokyo International Conference on African Development (アフリカ開発会議) の略称です。アフリカ諸国首脳と開発パートナーとの間のハイレベルな政策対話を促進するために1993年に始まり、2つの基本原則であるアフリカの「オーナーシップ (自助努力) 」と国際社会の「パートナーシップ (協調) 」に基づいて、アフリカ54カ国の開発推進に向けたイニシアチブの実施を促進する国際的枠組みです。この枠組みは、アジアとアフリカの間の協力を最大の特徴としています。

TICADは、日本政府、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室、国連開発計画、世界銀行が共同実施し、アフリカ諸国のほか、開発パートナーであるアジアなどの援助国、国際機関、市民社会組織、民間セクター、各国議会などさまざまな関係者が参加しています。

この第5回目となるTICAD Vが2013年6月1日〜3日横浜で開催されます。開催地横浜では市長を会長とする第5回アフリカ開発会議横浜開催推進協議会(http://www.ticadyokohama.jp/)が組織され、外務省などが委員を務める公式サイト「アフリカひろば(http://www.ticad.net/africa/)」などでも幅広く情報が発信され、数多くのイベントやシンポジウムが計画、開催されています。

今回LIXILは主会場となる会議センターに、資源循環型「インフラフリー・ユニット」の説明パネルとビデオを出展し、さらに幅広く市民も参加する最大規模のイベント「アフリカン・フェア2013」に実物大のコンセプトモデルを展示します。

第4回アフリカ開発会議:2008年5月横浜で開催。41名の国家元首・首脳級を含むアフリカ51カ国および、34カ国の開発パートナー諸国、74の国際機関および地域機関の代表、民間セクター・NGOなどから3,000名以上が参加する大規模な国際会議となった。

■「アフリカン・フェア2013」開催概要  http://www.jetro.go.jp/events/af2013/

日 時 2013年5月30日(木)〜6月2日(日)10時00分〜18時00分
※最終日(6月2日)は17時00分まで
※会議警備の都合上、5月31日(金)夕刻にご入場いただけない時間帯があります。
場 所 パシフィコ横浜 展示ホールB ※コンセプトモデルをケニアブースに展示しています。
主 催 経済産業省、日本貿易振興機構(JETRO:ジェトロ)
後 援 外務省、神奈川県、横浜市、日本経済団体連合会
展示構成 1.アフリカ各国ブース  2.日本企業コーナー  3.スペシャルティ・アフリカ(企画展示)
4.フードコート        5.販売コーナー     6.イベントステージ、その他

ナイロビ市外
ナイロビ市内 キベラ地区

■ アフリカ・ケニア共和国について

ケニア共和国(以下ケニア)は東アフリカに位置し、人口約4,000万人で、アフリカでは7番目の人口規模の大統領制の共和国です。

首都ナイロビは赤道に近い高度1,600mに位置し、気候は冷涼。アフリカ大陸ではカイロ・ヨハネスブルクに続く3番目の世界都市といわれ、国連人間居住計画(UN-HABITAT)本部や国連環境計画(UNEP)本部が、住生活や環境の問題解決に向け、世界に指針を発信する重要都市に位置づけています。

GDP成長率は年率4%を越え、若年層の人口増加を背景に購買力のある中間層が形成され、今後の成長が期待されています。しかし、急激な人口増加と都市集中化から、近年特に都市部および都市近郊のインフラ整備が追いつかず、ケニア政府もこの問題を重要視し、KENYA VISION 2030にて、整備推進を掲げています。

○ケニアの水・トイレ事情

ケニアでは、飲料水を自宅の水道から入手できている人は全人口の約11%、給水施設で購入している人が約48%で、女性や子どもが給水所への往復で1日何時間も拘束されています。残りの人たちは衛生的な水を確保できず、雨水や河川水をそのまま飲料に使用しています。

トイレ設備面では、自宅に水洗式のトイレがある家は全体の約1/3で、都市部でも約半数の人たちが共同トイレを使用しています。下水道整備は遅れており、下水処理施設で処理されるのはそのうちの約6割で、残りは腐敗槽や人工の溜め池で簡易処理された後、土壌に排出されています。自然の浄化作用が追いつかないケースも多く、環境汚染の拡大が懸念されています。

また、水洗トイレが無い住宅や地域では、トイレ用の穴にし尿を溜め、そのまま埋めたりしており、そもそもトイレ自体が無い生活をしている人も少なくありません。

■ 水を使わない「グリーントイレ」

「グリーントイレ」はトイレ床下の装置内で、し尿を分離、乾燥、発酵分解することで衛生的な生活環境を提供する「非水洗トイレ」です。地下水や河川、海などを汚さず、し尿は肥料として利用できます。下水道や汚水処理施設など大きな投資や維持費が不要で、点在する住宅ごとに設置できるため、水資源の乏しい地域だけでなく新興国や山間部などでも活用できます。

LIXILはこの「グリーントイレ」に、雨水利用や汚水浄化システムなどを含めた、資源循環型の衛生設備「エコ・サニテーション」の研究開発を進め、実用化に向け検証を重ねています。

■ ベトナム社会主義共和国で、2010年3月から「エコ・サニテーション」の実証試験を展開

人口約9,000万人(2012年4月)のベトナム社会主義共和国は、河川に恵まれ、降雨量も多い気候風土です。上水道の設置も進んできましたが、汚水処理システムの整備は不十分で、都市近郊でも生活排水や汚水をそのまま川に流している例がいくつも見られます。

首都ハノイは人口約676万人(2011年12月、JETRO調べ)で、都市地区に約200万人が暮らし、96.7%の世帯が水洗式のトイレを使用していますが、し尿系汚水の約9割が腐敗槽に流入し、その大半は処理が不十分なまま河川に放出されているといわれています。し尿で汚染された河川は、そこに暮らす人びとの健康に大きな影響を与えるため、早期の解決が望まれます。

LIXILは2010年3月から、ハノイ市ザーラム地区のLIXILベトナム現地社員の自宅で「グリーントイレ」を含む「エコ・サニテーション」の実証試験を行っています。2012年3月からは、ハノイ市内の大学と共同プロジェクト契約を結んでおり、現在、ベトナムでのトイレ認証取得に向け、ハノイ南部に位置するハナン省の民家で更なる実証試験を進めています。

なお、徳島県勝浦郡上勝町での実証試験も2年目に入り、住民の要望を踏まえた総合的な実証研究を継続していく計画です。